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mizuho_a6日前大分前から書き溜めていたロマサガ2本『beyond paradise』の本文原稿から。サガシリーズエアオンリー合わせの予定なのですが、これ書いてる現在ぽよ(=カービィ)に大部分の萌えを持って行かれているので、印刷所の締め切りに間に合うのかはちと微妙……さて、ここで更に時代は下り、物語の舞台を今回の中心である帝国暦一九五一年へと戻そう。
 ときの皇帝ジャニス・エレイナに随兵の一人として仕えてきた傭兵隊長ヘクター・アレティオスは、剣の腕一本でのし上がっていくのが常である傭兵隊員としては珍しく術法にも長けた人物であった。とりわけ、エリクサーを筆頭とした回復術を使いこなす事にかけては、当時の宮廷魔術士達以上の腕前を誇っていた。実際彼を上回る魔力の持ち主は、皇帝であるジャニスの他には本職の魔術士達の中でも片手で数えられる程しかいなかったのである。
 初めてその話を現皇帝ジャニスから耳にしたときには、そんな彼であっても皇帝の気が触れたかとすら思ったものだった。到底理解できる代物ではなかったからだ。
「貴方も気がついている通り、伝承法には大きな歪みが生じているわ。これから先に待ち構えてる七英雄との戦闘を戦い抜くためには、その歪みを今ここで封印しなければならないの。わたしはそのために、コッペリアを利用しようとしている……」
 なるほど、そういう用途であるならばコッペリア程に都合のいい器はないだろう。並の魔術士以上に魔道に長けた傭兵は、直ちにそれを理解した。
「タンプク帝が残した手順書によると、第一段階は単純に伝承法でコッペリアを皇帝に指名すればいいようね。その際、生前の契約ができると尚いいみたい」
 今、ジャニス帝が読み上げた手順書の記述内容を踏まえると、この謁見の間ほどに、伝承法でコッペリアを次の皇帝にする舞台として都合のいい場所はなかった。
『生と死を以て我らが契約と成さん。我と我らが先人らが持ち得る全てを、この者に与えん。全知全能なる我らが主神よ、今、此処にその証を示し給え』
 伝承法による黄金色した光の王冠がコッペリアの頭上に表れ出て、問題なく術が発動した事が確認できた。しかし今回に限ってはそれだけに留まらなかった。
「ジャニス様、それにヘクター……」
 言いながら、ぎこちなさを見せることなく礼をしてみせるその人形の仕草は、あまりに人間味が過ぎた。少なくともジャニス帝が随兵として連れていた時の、機械的な所作からは到底考えられないくらいには。また、伝承法によって皇帝に指名されたコッペリアに魂と呼ぶべきものが生まれた事も、術を施したジャニス本人と一流の剣士であると同時に優秀な魔術士でもあるヘクターには知覚できた。
「陛下……」
 故に、ヒラガ一族の技術の粋を集めて作られた自動人形と共にジャニス帝に仕えてきたヘクターは、その場にいる誰よりも早くコッペリアに対し臣下の礼を取った。
 もしこの時、ジャニス帝の信頼も厚いヘクターが新たに皇帝となったコッペリアを敬う態度を取っていなければ、まず間違いなく帝位継承問題が即座に勃発した事だったろう。それ程までにヘクターが新帝に対して礼を示すタイミングは絶妙であった。それでも、文官を中心としてコッペリアを皇帝に据えることへの異論がない訳ではなかった。とは言え、皇帝であったジャニスも、またそのジャニスの右腕と言うべき存在であるヘクターも、コッペリアを皇帝として認めているのは事実であった。結局の所、先代皇帝であるジャニスが後見人となる事を条件に、コッペリアは新たなる皇帝として即位する事を認められたのである。
「あなたを作った方……世に生み出した方の子孫が、この帝都にいるのですよ」
「そうなのですか?」
「お会いになりますか?」
 ジャニスからの問いに対するコッペリアの返答は、勿論是だった。

「コッペリア!?」
 天才発明家の一族として名高いヒラガ一族の人間であるヒラガ35世が、三百年以上前に生まれた自動人形の存在を知らぬ筈がなかった。その人形が帝位に就いたとの話を聞いたときには流石のヒラガも驚いたが、此処に至るまでの経緯をジャニスの口から聞いてどこか納得がいったようでもあった。
「此処があなたの家なのですから、望むならいつでも帰ってきていいのですよ。その事だけは、どうか忘れずにいて下さい」
「はい、ヒラガ様……」
 そうして暫くの間コッペリアはヒラガの腕に抱かれていたのだが、彼女自身はヒラガの腕の中でどうしていいか分からなくなっていた。何故なら……
「ジャニス様、ヘクター。これが、泣きたくなるほど嬉しいっていう感情なのですね」
 そう。コッペリアは人形であるが故に泣くための器官を持ち合わせていないのだ。初めて……感情というものを得て初めて、彼女はそのことを悲しいと思った。
頑張って!
はるあられ1週間前今回も、お題に沿ったとある企画で書いている短編ものになります。まだ導入しか書いていませんので、続きはこれからになります。

こちらは完成のち、小説本の方に収録予定となります。
テーマ【神話・伝承】
必須ワード【億万長者】
「朝起きたら世界が一変していたって話、聞いたことない?」

 噂好きで知られる彼女はそう切り出した。

 世界が変わると言ったら、余程のことだろう。映画や創造物で得た知識しか私にはなく、頭をフル回転させても絞り出せる知識は一つか二つだ。

 「人類滅亡?パニックホラーとか?」

 それを聞いて、彼女の中には無かった回答なのか面白そうに笑って見せた。

 「映画みたいな内容ね。んー、そうじゃなくってぇ」

 彼女はこれといったヒントも出さず、勿体ぶってみせる。そうだ。いじわるな彼女は、答えにたどり着けず苦悶する様子をみるのが好きなのだ。ニヤニヤとした表情で彼女は次のように言った。
頑張って!
はるあられ2週間前毎日黙々とものづくりをしている爺やんと()の話。
ここまで書いて力尽きました。一旦ここまで。
カンカンカンカンッ。

昼の鐘がけたたましく鳴り響く。見ると見張り台の鐘を思い切り打ち鳴らしている様子が見える。
よくもまあ、毎日こんなことができるんだろう。
仕事とはいえ1年365日決まった時間にこうして寸分の狂いなく鐘を鳴らすなど、正気の沙汰では無い。
そして、この鐘を聞くと同時に街から人が溢れ出す。途端に街が活気づいていく。一体どこにそんなに人が隠れていたのだろうかと感じるくらいだ。
その鐘を聞いて、爺さんもまた昼の休憩へ移る。
組みかけの木をそのままに、爺さんは持ち場を離れていく。

爺さんは今、何か言いかけたのだろうか…。
それとも、昼の時間だと悟り、もの言わぬ目線を送っていたのだろうか。今となっては謎が残るばかりだ。

「爺やん、何が言いたかったの…?」

誰もいない工場に声がひびく。
再びこの工場が活気を取り戻すのは、また1時間後のことだ。
今は、風でキシキシと軋む音が鳴り響く。

稼働中の工場はピリピリと空気が張りつめている。それもそうだ、爺さんが工場にいるためだ。爺さんが工場に来てからは工場内の事故がぐっと減ったが、代わりにこのどうしようも無い張り詰めた空気が工場を覆うようになった。
爺さんに感謝する者もいれば、早くいなくなれと罵倒する者もいた。
一時は経営すらも傾いた工場だったが、爺さんが来てからは持ち直したという。
その頃から爺さんは口数が少ない人だったと聞く。爺さんの言葉は重く、説得力もある。皆、爺さんを信じてついて行った。

そして、誰もいなくなってしまった。

誰もが目を疑った。
爺さんの、その姿に。
応援してる!
はるあられ2週間前お久しぶりです。久々に、とある企画に参加した際、書いた作品の導入部分になります。【 青山という男 】
 これは、ある集落に伝わる約束事にまつわる話だ。
 とある県の山奥に存在する集落に、青山という名前の住人が多数いるという興味深い情報が寄せられた。
 何でも村の総人口は101人で、そのうち青山とつく人は100人だそうだ。村の一人を除いて、皆青山だと言うのだから興味深い。
 そして、これまた珍しいことに、青山大学に在学する中村光という青年が青山の実態を調べるべく例の集落へ赴いた。
ありがとうございます。
完成品は後日、告知出来ればと思います。
もちむぎえだまめ3週間前TSっ娘総受け(男女サンドイッチ) 未完ワンクッション頑張って!もちむぎえだまめ1ヶ月前しょうもないTSF新しく公開しました
約2000文字らしいです - 俺系TSっ娘と性別迷子コンビ - #カクヨム https://kakuyomu.jp/works/16818093082364671845/episodes/16818093082364860734
なんか書けたので公開しました
https://kakuyomu.jp/works/16818093082364671845/episodes/16818093082364860734
これ好き! 好きすぎる!
もちむぎえだまめ3ヶ月前穏やか執事→デレツンTSロリへの甘々敬語責めワンクッション応援してる!acaloramiento5ヶ月前取りあえず終わった! もうちょっと推敲するとは思うけど1年ぶりに書いて一ヶ月で七千字は頑張った!!(自分的には
しかし……人気のあるキャラに主役がブチ切れかましてるので公開はできんな。あとかなり文章がクドくなってる。まぁこれは好きなので仕方ないね。グロ描写は別に好きという訳では無いがやはり必要になったね。これもキャラの過去的に仕方ないね。やっぱ悲惨な過去あってもへこたれずに立ち上がるキャラ好きだわ
やっちゃいましょう!
もちむぎえだまめ6ヶ月前TS娘のアイデンティティに関して(第三者の会話)メルトダウン
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プールでの遊び疲れが押し寄せてきたのか、血糖値的なアレなのか、あるいはそのどっちもか。ぼんやりし始めた芹那にこまりんが仮眠をすすめてくれて――ほどなくして芹那は片付けた和室でひとりお昼寝タイム。
そこから約一時間後、リビングでのボドゲ大会が一区切りしたところでこそっと芹那の様子を見に来たオレなのであった。
……というのが現在のあらすじなわけだけど。
「天使かな?」
和室で扇風機のそよそよした風を受けながら折りたたんだ座布団を枕にタオルケットをかけて眠る――ありふれた『夏』のひとコマでもその主役が芹那なだけでなんかもはや宗教画。全国のサイゼに飾られちゃう。
同時に、オレと芹那が恋人同士――もしくは親子みたいな関係だったら、おでこかほっぺにチュッとしちゃってただろうなあ……ってくらいにこう、愛おしいっていうのかな……誰より可愛く感じて大切にしたい、みたいな気持ちがふわふわ溢れてくる。……まだそこまでの関係じゃないから、そっと髪やほっぺを撫でさせてもらうだけに留めるけど……。
「……ふふ」
芹那、ほんと一度眠るとぐっすりだなあ。すやすや気持ちよさそう。……一緒に寝たら芹那の寝息ASMR効果でオレも気持ちよく眠れるかな? うーん、お泊りとかでワンチャン検証チャンスが来たり……修学旅行の布団くらいの距離でもじゅうぶん効果が見込めそうだし。……いや、したいけど……添い寝……。

「――はっ」

軽く肩を叩かれる気配に振り向けばそこにはこまりんの姿。
「かき氷でお腹冷やしたワケじゃなかったんですね、ひと安心です」
いつもよりトーンダウンなボリューム、芹那への配慮ハナマル満点。
「あー……『トイレ』って抜けたから。ごめんね、心配かけちゃった」
「いえ、ワタシもこうして芹那くゃんの寝顔を拝む口実ができたのでチャラにしてやりますよ」
冗談めかしてこまりんが言う。理解ある委員長に感謝。
「……その『芹那くゃん』って言いにくくない?」
「ワタシとしては親しみを込めて『芹那ちゃん』と呼んでしまいたいところですが、彼ないし彼女を思えば踏み切れないところがありまして。……ご存じの通り、彼ないし彼女……及び他人の前ではできる限り、今まで通りの『丁字』です。あだ名的な呼び方を好むタイプじゃないのもありますし」
――『彼ないし彼女』。そういえばTS病のひとって、二人称はどうなるんだろう?
「芹那、第二の人生デビュー! ってノリノリなタイプじゃまず無いし、|フィクション《二次元》のTSキャラみたいに『俺は男だ!』って感じでもないしね。なんていうか……性別変わったこと、一応は受け入れようとしてる、みたいな……」
「……それでいて、過剰に適応しようとしているような……いえ、もっと……『諦め』というか、そんな雰囲気も感じます。『自分は自分だ、心まで女性になったわけじゃない』と言いながら、己が『女性』であることを『諦めて』受け入れようとするような」
「……うん。それでなんか、芹那の思う『女の子』がなんか偏ってる気がしないでもない。もっと言えば『男』に対してもね。……そこにこまりんの言う『諦め』がプラスされて変なことになっちゃってるみたいな」
「……女性や男性である以前に、ワタシたちって『個』なんですけどね。最初に面会したときはもっとその辺り理解しているものとばかり思っていたのですが……」
どんな姿でも自分は自分。でも『自分』が今までの『自分』じゃない。今までの『自分』じゃいられない。……たとえ周りの配慮や理解があっても、完全には。
……オレだって芹那を少なからず、かわいいとか以前に『女の子』として見ちゃってる。もし男同士だったらおなかを見せられても恥ずかしくは思わなかっ……いや、芹那のことを『好き』って意識してたら同じだったかも? ……いやでも、ほら、もう着替えとかトイレは一緒じゃないし。うん、そういうとこでそういうとこで。
「どうして急に赤べこ化? ……いえ、正直シリアスブレイクな動作に少しほっとしている自分もいますが」
「これでもシリアスしてたんだけどなー。……でもまあ、オレにシリアスは似合わないか」
あんまり重苦しいのは自分でも耐えられないし。できるだけ明るく楽しくいるのがオレらしさかな。
「……芹那が思う芹那らしさってなんだろ」
「また温度差でグッピーが死ぬようなテンションになりましたね……。
……あまり言いたくはないですけど、良いイメージは無いんじゃないですかね。消極的な意味で不幸上等・巻き込まれ上等って感じじゃないですか、中学の頃から」
「うーん……じゃあそれが反対になれば世界全快オールオッケー?」
「簡単に言いますね……。仮に達成されたとして、それはそれで混乱が起きるんじゃないですか? アッパーリミットってやつです、幸せに耐えられなくて自らそれを台無しにするっていう――」
「……あ、それ今の芹那にちょっとあるかも。なんかね、今日も水着に対して『配慮とか良心が逆にむかつく』『着せ替え人形にされたり変な目で見られた方がマシ』って。なんかさ、コレ台無しにされたがってない?」
……こまりんの目、一瞬でまんまるから半円に。
「着せ替え人形にしてやりましょうか、逆に。……なんですかそのベタフラッシュ背景が似合いそうな無言のリアクション」
「え、だって、だって……」
「幼児ですか貴方。……先程の発言に軽い苛立ちが含まれていたことは認めますけど……なんて言ったらいいんですかね、なんかもういっそ、望むままにしてやったらいいんです。……それを貴方の手で楽しい催しに変えてやるんですよ。得意でしょう、そういうの」
「……オレ自身が女子になることだ?」
「どうしてその結論に? やれるもんならやってみて欲しいですけど」
――あ。
いや待って、なんか浮かびかかったけどパッて消えてった! うう……も、もう少しでなにか掴めそうな気がするんだけど……!
「……いいですよ持ち帰って。聞けたところで今すぐ実行できるアイデアでも無さそうですし」
「たすかる〜……」
理解ある委員長に感謝(再放送)。
大丈夫......!
ゆず胡椒7ヶ月前原神の二次創作。走り書き。スクロースさんとの友情夢みたいなな何か。ワンクッション頑張って!もちむぎえだまめ8ヶ月前TS娘を起こす自称親友くんそれから数話更新したりカクヨムに全年齢版を作ったりしましたhttps://kakuyomu.jp/works/16818023213333716745もちむぎえだまめ9ヶ月前なんか書けたので続き(?)がちょいちょい上がっています。そして台本形式から一人称文体にクラスチェンジ。

【R18】「(自称)親友くんはツンデレTSっ娘を可愛がりたい!」
https://novel18.syosetu.com/n9349if/
MINORI10ヶ月前週イチでエンドマークつける、くらいのゆるーい感じで。久々に戻りました。ゆるーく続けます。
2993文字、ギリギリだった。(49/100)
https://misskey.io/notes/9negrf18ju3a0b4k
高間晴10ヶ月前カクヨムに少しずつ投稿していきます!
オリジナルSF小説「火星の歌姫」
https://kakuyomu.jp/works/16817330668469222683
高間晴10ヶ月前尻叩きに現在書いてる長編の第三章冒頭。最終章まで書き上げました!
オリジナルでは初の長編です!
https://story.nola-novel.com/novel/N-2b8a3adb-c03c-42ab-821f-87d3e2dadc6c
高間晴11ヶ月前初のオリジナル長編がNolaノベルのSFカテゴリで一位になりました!https://story.nola-novel.com/novel/N-2b8a3adb-c03c-42ab-821f-87d3e2dadc6c?utm_source=copy&utm_medium=none&utm_campaign=bookshare_both&utm_id=book_shareやるじゃん!戌丸アット11ヶ月前書き直したけどテンポ遅いかもしれない。あと前の方が主人公の異質さがあったかもなぁ哲学的な事を考えた事はあるだろうか?
人類とは何か?のような科学的哲学とかでも良い。
誰でも一秒くらい疑問に思う事があるのではないだろうか。
少なくとも悩む、と言う経験は小さなものを入れてしまえば必ずある。
最たるものなら、神はいるのか?
これに尽きる。
兎に角、飽きない議題で陳腐とすら思える上に、話しかけてきた奴は詐欺師と思ってしまうかも。
ただそれでも。
有り触れていて、かつ答えがないのに追い求めてしまう魅力的な存在。
それが神様だ。
これは、そんな陳腐で魅力的な存在を求めた末の結果として書き留めようと思う。
有り得た可能性から出された一つの結果に過ぎないが終わりがあっただけマシな結果だ。
そう、だから手始めに、まず被害にあったのは髪からだった。

「いって!」

天使の髪のように輝きを纏った綺麗なオレンジ髪にハサミが添えられて耐えられなかった。
だから殴ってしまったのだが、残念な事に正義の味方になれなかった青年はベッドから転げ落ちて目が覚めた。
悪役も呆れるような結末で終わった夢に、ぶつけた頭を庇いながら起きた青年を伊勢武蔵(いせ むさし)と言う。

「なんだあれ」

それはそれは丁寧に論じられた説明など無視した脳みそで武蔵は朝食のパンに齧りついた。
苛立ちから獣さながらに齧ったところで武蔵の虚しさは消えない。
何故、夢くらいで悔しくなっているのかすら納得できないが覚えてないので仕方ない。
そんな辛気臭い武蔵に朝の挨拶をするように玄関の呼び鈴が鳴る。
土曜の朝から訪ねてくれる人なんて誰だろうか?

「はーい、どちら様ですかー」
「……ふむ」
「えっと……」
「本当に居たのですね、ムサシ」
「は?」

は?と呆気にとられる武蔵は悪いだろうか。
本当に居たのですね、と誰に話した訳でもなさそうな緑髪の風変わりな少女は初対面だった。
緑色の髪を持つ同級生なら目立つから覚えてない訳ないのになぁ、と武蔵は途方に暮れた。
コスプレするなら余所でして下さい、と言えば良いか?
誰かと間違えてませんか?と聞くべきか。
どれも正しいかもしれない。
けれど武蔵を見つめる少女の表情が、あまりにも武蔵にとっては心動くほどに安らいだ顔をしていた。

「とりあえず休みたいなら、そう言えば」
「えっ…!」

話しかけた武蔵自身も噛み合わない言葉を言ってしまって内心、焦る。
少女とはいえ見知らぬ相手だ。
突然、訪ねてきた相手に言うべき言葉ではないし、何より会話が成り立っていない。
だが、それでも武蔵には彼女がとても疲れているように見えた。
疲れているなら休めば良い。

「……言うは易し、ですよ」
「でも行動できないなら、せめて言葉にした方が違うと思うぜ」
「なら口は災いの元、と言います」
「は?なら何も出来ねぇよ。そもそも何の話だ?コレ」
「貴方の未来の話です」
「えー?意味分かんねぇ、そういう話なら帰ってくれ」

教会なら、この町にもあるからさ!と関わり合いになってはいけないのだと言う気持ちを隠す事もなく扉を閉めようとした。
しかし扉から嫌な音がした。
まるで大木が折れて倒れるかのような耳障りな音だ。

「失礼します」

そう言われた気がするが武蔵の気のせいかもしれない。
だが気が付くと"玄関に立っていた筈の少女の後ろに武蔵は居た"。
目の前の出来事にゾッとする。

「目標補足。貴方はどうしますか?」
「なんだよ!ゲームみたいな聞き方してくんな!」

ボロボロと壊れた泥団子のように家の扉が黒ずんで消えていくのを目にして、武蔵は途方に暮れた。
人生経験がなくとも分かる。
嫌な予感しかない。

「目標は、およそ1キロ先からの威嚇射撃でしたが何か心当たりは?」 
「ないない!アンタに用なんじゃない?つか玄関どうしよ、流石に武人さんキレっかなぁ」
「タケヒトサン?貴方もしか、っ!伏せて」
「ぎぇっ!?」

警告した口で息を小さく深呼吸をした緑の少女は何故かボールを下投げするように右腕を下から前へと振り上げた。
ビュッンと突風が駆け抜けたような重い音を奏でたとは思えない細腕を止めると、何やら前方へと向けられたものの正体はビニール傘だ。
まさに雨上がりの小学生のように振り回したらしい。

「あ、それ俺の傘」
「呑気ですね、ムサシ」

などと的外れな会話をした瞬間。
家の前にある民家は瓦礫となって、武蔵と少女に襲いかかってきた。
だが想定内だったのだろうか。
慌てる様子も無く、少女は優雅な仕草でビニール傘を振ると、どういう訳か崩落による瓦礫の雨をモーセの奇跡のように真っ二つにした。

「うわっ!風つよっ!」
「おや、埃が目に入りましたか?」
「いや、違うけど!どうなってんの、コレ!」
「説明は難しいですが……とりあえず貴方が夢じゃないのか、と騒がなくて何よりです」
「現実逃避してたら俺、死ぬだろ!」
「ええ、賢明かと。今のは挨拶代わりのようですが今の貴方の様子では回避は不可能なようでしたので私が処理しました」
頑張って!
高間晴11ヶ月前とりあえず初めてのオリジナルSF長編の第一章が完成!https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=21081140mohe312ヶ月前本編後 まだ何者かにねらわれているカスミを霧生が護衛に来たという前提
家まで送り届けた後の霧生とカスミ(カップリングではない) 一瞬だけ十カス要素有り
「ねぇ、霧生くん。ウチ上がってかない? おいしいお茶があるから、送ってくれたお礼に……」
「いや、遠慮する。まだ仕事がある。それに礼をされることじゃない」
「そう……。えっと、じゃあ、少しだけ待っててくれる?」
「……?」
 霧生を残して家に入っていったカスミは、しばらくしてまた姿を見せた。
「お待たせ。これ持っていって?」
「……クッキー?」
「昨日作ったの。やっぱり何かお礼しないと悪いから……。あ、甘い物大丈夫だった?」
「それは問題ないが……。いいと言っているのに……」
「これなら後で園宗寺さんとも食べられるでしょう?」
「おまえ……ひょっとして、俺が誘いを断ることまで見越して用意していたのか? 意外と強情なやつなんだな。……分かった、これは受け取っておく」
「ふふ、良かった」

~日数掛けてカスミと霧生が仲良くなる過程~(が浮かんでないけど最後は↓で締めたい)

「……何だ雲野、カスミに気があるのか? おまえにはもったいない女だ、身の程を知れ」
それいいね!
mohe312ヶ月前十夜と誠志郎とカスミ「俺、カスミと付き合うことになったから」
「……は?」
 あまりにも唐突な誠志郎の告白に、理解が追い付かない十夜は間の抜けた声を発した。
「いつの間にそんな事に……」
「何かそういう流れになっちまったんだよなぁ。ってコトだから、よろしくな」
「よろしくって……」
 何一つ理解出来ず、困惑する十夜。
「誠志郎くん、十夜くん」
「おっ、ウワサをすれば」
 そこへ当事者の一人がやってきた。
「今日もかわいいな、カスミ」
「えっ!? 何言ってるの、もう……」
 関係が変わったからだろうか?いつもとやり取りが違って見える。
「この後どっか行きたい所ある?」
「あ、ちょっと本屋へ行きたいんだけど……」
「本屋ね、オッケー」
「十夜くんも良い?」
「俺は……遠慮しとくよ。2人で行ってこいよ」
 付き合い立ての二人の間に割って入ることはさすがに気が引けた。
「何か用事だった?」
「いや、別にそういう訳じゃないけど……何となく、悪いだろ」
「……?」
 なかなか意図が汲み取ってもらえず歯がゆく思っていると──
「……ぷっ!」
 誠志郎が噴き出した。
「あっははは! もう無理……!」
 ぽかんとする十夜。何だか嫌な予感がする。
「十夜、今日何の日か知ってるか?」
「何の日って……」
 月が変わって、今日は4月──……
「……テメェ」
「焦った?」
「うるさい、知るか」
これ好き! 好きすぎる!