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#現パロ
NonohiO0o1年前現パロ バレンタインの時先に書いててまとまらないなーーと思ってやめたもの 直接的じゃないですが事後表現ありワンクッション頼む、続きが読みたい!NonohiO0o3年前書きかけ尻叩き
できたのはぽいぴくで書き途中のはこっちに上げようかなあの気持ちです
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 以前長次に教えてもらったカーシェアリングがうちの近所にもあること、またその在庫が意外にも車種も台数も潤沢だということは、以前調べて知っていた。無事に空いていたバンの前で伊作とじゃんけんして、無事俺が運転席に座る。「酔ったら言えよ」と言えば、スマホ片手にこくりと頷くのがミラー越しに見えた。
「出てどっちだっけか」
「左。それでスーパーのとこも左で、国道までまっすぐ」
「サンキュ」
 ウインカーを出して、ゆっくりとアクセルを踏み込んだ。
「ごめんねわざわざ。別に通販でもよかったのに」
「それだとお前、暫く床で寝ることになるだろ。ほら、サイズとかも見たいし」
「別に大丈夫だよ、布団あるし。ていうか、背もたれが起きなくなっただけだからベッドとしては使えるし」
「…ソファ使えないの、俺だって不便だろ」
「え?でも普段から留三郎背もたれ使わないじゃん。ていうかソファ自体全然座んないし」
「…………」
「…………」
「……ここ左だったっけか」
「うん。ねえ留三郎、もしドライブしてみたかったなら、もっと早く言ってくれたら」
「気付いたんなら言うなよ!」
「ごめんって!」
 ぎゃあぎゃあ騒ぎながら車を走らせる。あんまりにも騒いでしまったものだから、向かいの車と目が合った気がして、バックミラーを見るふりで目をそらした。
 最近できたという大型の家具屋は、家から一時間しないくらいだ。折角だから昼飯もドライブスルーにしてみようと伊作が言うので、バーガーチェーンに車を入れた。初めてやったから二人ともしどろもどろだったが、無事に出てきた時には二人で年甲斐もなくはしゃいでしまった。
「留三郎、次何がいい?」
「じゃあポテト」
「オッケー」
 はい、と突き出された二、三本に齧りつく。きつい油と塩味に口の中がギュッとした。
「もうちょいくれ」
「はいはい」
 差し出された一つまみ、丸々がぶりと咥えると小さく笑われた。
「なんかさあ、あれみたい」
「わんこそば?」
「ううん、ほら手術のさ、『メス』『はい』ってやつ」
「お前こんなとこでもそれかよ」
「えっ駄目だった?」
「いや、全然。らしいなって思っただけ」
「何それ」
 心底不思議そうに言うので、信号待ちの隙にぐしゃぐしゃと頭を撫でたら笑われた。  やっぱり車にしてよかったな、と思う。こうやって周りの事気にせず構ってやれるから。
「あれ、留三郎。ちょっとこっち向いて」
「ん?」
 何かついていたか、と顔をそっちに向ければ伊作の手がすうっと伸びてくる。そのまま俺の顎を包み、口元を撫でてくる。
「塩付いてる」
「……そ、うか、ありがとな」
「あと髭剃り残してる」
「え。どこだ」
「へへ。ここ」
 なぞってくる指を伝うように触れてみると、確かに指に刺さる部分がある。ちょっとばつの悪い気持ちで見下ろしたら、蕩けるような榛色の瞳とはたと目が合った。
(――……あ、)
まずい、と思った。何がかは分からないが。伊作の指がもう一度俺の口元をなぞる。ほんの少し首を傾げる。ごくりと唾を飲み込んだ。
「あ、留三郎、青だよ!」
「……え?あ、お、おお」
 確かに対向車線の車はもう走り出している。慌ててアクセルを踏み込んで、その急な加速に伊作が小さく悲鳴を上げた。
「次どっちだって」
「まだまっすぐ。国道当たったら右」
「了解」
 ああ、なんだ。変な感じがしたのは俺だけか。
変に跳ねた心臓に静まれ静まれと言い聞かせながら、バックミラーを見て車線を変える。さり、と顎に伊作の指が伝って、危うくハンドルを取り落としかけた。
「なんだよ」
「一本だけ生えてるの面白いなって」
「……っはは、触んのやめろって!擽ったい」
「抜いてあげようか?僕上手いよ」
「だからやめろって、事故る事故る」
 しつこい手を掴んで膝の上に落ち着かせる。何度かごそごそ抜け出そうとしていたが、指を絡めて握りしめたらようやく静かになった。横目で伺うと諦めたのかもそもそポテトを貪っていた。
「伊作、俺にも」
「ふあい」
天才!