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#御来光
ういうい3年前やる気を取り戻すための走り書き。
ほっこりすようなご老人カップルって好きなんですよねぇ
「あどっこいしょっと」

 新年早々、何処にしまったか解らなくなってしまった物を探しに、物置でごそごそ。

「どこにやったかしらねぇ……」

 大きい箱、小さい箱、ちゅうっくらいの箱。小さい物だから、大とちゅうっくらいにも入ってしまうので思いつく箱を開けてはごそごそ。無ければがさがさと包み直して元に戻す。
 かれこれ30分は暖房の無いココで悪戦苦闘している。

「もう……年はとりたくないねぇ…」

 年と言えば、昔は年越しには旦那と一緒に裏山に登って初日の出を拝んだものだ。今じゃ足腰がお互いに弱ってしまって山に登るのも億劫になっている。それに、夜の山道は危ない。老人二人で登るような場所じゃ無い。

「はぁ…」

 とりあえず、一旦ここは戻ってヒーターを持って来て、腰を据えて探そうか。

『おーい』
「はーい」

 旦那の声が外から聞こえたので、丁度の区切りだ。年末の大掃除で油を刺した事で、滑りの良くなった引き戸を開ける。

「!!」
「お前が探してたもの、これじゃ……どうした?」

 ぴかーっと。
 すっかり禿げ上がった旦那の頭越しに、太陽が反射してぺかーっと日が差している。

「ふぁ……御来光だ……」
「? 何の事…………おい、拝むな。何か意味わかったから、拝むな!!」
「ありがたや、ありがたや……うちでも拝めるなら、山も登らなくていいねぇ」
「お前……はぁ、よし! 出かけるぞ! 準備しろ!!」

 ぽすっと、箱を渡され宣言された。

「出かけるって……どちらまで?」
「海! 竜彦んとこ泊って、明日、海から御来光を拝むぞ!」
「……でーと?」
「でーと」

 空いている手をそっと取られ、そっと両手で包まれて。

「一等綺麗な御来光を見せてあげるから、俺とでーとしませんか? お嫁さん」
「……喜んで! 旦那さん!!」

 皺だらけになったけれど、旦那が一番好きだといってくれたとびっきりの笑顔で返事した。


―――今年もきっと、とてもとても素敵な一年になりますよ!
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