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フォローする 秋夜ゆん リバリン🐦⚔/文字書き/ブレワイ攻略済/ヤクモクプレイ中/ハピエン至上主義につきブレワイつらい/コミュ力皆無なため壁打ちぎみ/主に作品の進捗載せていきます
今日の進捗!リバリンシーン書くの楽しい〜〜!!!ウルボザ、ミファー、ダルケルに伝令を済ませ、ようやくリーバルの元を訪れる。リト族へきびきびと指揮していたリーバルはリンクの顔を見た瞬間に眉を寄せたけれど、いつもの事だと気にせずハイラル王の無事と伝令を口にする。
 その間、お喋りなはずのリーバルは顔を顰め、隣に立つテバもヒソヒソとリーバルに小声で何かを話していた。
「……伝令はそれで全部?」
 リンクが口を閉じたのを見計らってリーバルが言う。頷けば、ようやくかとリーバルは羽を広げてみせる。
「ついに厄災を討つわけだね、承知した。それよりテバ」
「ええ。人払いと、ゼルダ姫に伝令を遣わせましょう」
「うん、任せたよ」
 リンクには分からない短い会話の後、すぐさまテバが飛び立っていった。それを見送って、リンクもゼルダの元へ戻ろうと踵を返す。
 まだ会ってから時間は経っていないはずなのに、まるで長い時間連れ合った師弟のように言葉が少なくともリーバルの意志を汲み取ったテバ。初めて会った時には二人が並んでいるだけで痛んだ胸が、今は不思議と凪いている。
 それよりも、早く厄災を討たなければという衝動の方が大きかった。早くゼルダの元へ戻って、まだ残っているだろう魔物の残党を始末しなければ。ゼルダに危険が及ぶ前に。
 そう、ゼルダに危険が及ぶ前に、魔物を始末するのだ。どこへ逃げようと隠れようと逃さない。矢を放って足止めをし、剣でとどめを刺す。
 何体いようが、大きかろうが小さかろうが関係ない。厄災を封印できるのはゼルダだけなのだ、そのゼルダに危険が及ばないように。ゼルダを護るのがリンクの任務なのだから。
 早く、戻って魔物を始末しなければ。早く魔物を屠らなければ。
「待ちなよ」
 心地の良い低音が耳へ届く。振り返れば、リーバルが垂直上昇で空へ飛び立ち、彼の起こした風がリンクの体を吹き抜けた。それはあまりにも冷たく澄んで清々しく、赤黒く染まっていたリンクの思考が吹き飛ばされて晴れた気がした。
 空を優雅に一回りしたリーバルはこちらへ近づいてきたかと思うと、急降下して脚の鉤爪でリンクの肩を掴む。
 瞬時に、背中の剣へ伸びた手。相手はリーバルだと分かっているのに戦闘態勢に入ろうとする体を抑え込もうとするが、上手くいかない。剣から手を離そうとすればするほど、強く柄を握りしめてしまう。そんなリンクにリーバルはフンと鼻を鳴らす。
「へえ、剣を向けるのかい。君が、僕に?」
「!」
 リーバルの声を聞いた途端、手から力が抜けた。慌てて剣から手を離すと、リーバルはそのまま力強く羽ばたいて空を舞う。ぎゅっと鉤爪に力が込められてるが、痛みを感じる事はない。
 滑空するのではなく、風に乗って空を飛ぶという感覚は初めてでリンクは思わず息を呑んだ。空を飛ぶというのは、こんなにも気持ちがいいものなのか。
 リーバルは何も言わないまま高く高く飛んで、ヴァ・メドーへ降り立った。制御装置付近に下ろされたリンクは肌を突き刺すような寒さに身を震わせる。
 寒いけれど、メドーはとても息がしやすいと思った。息を吸えば冷たい空気が肺に入り、意識が引き締まる。あんなにも早く戻りたいと考えていたのが嘘のように、このままメドーに乗っていたいと思ってしまう。
「ああ、忘れてたな。ハイリア人はこの程度の高度でも寒さを感じるんだっけ。……しょうがないなぁ」
 リンクが震えているのに気づいたリーバルが近づいてきて、もふっと抱きしめられたかと思うと足払いをされた。リーバルの思わぬ行動に固まってしまったリンクは簡単に体勢を崩し、ひょいと抱え上げられる。
 リーバルはメドーの内部にほど近い日陰を選んで腰を下ろした。
「り、りーばる、」
「フン、君の困りきった声を聞くのは悪かないけど。つべこべ言わずにさっさと寝なよ」
「寝……?」
「気づいてなかったんだ? 敵味方関係なく殺気振りまいて、無鉄砲で考え無しの猪突猛進野郎になってるのはわざとじゃなかったんだねぇ?」
「あ」
「もしかして、自覚していてその状態だったのか? 本気の馬鹿だね。姫だって、僕より先に会ってきたアイツらだって気づいてただろうに、何も言われなかったのかい?」
「いや、いろいろ……言われた……」
「なのにその状態か。退魔の騎士殿がここまで大馬鹿野郎だったとはねぇ」
頼む、続きが読みたい!
えっちいの注意!ワンクッションぐはっ😍R18です!ワンクッション応援してる!お久しぶりの進捗!やっとこさはじまりの台地奪還戦まで。会話文がまったくない!!!それからは、圧倒的だった。いつの間にか三日月を思わせる弓を手にしたゼルダ、放たれる矢は神々しい光を帯びてガーディアンや魔物を貫いた。救出したプルアが復旧させた古代遺物の助力もあり、あれだけ苦戦したガーディアンが次々と停止していくのを見ながら、ようやく勝機が見えたとあちらこちらでハイリア兵が雄叫びを上げる。
 夜明けにはハテノ砦の奪還が完了した。疲れきった兵士達へ、不安視されていた封印の力が覚醒したことを証明し、ハイラルを取り戻す戦いをはじめましょうと鼓舞するゼルダに、兵士達は武器を掲げて応えた。
 プルアの助力もあり、すべてのシーカータワーが復旧し、ハイラル各地への移動が可能になった。更に移動機能を強化し、軍勢丸ごと瞬時に移動することが可能になったというのだから恐れ入る。
 仇敵のイーガ団まで味方につけてみせたゼルダは、始まりの台地から救援要請を受けて急ぎ向かう。始まりの台地はハイラル城からほど近い。敵勢力も強さを増しているだろう。けれどもう、ゼルダの身を案じる事はない。彼女は、戦う術を手に入れたのだから。
 始まりの台地に赴けば、情報が足りず兵の混乱が起きているようだった。道中が瓦礫で埋まり、時の神殿にいるはずの残存兵と連絡がとれないためだ。
 ゼルダの指揮で落ち着きを取り戻した兵達とともに時の神殿へ向かうルートを探す。イーガ団の協力を得て、白いガーディアンの力で回生の祠を起動させ、そこから時の神殿へ向かう手筈になったのだが、魔物は易々と通してはくれない。
 立ち塞がるように複数体現れたヒノックス、恐れ慄くイーガ団やハイリア兵達を置いて、リンクが我先にと相手取った。通常であれば複数人と協力して倒しているが、走馬灯を見てからなぜだかやけに視界が広く体も軽く、剣も冴え渡っていて、リンク一人で倒せるような気がしていたし、事実、特に傷を負うわけでもなく複数体のヒノックスを倒せてしまった。続いて、白銀のライネルさえも。
(……魔物の動きが見えすぎてる)
 これを好調と思ってしまうのは危険だと、頭の片隅で警報が鳴る。分かってはいるけれど、衝動が止められなかった。ハイラルに平穏を。ゼルダを護らなければ。その思いにこれまで以上に強く強く突き動かされ、魔物を見つけると誰より早く斬りかかってしまう。
 視界は良好、冷静さも保てている、結果としてゼルダを護ることに繋がるのだから別にいいかと頬についた返り血を拭っていると、そのゼルダからじっと見つめられ、つい視線を逸らしてしまった。ゼルダから声をかけられる前に、急ぎましょうと、今はリンクの事ではなく残存兵救出が先だと暗に示す。
 同時に、偵察へ向かったイーガ団構成員から回生の祠の起動成功と、多くの魔物を倒せるほどの実力者が神殿にいるようだとの報告を受ける。救出を急ぎましょうとゼルダが指示し、リンクはシーカータワーへ駆け出した。
 回生の祠へ転移し、神殿の外にいた怨念のガーディアンを難なく薙ぎ倒す。動かなくなったガーディアンを前に、リンクは剣を背に戻そうとした。けれど、手が固まって剣から離れない。剣を離そうとするのに、意志に反してリンクの手は強く強く剣を握るばかり。
 リンクは小さく首を傾げたが、まあいいかと思い直す。すぐに魔物を倒すのだから。頭の中の警報音は強くなっている気がするけれど、きっと何も問題はない。
応援してる!
進捗!その瞬間、すべての事象が止まった。いや、動きが急激に緩やかになったのか。リンクの体も、ゆっくりゆっくりとしか動かない。
(な、んだ、これ)
 例の人物がまた何かしたのか。それにしては、化物も謎の人物も、魔物もハイリア兵も、風も雲も動きがゆっくりで、悪意は感じられない。
 気づけば、リンクの四方を囲む化物の周りには動くウツシエのようなものが散りばめられていた。
 父に憧れ、教鞭をとってもらい、剣の稽古をつけてもらう幼い自分。今と変わらないミファーとシドと、ゾーラの里で遊ぶ幼い自分。本格的に騎士を志し、表情の訓練をするようになり、母が困った顔で見つめている自分。
 厄災復活に向け、ハイラル王の通知を受けて兵士訓練所へ入所する自分。指南役の騎士に鍛えられ、毎日泥だらけになりながらも鍛錬に励む自分。頑張れば頑張るほど、仲間に遠巻きにされる自分。
 魔物に襲われていたリーバルを拾った自分。リーバルと小さな家で暮らしながら、少しずつ人との関わり方を教えてもらった自分。あの夜、初めて誰かと肌を重ねた、自分。
 消えたリーバルを探し続けた日々、古代研究所へ赴いたゼルダの護衛として戦いぶりを評価され、姫付きの騎士として任命された日。英傑との目通り、リーバルとの再会、退魔の騎士への任命、厄災の復活。
 リンクの人生を映し出したかのようなウツシエは、まるで死ぬ間際に見られるという走馬燈のようだ。そう気づいた瞬間、込み上げたのは死への恐怖や絶望ではなく、爆発するような怒りだった。
(まだだ!!)
 なんで走馬燈なんて流れるんだ、リンクはまだ諦めていない、こんなところで化物相手に負けるつもりなんてない。
 頭ではそう思っているのに、体の本能的な部分が化物四体に負けを認め、走馬燈を見せているのだろうか。厄災を相手にしているのではないのに?
(ふざけるな……!)
 走馬燈を振り払うようにリンクは化物を見据えた。ハイラル王の言葉が脳裏に蘇る。其方はハイラルの姫の騎士!
 ゼルダの、厄災からハイラルを救うための力はまだ目覚めていない。ゼルダを護ると決めたのだ。厄災本体と戦っているわけでもないのに、命に代えて護ろうとしてどうする。
 必ず生きてねとミファーが言った。武運を祈るぜとダルケルが笑った。おひい様を頼んだよとウルボザが信頼してくれた。話をつけるぞとリーバルと約束をした。
 まだ死ねない。死ぬわけにはいかない。リンクは、ハイラルの姫の騎士。ゼルダが封印の力に目覚め、厄災を封印するまでは、リンクはゼルダの剣であり盾でなくてはならない。こんなところで走馬燈を見ている場合じゃない!
「リンク!!」
 走馬燈が消え、視界が拓けた。戦場の喧騒と雨の音。そして、ゼルダが叫んだ名前に力を取り戻す。
 水の化物の剣を受け止めようと剣を構えようとしたところで、背後から白い光が化物を照らした。水だけでなく、炎の、雷の、風の化物、また周囲で戦っていたすべてが光を浴びる。
 がくりと頭部を項垂れて動きを止めた化物達、ふつりと糸が切れたように稼働が停止したガーディアン。
 振り向けば、神聖な白い光はゼルダから放たれているのが見えた。もしや、これは。
 自身も驚いた顔をしていたゼルダだが、光を放った手のひらを見てふるりと唇を震わせた。一度だけそっと目を瞑り、再び開いた時には勝利を確信したような強い目をしていた。
 それからは、圧倒的だった。いつの間にか三日月を思わせる弓を手にしたゼルダ、放たれる矢は神々しい光を帯びてガーディアンや魔物を貫いた。あれだけ苦戦したガーディアンが次々と停止していくのを見ながら、ようやく勝機が見えたとあちらこちらでハイリア兵が雄叫びを上げる。
 夜明けにはハテノ砦の奪還が完了した。
応援してる!
進捗〜。地の文ばっかり説明文ばっかり!!仕方ない、リーバルさん厄黙でなかなか合流しないんだもん!!!ハテノ砦はアッカレ砦よりも魔物の数が多く、危険性も高い。安全な場所で待機をと促すインパにゼルダは首を振る。姫付きの騎士としてはゼルダを危険から遠ざけたいが、当のゼルダがともに行くと言うのなら従うのみだ。
 砦には、多くのハイリア兵が倒れていた。白銀の魔物一体でもハイリア兵数人がかりで倒さなければならない、魔物の大群に成す術が無かったのだろう。剣を強く握り締めることしかリンクにはできなかった。
 せめて生き残っているハイリア兵を救援しなければと砦の外を駆ける。助けたハイリア兵からなぜ姫がここにと咎める視線を向けられたが、危険な場所へゼルダを連れてきた事に怒る気力と、敵勢力からゼルダを護らなければとハイリア兵の士気が上がるならリンクがどう思われようと構わなかった。
 ハテノ平原の拠点を救出したところで、ハテノ砦の門から上がる爆炎。リンク達の包囲網からすり抜けたガーディアンが砦の門を爆破したようだ。平原に蔓延る魔物やガーディアンが破壊された砦の門を目指して一斉に移動するのを一つ一つ潰していくが、きりがない。
 砦を目指す魔物をハイリア兵に任せ、リンク達は砦へ駆け出した。これ以上砦へ侵入されると陥落してしまう。ならば砦の門で侵入を防げばいい。砦に残ったハイリア兵もそう考え、きっと砦の門を護って戦っているはずだ。
 門には多くのガーディアンが群がっていて、背後から奇襲をかける形で攻撃を仕掛けた。自立移動型だけでなく飛行型ガーディアンまでもがゼルダへ照準を合わせるのを、弓で弾いて逸らす。
 ゼルダがいる事で士気を取り戻したハイリア兵とともにガーディアンを撃破し、砦内部を目指そうという間際、殺気を感じて振り返る。謎の人物が薄ら笑いを浮かべて砦の門の外へ立っていた。警戒してゼルダを庇えば、謎の人物は禍々しい朱い光を発光させたかと思うと、英傑達を襲った化物を召喚してみせた。
 あの化物の強さは身を持って知っている。謎の人物の狙いは、厄災を唯一封印する力を持つゼルダだ。召喚された化物の狙いもゼルダのはず。
 ゼルダに近寄らせる前に飛び出して、雷鳴の如き速さをもつ化物へ斬りかかった。瞬間移動のような速さでゼルダを狙われる前にこの化物は抑えておかなければならない。雷電が蓄積された剣と小競り合いになると、残りの化物も照準をリンクへ合わせてくる。
 雷の化物を剣で弾き飛ばし、インパへゼルダを連れて先に進むよう促した。化物一体でさえ英傑と未来からの救援者と三人がかりで倒したのだ、化物四体を相手取るにはリンクとインパ、ゼルダでは力不足だと分かりきっている。
 だからといって、リンクも化物に負けるつもりは全く無い。ゼルダが無事に退避したのを見届けたら、一時撤退なりハイリア兵と合流なりするつもりだ。
 だからどうか無事に安全な場所へと、遠ざかっていくゼルダの気配を感じながら願う。その間にも、水の化物の剣を盾で弾き、炎の化物の剣を受け止める。風の化物のレーザーを避け、空中へ跳んで振り下ろした剣は雷の化物に防がれてしまった。
 四方を化物に囲まれ、全方位を警戒しながら先手先手を読む。炎や雷の化物が挑発するよう剣を振り回すのに警戒して盾を構えた。瞬きの一瞬の間に、水の化物の剣が音もなく目前に迫る。ゼルダがリンクの名を縋るように呼ぶのを遠くに聞いた。
頑張って!
進捗!西部からアッカレ砦へ移動し、砦を取り囲むガーディアンをヴァ・ルッタで防衛するシドに任せ、魔物が次々と入り込む砦の入口はインパ達が護り、砦を死守するハイリア隊長を治癒するミファーの援護についた。知った顔も知らない顔も、懸命に戦い続けている事にリンクも励まされる。
 特に、平民のくせにとリンクを毛嫌いしていた貴族の騎士達が、距離を置いていたはずの平民出身の騎士と協力して魔物と戦っているのを見た時には心が震えた。
 未知なる厄災を前に人は成す術はない。けれど力を合わせて抗い立ち向かうことはできる。力及ばず力尽きるその様を歯を食い縛り見送って、己が果てるまで屈せず立ち向かい続ける。強きも弱きも、老いも若きも、種族すら越えて、ただ、ハイラルを護るために。
「私が、みんなを護らなきゃ……!」
 砦を護るために戦ったのだろう、種族入り混じって地に倒れ伏すハイリアの民を見てミファーが声を絞り出す。負傷者を探す足を早めたミファーの後を追いながら、優しすぎる彼女が手のひらからこぼれ落ちてしまう命を背負いすぎないかリンクは少し心配になった。
 ミファーの護衛についている間にも、砦に入り込んだ敵と戦った。魔物の中でもランクの高い白銀種が多く、おどろおどろしい怨念を纏うガーディアンまでもが砦へ侵入していて、討伐している間にも砦を取り囲むガーディアンがハイラル城から押し寄せ増えていく。
 手が足りず困っていたところにダルケルが合流し、イーガ団の手に落ちた研究所から落ち延びたロベリーとも合流することができた。なおも押し寄せるガーディアンをロベリーの指示で砦の連絡橋へ誘き出し、砦の大筒で一網打尽に撃破する。撃ち洩らしたガーディアンを協力して破壊し、ようやくアッカレ砦を奪還した。
 ロベリーによれば、イーガ団に襲われた研究所からプルアも脱出しており、彼女はハテノ砦へ向かったのだという。ハテノ砦も敵の襲撃で手が足りないと報告を受けていたゼルダは救援へ向かうことを決める。
 アッカレ砦で絶えず押し寄せ続けるガーディアンに苦戦したため、ハテノ砦を取り囲むガーディアンを少しでも減らそうと、ハイラル平原で押し留める掃討作戦をウルボザとルージュが買って出た。けれどヴァ・ルッタでガーディアン達を相手取っていたシドが難色を示す。本来の繰り手では無いとはいえシドとヴァ・ルッタでさえ梃子摺ったガーディアン、その本拠地付近で、ヴァ・ナボリス単体で押し留めるのは厳しいのではないかと。
 シドの心配を、大丈夫だとウルボザは笑い飛ばす。あんた達は他にやる事があるだろとルージュとともに発ってしまったウルボザを見送り、ミファーとダルケルは顔を見合わせて頷き合う。
 心配そうにウルボザの消えた方を見つめていたゼルダは二人に頼み、リンク達はハテノ砦へ急いだ。
 辿り着いたハテノ砦は陥落寸前で、砦の内外に白銀の魔物の大群が押し寄せていた。ガーディアンも取り囲んではいたもののハイラル城からの援軍は無く、ウルボザがハイラル平原で掃討作戦を行っているためだと感謝し、この機を逃さずハテノ砦へ突入を試みる。
頑張って!
進捗!何度か化物が起こした毒々しい突風に吹き飛ばされながらも、リンクは化物の顔部分を狙って剣を突き立てる。白いリト族とリーバルが空中から木の矢とバクダン矢を交互に降らせ、絶妙な連携を図るのを、二人は初対面のはずなのに連携がとれているのはやはり同族だからかと羨みながら、リンクはリンクの出来る事をと化物の懐へ飛び込んで斬りつけた。
 後方へ飛躍したリーバルが空へ矢を撃つ。弧を描いて化物へと落ちていくバクダン矢は、リーバルがばさりと翼を振ると同時に怒涛の爆音を轟かせた。ちらと寄越された視線に気づき、リンクは背中へ剣を納める。弓をとり、地を強く蹴って空中へ飛び上がり、キリキリと狙いを定めて矢を放った。渾身の力を込めた矢は、化物の目を貫いた。
「よし、やったか!?」
 化物の動きが苦しげに軋み、蒼い光が化物を包んで、消えた。周りを見渡しても化物の姿はなかったが、とどめを刺した感覚はリンクには無い。警戒を解かずにいれば、同じく周囲を窺っていたリーバルが首を振った。
「……いや、逃げただけみたいだね。まあとりあえず、この場は切り抜けられたかな」
 弓を背中へ戻したリーバルに同意するよう頷いて、リンクも弓を戻す。一息つくと、白いリト族が親しげに声をかけてきた。
「リンク! お前が来なかったら危なかったぜ。こうして一緒に戦えるなんてな」
 ぱちりと目を瞬いて、リンクは一歩後退った。リンクの事を知っていると言うような、以前にも一緒に戦った事があるような話しぶりはユン坊と似ているが、初対面の相手から一方的に親しげにされると少し戸惑う。
 そういえば、ルージュにも初めましてとは言われなかった。どうして皆、リンクを知っているのだろう。
「君もなかなかやるじゃないか。ま、僕ほどじゃないけどさ」
「英傑様にそう言っていただけると、今までの鍛錬が報われますね」
 リーバルが口を開くと、白いリト族は嬉しそうにリーバルの元へ歩いていく。少しほっとしながら、リンクは二人を眺める。彼も未来からの救援者ならリーバルと会うのは初めてなはずなのに、まるで村の仲間のように、年の離れた友人のように、お互いを認め合う師弟のように仲睦まじい。
 リーバルは得意そうに笑いながらリト族と話している。リーバルが生きていて、本当に良かった。そう思う気持ちは本当なのに、リンクの知らない同族と笑い合う姿を見ていると腹の底がぐるぐるする。生きているだけでいいのに、隣にいきたいと、リーバルと笑い合いたいと、次々に我侭がこみ上げる。
 この自分本意な気持ちはどうすれば消えるのだろう。並ぶ姿に違和感のない二人を見つめ、じくじくと痛む胸元を握る。深く深く息を吐いて、白いガーディアンの力によってヴァ・メドーへ乗り込んだゼルダの元へとリンクは足を動かした。



 英傑全てを救出する事ができ、特に旧知の仲であるウルボザの無事にゼルダは安心したように笑った。相変わらずのリーバルから、いないよりはマシだったんじゃないと捻くれた遠回しの感謝を受け取り、リンクもそっと目を細める。
 ウルボザとリーバルの元にも、やはり未来からの救援が来ていた。未来のゲルド族長であるルージュに、リトの戦士テバ。二人が救援に駆けつけてくれたお陰で、ウルボザとリーバルの救援に間に合ったのだ。
 未来では厄災に乗っ取られた神獣の中で英傑も戦死したと聞かされ、ゾッとする。ユン坊と、ミファーの弟であるシドの様子から薄々感づいてはいたが、本当に危ない状況だったのだと肝が冷えた。
 ゼルダがハイラル城陥落を伝えると、ウルボザは顔色を変え、リーバルはばさりと空へ急浮上し、メドーの上から西部周辺を見渡した。ハイラル城から押し寄せるガーディアンの大群を見つけ、降りてきたリーバルは「あれはメドーで迎え撃とうか」とゼルダへ指示を仰ぐ。
 ウルボザと顔を合わせたゼルダは頷き、では西部はリーバルに任せて私達はアッカレ砦へ向かいましょうとインパとリンクへ指示をする。
 アッカレ砦は、厄災の手に落ちたハイラル城から落ち延びた兵士達が周囲を魔物に取り囲まれ籠城している。一足先にミファーとシドがヴァ・ルッタで救援に向かっているが、砦を守り抜くにはまだ手は足りない。堅牢と名高いアッカレ砦が陥落すると、ハイラル軍やハイラルの民の士気に関わる。アッカレ砦だけは守り抜かねばならない。
 ヴァ・メドーから降りていくゼルダをインパに任せ、リンクは走った。空へ飛び立ったテバを見送り、メドーの制御装置へと飛んでいこうとするリーバルへ手を伸ばし、青い英傑の証を軽く引く。気がついて翼をとめたリーバルの背中へ、リンクはぐわっと頭を振りかぶった。
「ぐッ! なんだよ一体!?」
 ごつんと大きな音がして、リンクの額がリーバルの背部の鎧へぶつかる。額がじんじんと痛むけれど、リンクは背中へぐりぐりと額をこすりつけた。いつかの、二人で暮らした家でのように。
 リーバルは驚いたように、けれど嫌そうな声色で離れろと言う。翼を振り回してリンクを引き離そうとするのと、リンクが口を開いたのは同時だった。
「肉おにぎり」
「おい離れ、……は?」
「食べたい。肉おにぎり」
「!」
 察したらしいリーバルは押し黙る。これで、伝わるだろうか。リンクの後悔。また離れる前に、お互い生き残る事ができるか分からない中で、どうしても伝えておきたかった仲直りの意志。仲違いしたまま一生会えなくなるのは、嫌だった。
 長い沈黙のあと、リーバルは乱暴にリンクを振り解く。数歩下がったリンクへ視線すら寄越さない。
 それが、リーバルの答えか。先にリーバルがわざわざ肉おにぎりを作ってくれたというのに、それを受け取りもしなかったのはリンクだ。それなのに生死を意識した途端すり寄ってくるなんて、今更虫が良すぎるとリーバルが怒るのも無理はない。
 リンクはぐっと唇を噛み締め、踵を返そうとしたけれど。
「……君は、微妙な料理でも食べてれば」
 はーーっと腹の奥からいろんな感情のこもった息を吐き出したリーバルは、そっぽを向いたままそう言った。すぐにぴんとくる、いつか交した会話と同じだと。
「……俺は、肉おにぎりがいい。リーバルの作った」
「ヘェーあっそう。この前折角作ってやったのに受け取りもしなかったのは、一体どこのどいつだろうね」
「今度は食べる。ちゃんと。だから、また作ってほしい」
 そう伝えると、リーバルはリンクを見た。煌めく翡翠は嫌悪の色を湛えていない、リトの頃と同じ翡翠。リーバルはつかつかと近寄り、リンクの鼻先に羽先を一本突きつける。
「条件が一つ。この戦いが終わったら、なんて言わないさ。時間ができたら僕と話をつけろ。いいね」
「話」
「あるだろ、お互いに。話さないとならない事が」
「……」
「ま、それまでに君がくたばらなければね!」
 フンと鼻を鳴らしてメドーの制御装置へと歩き始めたリーバルの背中へ、頷き返した。
「ん。リーバルも」
「ハッ。誰に言ってるんだか」
頑張って!
進捗!東部に到着したのは日が落ちてからだった。空に浮かぶヴァ・メドーにまだ蒼い光が灯っていて胸を撫で下ろす。よかった、まだリーバルは生きている。
 メドーへの移動手段が無いので、まずはウルボザの救援へ向かった。迷路のように入り組んだ戦場を駆け回って魔物を薙ぎ倒し、白いガーディアンの力で神獣へ乗り込んだ。
 ヴァ・ナボリスの中ではウルボザと、ゲルド族らしき少女が戦っていた。雷電を纏う化物は、空から雷が一瞬にして落ちるように移動の速さが尋常ではなかった。まるで瞬間移動のように、気がつけばあちこちに移動して奇襲をかけてくる。
 シーカーストーンのビタロックやリモコンバクダンでなんとか動きをとめたところへ三人がかりで追撃する。瞬間移動にも一定の法則があると気づいてからは、奇襲を防ぐことも可能になった。
 追い詰められた化物が分身した時には顔を顰めたが、最後はウルボザの雷で勝負がついた。
「私が皆を助けてやるつもりだったが、逆に助けられちまうとはね。感謝するよ」
 ウルボザの疲れたような微笑みを見て、リンクは小さく首を振る。厄災の力を持った化物相手に女性二人で、よく奮闘されたものだ。さすがはゲルド族長だとリンクは感服する。
 残る英傑はリーバルのみ。ウルボザは事情を把握すると、ヴァ・ナボリスの力でローム山の頂上へ雷を落とし、上昇気流を発生させた。これでヴァ・メドーに乗り込める。
 体力を消耗しているウルボザの代わりにと、ルージュと名乗ったゲルド族の少女とローム山へ向かう。リーバルの救援が一番最後になってしまった。リーバルは、無事だろうか。
 リト族は夜目がきかない、日が落ちて苦戦しているはずだ。早く、助けにいかないと。焦る心のまま魔物を蹴散らし、普段なら苦戦を強いられるはずの白髪のライネルをも時間をかけず撃破する事ができた。
 リーバルの救援が一番最後になってしまった焦りと、一秒でも早く彼の元へ辿り着くため、魔物を屠る剣が荒々しくなった。顔についた魔物の返り血を拭っていると、まるで鬼神のようじゃな、なぜそこまでとルージュに怖がられてしまった。
 話は後だと、上昇気流へパラセールを広げて飛び込む。上手くヴァ・メドーに着地すると、羽の乱れたリーバルと知らないリト族が並んで空を飛んでリンクを見ていた。
 リーバルが生きていることへ安堵し、きっと未来からの救援者なのだろう白いリト族が当然のようにリーバルの隣にいる事が気になったが、それよりもと化物へ剣を向ける。
「おや。ここまで随分苦労したみたいだね? 無理して来てくれなくても良かったのにさ」
 リンクの疲労と負傷に目敏く気づいたらしいリーバルが背後へ降りてきた。憎まれ口を叩ける元気があるなら大丈夫だなと、いつもどおりのリーバルに安心した。仕返しにリーバルを振り返って首元を指し示してやれば、フンと鼻を鳴らして乱れた青いスカーフを巻き直す。
「英傑様はこう仰せだが……正直有り難いぜ。さっさと奴を倒しちまうとしよう!」
 リンクから少し離れたところへ降りてきた白いリト族が男らしく声を張り、化物へと矢を放つ。化物は両腕を振り回して次々と矢を落としていった。
 まずはシーカーストーンでビタロックし、追撃で勢い良く斬りかかる。同時に、リンクの攻撃を予想していたかのように空から弧を描いたバクダン矢の雨が降り、化物が地面へ倒れ込んだ。
 いまだと白いリト族が弓を乱射し、リンクも剣で加勢する。倒れたといっても防御が高く、なかなか攻撃が効いているようには見えない。
 化物が起き上がるタイミングで距離をとる。両腕の発射筒を向けられ、弾き返そうと盾を構えたところで横っ腹に衝撃。思わず地面に転がれば、リンクがいたところに巨大なレーザーが放たれるのと、急上昇してレーザーを回避するリーバルを見た。なるほど、さすがにあの大きさだと盾ではガードできそうにない。だからって蹴飛ばさなくてもいいじゃないかと思うけれど。
 回復したシーカーストーンでリモコンバクダンを投げつける。シーカーストーンの力は化物に対してやはり効果が高いようで、化物はがくりと項垂れた。瞬時に、リンクの背後へ回ったリーバルが空中からバクダン矢を仕掛ける。化物の向こう側から挟み撃ちにするように白いリト族が矢を乱射して、確実に化物へダメージを与え続けた。
待っている!いつまでも!
進捗…だけど、うーん。無双ムービー見てゾーラ姉弟に号泣して書き始めたから熱が入っちゃったんだけど、今までリバとリン以外の描写は省いてきたのに、西部救援戦、ちょっと詳しく書きすぎてるな…。明日、体調が良ければ手直ししたい…東部と西部に分かれ、厄災復活に備えていた神獣と英傑達。どちらから助けにいくべきかと焦るゼルダに、英傑達全員を救出したい気持ちは一旦置いて、戦術として考えると回復の力を持つミファーは誰より先に救出すべきなのではとインパが応えた。
 シーカータワーも使えず移動も制限されている中で最初に救出すべき英傑を選び出すのは難しい。ハイラル全土で戦いが繰り広げられている今、回復の力を持つミファーを一番に救出するというのは戦術として正しいと思う。リンクもインパに同意するよう頷くと、ゼルダは東の空を仰ぎ見てヴァ・メドーにまだ蒼い光が灯っているのを確認し、力強く頷き返した。
 馬を乗りついで西部へ急ぐ。神獣の元へ近づくにつれ、魔物の数が増えていった。討伐よりも先へ進むことを最優先にし、西部を目指す。
 ようやく辿り着いた西部には懸命に戦うゾーラ族がいた。ミファーは神獣に閉じ込められたまま、ヴァ・ルーダニアは溶岩に囲まれて近づけないと戦況の報告を受け、ゼルダはまずミファーの救出を指示した。回復の力と、ヴァ・ルッタの力でルーダニアまでの道を切り拓くためだ。
 ヴァ・ルッタの周りは厄災の影響で怨念に満ちた沼で囲まれていた。怨念の目を探しながら、襲いくる魔物を打ち倒す。今まで遭った魔物の中でも力を持つものばかりが出現し、行く手を阻んだ。
 インパと協力して怨念の目を潰し、最後の一つを探し当てたと同時に背後から雄叫びが上がる。振り向けば、氷のライネルが闘気を爆発させていた。ライネルが出現しないはずはありませんもんね、と顔を引きつらせながらインパが小刀を構える。
 ゼルダを下がらせ、インパと二人がかりで攻撃を仕掛けた。斬っても斬っても、ライネルはダメージをあまり受けない。巨大な剣を振りかざし、インパへ向かって一閃。慌ててインパが飛び退くと、下半身の馬の足を使い、ものすごい速さでリンクへ突進してきた。
 すんでで身を躱し、すれ違いざまに剣を振る。少しずつだが、攻撃が通るようになった。
 ふいにミファーの様子を感じとったゾーラ兵が「ミファー様のお力が弱くなっておりますゾ!」と悲鳴のような声を上げた。ライネルを警戒しながらも、早く倒さなければと心が焦る。
「リンク! 貴方は先へ!」
 ゼルダの命に、構えていた剣が揺れた。
「私達の中で一番力があるのは貴方です! ここは私達がなんとかしますから、ミファー殿を助けてください!」
 ゼルダに続いたインパが、ライネルと剣を交えながら叫んだ。姫付きの騎士が姫のそばを離れていいのかと躊躇ったが、ゼルダはシーカーストーンでリモコンバクダンを出現させて怨念の目へと投げつける。
「私は大丈夫です、ゾーラ軍がいるのですよ! でもミファーは、貴方にしか助けられない! 行ってください、どうかミファーを!!」
 ゼルダの言葉に周りを見れば、ゾーラ兵が懸命にゼルダへ近づこうとする魔物と戦っていた。小さな頃に遊んでもらった顔見知りのゾーラ族もいる。
 頷き、背中へ剣を戻してヴァ・ルッタへ駆けた。立ち塞がる魔物は斬り伏せ回避して、ヴァ・ルッタへ急ぐ。怨念の沼が一部消え、ヴァ・ルッタまでの道が出来ていた。ヴァ・ルッタの鼻先へ辿り着くと、常に後ろをついてくる白いガーディアンが発光し、リンクはヴァ・ルッタの中へと吸い込まれた。
応援してる!
前回あげた進捗をほぼ書き直しして、今回は西部のターン。リーバルさんは出てこない。前回より、これくらいあっさりの方がリバリンメインだしいいよね。東部と西部に分かれ、厄災復活に備えていた神獣と英傑達。どちらから助けにいくべきかと焦るゼルダに、英傑達全員を救出したい気持ちは一旦置いて、戦術として考えると回復の力を持つミファーは誰より先に救出すべきなのではとインパが応えた。
 シーカータワーも使えず移動も制限されている中で最初に救出すべき英傑を選び出すのは難しい。ハイラル全土で戦いが繰り広げられている今、回復の力を持つミファーを一番に救出するというのは戦術として正しいと思う。リンクもインパに同意するよう頷くと、ゼルダは東の空を仰ぎ見てヴァ・メドーにまだ蒼い光が灯っているのを確認し、力強く頷き返した。
 辿り着いた西部では、ミファーとダルケルが神獣に閉じ込められていた。魔物を蹴散らし、白いガーディアンの力で乗り込んだ神獣の中には、傷を負いながらも懸命に戦い続けるミファーと、リンクの知らないゾーラ族がいた。待っていたゾと親しげに声をかけてくるゾーラとともに、ミファーの隣へ並んで、水の力を纏う見た事もない化物と対峙する。
 どこか見覚えがあるようなゾーラの鬼気迫る勢いにつられるように、リンクも全力で戦った。姿を消してあちこちに移動され、射程の長い槍に翻弄されて苦戦したが、なんとか化物を倒す事ができた。
「信じてたよリンク。きっと来てくれるって……!」
 ミファーにぎゅっと握られた手。ひんやりとした温度の低いぬくもりを、ぎゅっと握り返す。失わなくて、よかった。背後でミファーと同じ赤い鱗のゾーラが嬉しそうに、けれどどこか寂しそうにミファーを見ていた事には、気付けなかった。
 体力を消耗したミファーをヴァ・ルッタに残し、オレも力になるゾと張り切るゾーラとともにダルケルの救援へ急ぐ。立ち塞がる魔物を斬り伏せていけば、ほどなく回復したミファーがヴァ・ルッタで援護する。道を切り拓いてくれたので、リンクはヴァ・ルーダニアへと乗り込んだ。
 負傷しながらもダルケルがいつもの豪快な笑顔で待ってたぜと両手を広げる。またも知らないゴロン族がいるのを不思議に思いながら、炎を纏う化物へ剣を構えた。
 髪のような羽のような炎を振りかざし、爆発を繰り返す化物へ、ダルケルの力に護ってもらいつつ戦った。知らないゴロン族もダルケルと同じ力を使えるようで、当たればひとたまりもない炎から二人に護ってもらって少しずつ近づき、シーカーストーンを駆使して戦った。
 何度か火傷を負いながらも倒した化物を見て、ゴロン族がわあっと歓声を上げる。
「君のおかげゴロ! やっぱり君は強いゴロね!」
「はっはっは! 俺達が揃えばこんなもんよ!」
 やっぱり君はと、まるで以前からの知り合いのように声をかけられるのに首を傾げていたら、俺達、と英傑ダルケルと一つ括りにされて、リンクは胸が温かくなった。助けられて、本当によかった。
 頃合いを見計らい合流したゼルダとインパ、ミファーとゾーラと、喜びを分かち合う。束の間の会議にて、神獣にいたゾーラとゴロン族は、未来から来た成長したシドとダルケルの子孫だと判明した。信じてもらえるかは分からないがと不安そうなシドを見て、感じていた義視感に納得する。
 戦況を整理し、ミファーとシドがヴァ・ルッタでアッカレ砦に救援へ、ダルケルとユン坊はハイラル城から押し寄せるガーディアンの大群を迎え撃つためヴァ・ルーダニアの制御装置へ歩き出す。
 リンクとインパはゼルダとともに東部へ向かった。ダルケルとミファーに未来からの救援がいたという事は、きっとウルボザとリーバルにも救援が来ているはずだ。絶対間に合うと、そう信じて駆ける。
 東部に到着したのは日が落ちてからだった。
応援してる!
本日の進捗。全然書けてない〜〜〜。この後、東西どっちから解放戦するか迷う!その瞬間、白いガーディアンが発光した。どこか神々しさを感じさせる青白い光は、空高く立ち昇り、大きな光を放って消えた。今のは何だったのかと白いガーディアンを見つめるが、不思議そうに音を鳴らすだけ。
 すると、聞こえた。ヴァ・メドーの鳴き声が、確かに。
 慌てて空を見上げると、空を飛ぶヴァ・メドーが点滅している。厄災に侵された朱と、本来の青い光が、厄災に屈しまいと必死に抗うように入り交じっていた。
 それを見て、確信する。リーバルはまだ生きている。生きて、厄災と戦っている。強いリーバルの事だ、そう簡単に倒されてたまるかと全力で奮闘しているのだろう。
 リーバルだけじゃない。きっと英傑全員が、まだ生きて、必死に厄災と戦っている。
「まだ、間に合う……?」
 ゼルダが希望を込めて呟いたのを、インパが力強く頷く。
「できることは残っているはずです! 行きましょう!」
 言い終わるやいなや、急いで踵を返すインパ。立ち上がり、不安そうにリンクを見つめてくるゼルダへ、頷き返した。ゼルダを待つ事なく、リンクはインパを追いかける。
 まだ間に合う。きっと間に合う。立ち止まっている時間は無い。きっと助けてみせるし、厄災はゼルダの力によって封印されるのだ。リンクはそう信じている。
 絶対に死なせない。あの喧嘩が最期だなんて認めない。リーバルにまだ言いたい事も山ほどあるし、できるなら、もう一度笑い合いたい。
 ようやく前へ歩き始めたゼルダの足音を聞きながら、リンクはぎゅっと拳を握った。
うるる😭
進捗〜!やっとガノンが復活しました。ついに、厄災が復活した。怨念に取り込まれるハイラル城を、絶望の面持ちでゼルダが見つめる。白いガーディアンの解析で見た、未来のハイラルと同じ光景。
 未来を変えられなかった。いや、その中でも最善の選択を選ばされたのだ、ハイラル王によって。貴殿はハイラルの姫の騎士だと救援を拒否された時、その後ろに見慣れた仲間の騎士と上官もいた。
 ここは任せろと、言葉は無くとも力強い頷きに背中を押され、リンクも武運を祈るように頷き返し、死地へ残るハイラル王を置いてはいけないと縋り嫌がるゼルダの手をとってハイラル城から脱出した。
 城の外に出て、シーカーストーンに映し出された驚愕の真実。朱に染まったヴァ・ルッタやヴァ・メドー。厄災復活に備えていたはずの神獣がガノンに乗っ取られた事を知った。
 思わず空を仰ぎ、遠くの空を見て、リンクは息を呑む。リーバルの操る神獣ヴァ・メドーが、朱い。暴走したガーディアンと同じ、厄災を思わせる朱。ガクリと膝を付き、項垂れるゼルダを慰める余裕は、なかった。
 神獣が乗っ取られたとしたら英傑は、リーバルは無事なのか。侮辱を受けた次に顔を合わせた時、すれ違いざまリーバルが言い難そうに「……この前は、悪かったよ。言い過ぎた」と謝ってきたのに、リンクは一瞥すらしなかった事を思い出す。許せるわけがないと、怒っていたから。
 まさか、あれが最期になるのか。リーバルがどんな表情で謝っていたのかも分からない、リーバルに返事もしなかったのに、あれが、最期?
 厄災復活は理解していたけれど、心のどこかで英傑に選ばれるほどの実力を持つリーバルは、厄災が復活したとしても無事でいるのだと思い込んでいた。人は、未知の厄災を前にすると、為すすべもないというのに。
 いやだと、強く思った。仲間が、リーバルが死んでしまうのは、いやだ。どうにかしなければと思うのに、どうすればいいのか分からない。ゼルダの懺悔に引きづられ、リンクも無力感にぎゅっと拳を握りしめる。
 その瞬間、白いガーディアンが発光した。
ありがとう、これで今日も生きていける
進捗!ここまでで、えーと、前の1話と2話で新1話になるから、7話の予定だったから、新4話の前半終了かな?次からようやくガノンが復活する感じ。なのにいつまでこの人たちすれ違ってんの…
あ、今回は仲間の騎士さん出てきます。リンクにヤリ逃げを教えた人。
「撤回しろ」
 ぐらぐらと腹の底が沸き立つほどの怒りを隠すことなくリーバルを睨む。リーバルは臨戦態勢をとりながらも、困惑しているように見えた。
「それなら、」
 けれど翡翠の瞳が一度瞼に隠され、再び開いた時には憤怒を色濃く湛えてリンクを見据える。あまりの視線の鋭さに剣先が揺れた。どうして、リーバルが怒るんだ。
「それならなんで君は!」
「何をしている!!」
 リーバルの言葉に被さるように鋭い声が割って入ったかと思うと、いきなりリンクの首の後ろが引っ張られる。一瞬息が詰まったかと思うと、無理やり頭を押さえつけられ、リーバルに頭を下げる形にされた。
「うちの者の愚行、大変申し訳ありません英傑様!!」
「……べつに」
 聞き慣れた上官の声と、威勢が落ちたリーバルの声が頭上でする。リンクの頭を押さえたままの隣をちらりと見ると、顔色を悪くした仲間の騎士が一緒に頭を下げていた。リンクの視線に気づいた彼は心配を表情全体に表して、頭を押さえた手に力を込める。
「何してんだリンクこのバカ!」
 頭を下げられたままヒソヒソと怒られる。退魔の騎士に選ばれたとしてもお前は軍所属の一介の騎士だろ、英傑様に剣を向けてタダで済むと思ってんのか、一緒に謝ってやるからちゃんと頭下げとけ!
 リンクが姫付きになったのを喜び、背中をバンと叩いて激励してくれた仲間の一人だ。持ち場が違っても、顔を合わせるたびにリンクへ気さくに声をかけてくれた騎士。今も、英傑リーバルへ剣を向けたリンクの身と行く末を案じて、ともに許しを請うてくれている。
 きっと上官も同じだろう、この上官はハイラル王へリンクの働きぶりを口添えしてくれた人だった。耳を澄ませば、どうか温情をとリーバルへ懇願しているのが聞こえる。
 リンクは唇を噛む。自分の感情だけで動いた結果、リンクに良くしてくれる人達へ迷惑をかけてしまった。
 ここは王城で、人の目も多い。退魔の騎士とはいえ、一介の騎士である自分が英傑であるリーバルへ手荒な真似をしてはならないのだ。
 リンクの振る舞いは全て、リンクを認めてくれている上官や仲間たち、リンクを任務に就かせたハイラル王やゼルダへつながり、彼らを信頼するための判断基準の一つとなる。
 常に己を律し、模範たれ。父の教示が脳裏に蘇る。どれだけ侮辱され腹が立とうとも、感情を殺し、上の者へ傅け。騎士でありたいのなら掟を守れ。忠誠を示し、誠実であれ。
 リンクはそっと目を伏せる。リーバルしか見えていなかった自分の落ち度だ。城の者は口さがない。きっと、今も姿は見えないけれど、どこかで見ている。護りたい人の評価を下げるわけにはいかない。
 リンクはリーバルへ膝を付き、頭を垂れる。申し訳ありませんと口にすると、リーバルは舌打ちをした。
「……僕が、コイツを試しただけだ。怒ってない」
「は。英傑様の御心遣いに感謝いたします。──下がりたまえ」
 不機嫌そうにしながらも、リーバルはリンクを咎めることは無かった。煽った自覚はあるのだろう。表情も感情も消して、リンクは立ち上がる。
 今ではリンクの方が立場は上だが、上官の命に従い、リンクはもう一度頭を下げて踵を返す。部屋に戻ろうと思っていたけれど、ゆっくり休めるような心境じゃない。王城の訓練場へと足を向け、後ろから突き刺さるリーバルの視線を振り切った。
 リーバルが何を言おうとしていたのかは、少しだけ気になった。
そういうときもある!
進捗〜!昨日の分と今日の分で少し長め!なんかどんどんすれ違うな…??近づく破滅の足音に焦燥を覚えたのは、ゼルダやハイラル王だけではない。任務中には考えないようにしていたが、リンクもじっとしていられず、寝る間を惜しんで鍛錬に励んだ。
 退魔の剣を手に入れた自分は、果たして強くなれているのだろうか。やるべき事はただ一つ、この世で唯一厄災を封印できる力を持つゼルダを、この身を賭してでも護ること。
 今までたくさんの相手と戦ってきた。魔物はもちろん、暴走したガーディアンやイーガ団に謎の人物、偽の英傑たち。その全てを辛くも退けてきたけれど、それはリンク一人の力ではない。皆で力を合わせたからこそ出来たのだ。
 これから厄災が復活し、魔物の力もいよいよ増す。謎の人物の事も気に掛かるし、逃げられてしまったイーガ団幹部らの事もある。──本当に、ゼルダを護り抜くことはできるだろうか。
 護衛はインパが務めるのでもう下がっていいとゼルダから暇を貰い、充てがわれた部屋へ戻る途中にいろいろと考え込んでいたら、ふと目の前に影が差して顔を上げる。
「案山子じゃなくなったと思ったら、随分と情けない顔をしてるじゃないか」
「!」
 目と鼻の先にリーバルがいて、リンクは思わず後退った。リーバルが前にいる事に全く気が付かなかった。そんなにも物思いにふけっていたのかと、自身の気の緩みに奥歯を噛み締める。
「なんで、」
「研究員に用があってね。話が長引いて日が落ちたから、たまには城で一泊するのも悪くないと思ってたんだけど、君の情けない顔を拝めるなんてねぇ」
「……」
 面白そうにリンクを覗き込んでくるリーバルを、睨みつけないよう意識する。今はリーバルと話す余裕がない。きっと今は、いつものように受け流せない。厄災復活の焦燥で黒いモヤモヤが腹に渦巻いているのに、リーバルの嫌味を聞いてしまうと、今まで我慢していた感情が爆発してしまいそうだ。
 気づかれないよう握った拳に力を込める。早く、早く立ち去ってほしい。
 表情を凍らせるリンクにフンと鼻を鳴らしたリーバルは、近づけていた顔をすっと離す。
「そんな辛気臭い面を見てたら、僕の羽まで湿気てしまいそうだ」
 大きなため息をついて歩き出すリーバル。早く立ち去ってほしいのに、呆れたようにひらりと振られた翼からなぜだか目が離せない。
 綺麗な瑠璃色の翼。あの家でリンクが何度も羽繕いした翼。あの時、リンクの体の隅々まで触れた、翼。
「……なんだよ」
「……? あっ」
 リーバルが通り過ぎる間際。思わず、羽先を掴んでしまった。慌てて放すと、リーバルは不愉快そうに眉をひそめる。
「なに」
「……べつに。なんでもない」
「ふうん。騎士様は誰彼構わず人の手を握るような軽薄なところがあるわけだ?」
「……」
 刺々しいリーバルの煽るような言葉にも反応できず、リンクは自分の手のひらをじっと見る。どうして翼を掴んでしまったのだろう。完全に無意識だった。掴んだ羽先の感触が、消えない。
 リトの翼だった。あの家でたくさん触れた、リトの翼。当たり前だけれど、あの家にいたのはリーバルなのだと改めて思い知る。
 ちらりとリーバルを見れば、顔を歪めてリンクが触れた翼をぱたぱたと振り、嫌がっている様子を隠そうともしない。
 リンクが触れることさえ嫌なのか。それはそうか、リーバルには嫌われているから。欲しいと手を伸ばしそうになる衝動を振り切るようにぎゅっと手を握り、リンクは小さく頭を振った。
「もう行くから」
「否定しないのかい。ま、女日照りの軍隊の中で君みたいなのが思わせぶりな事してれば、さぞ持て囃されるだろうね。僕にやったみたいにさ!」
「ッ」
 あまりの言い草に、目の前が真っ赤になった。ざわりと全身の血が沸き立つ。
 衝動のまま退魔の剣を抜き、リンクの様子に気づいてすぐさま臨戦態勢をとったリーバルの顔すれすれにマスターソードを突き付けた。
「……撤回しろ、リーバル」
 今まで出したこともない低い声で、喉が震える。
「お前は、いま、最大級の侮辱をした」
 リーバルがあの時、何を思ってリンクを抱いたのかは知らない。でも、いくらリーバルでも、リンクの気持ちを踏み躙ることは許さない。
 軍の仲間だって、リーバルが消えて落ち込むリンクを慰めてくれた。眠れず鍛錬を続けるリンクに夜遅くまで付き合ってくれた。リンクを持て囃しているわけじゃないし、無意識に出てしまう行動の数々は、リーバルにしかやったことがないのに。
 それをリーバルに、リンクが軽い気持ちで相手が誰でもそんな行動をとるのだと軽んじられている事が、許せないほど腹が立つ。
「撤回しろ」
やっちゃいましょう!
進捗!今日はいっぱい書いた!!うちのリバリンはリンゴが好きだなぁ…あまりにリーバルが突っかかってくるものだから、ミファーにもダルケルにも心配をかけてしまった。ミファーは人付き合いの苦手なリンクにも優しく姉のように接してくれた昔馴染みだし、ダルケルは戦いぶりが気に入ったとリンクを相棒と呼んで自分と対等だと認めてくれた。そんな二人に心配をかけてしまった自分が不甲斐なくて少し落ち込む。
 けれど、リーバルに対して態度を改めようとは思わなかった。リンク一人にだけ刺々しく突き放すような態度を取られているのに、リンクだけが以前のようにリーバルへ騎士の仮面を外すのは何だか悔しい。
 優しかったリトはもういない。今でも時折、あの翼の中の温かさを夢に見る。夢の中のリーバルは意地悪だけれど翡翠に好意を湛えて楽しそうに笑っていて、その笑顔を見るたびに、現実で顔を合わせたリーバルの冷たい態度に胸が痛んだ。
 リンクは怒っている。でも、あの翼がはためくたびに目で追ってしまうし、翼の中へ飛び込みたいと思ってしまう。冷たく睨んだりしないで、温かな翡翠で笑顔を見せてほしいと望んでしまう。
 リーバルはきっと、過ごした日々も、リンクを抱いた事も忘れているのだろう。それなのに、リンクだけまだ未練たらしくリーバルを求める気持ちが残っている。そんな自分が、悔しくてならない。
(そういえば、)
 優しかったといえば、リンクには気に掛かることがあった。コログの森での戦いの後の事だ。合流したミファーに大きな負傷は癒やしてもらったのだけれど、急激な治癒の影響と大きな疲労でリンクの体は限界だった。
 謎の人物が生み出した怨念の水でできた偽の英傑、中でもリーバルの強さは偽物だとしても飛び抜けて強かった。自信に溢れ、実力を誇示している理由が理解できたし、リトの村で戦った時には全力を出していなかった事もよく分かった。
 地上にいる相手と戦うのに、空を飛べるというのはかなりの有利性を持つ。全く地上へ降りてこず、かといって弓で狙っても突風を起こして躱されたり、簡単に避けられたりして、偽リーバルとの戦いが一番梃子摺ってしまった。
 一晩眠れば治るだろうと、姫付きの騎士としての仕事は確実にこなし、ゼルダが寝室へ消えたのを見届けてから、姫付きになって王城内へ充てがわれた自身の部屋へ戻った途端、糸が切れたように寝台へと倒れ込んだ。
 鎧も外さないまま、泥のように眠った翌朝。リンクの枕元にリンゴが一つ置かれていた。もちろんリンクが置いたものではない。
 仲間の体調には敏感なミファーにリンクの疲労が気づかれていて、頑張ったねとご褒美にくれたのかと思った。ミファーに礼を言うと、私じゃないよと慌てられて、リンクも驚く。
 騎士として訓練しているリンクは眠っていても気配には敏感だ。昔馴染みのミファーだから、枕元まで来られても無意識に安全だと判断し、そのまま眠り続けたのだと思っていたのだけれど、ミファーが違うとなれば誰だろう。
 ゼルダやインパならすぐさま飛び起きる自信はあるが、その二人では無いことは聞かなくても分かる。特にゼルダは、リンクの事を快く思っていないとリンクは知っている。
 ウルボザやダルケルなら気配を消されると気づかないかもしれない。でもウルボザやダルケルがわざわざリンクへ黙ってリンゴを届けるだろうか。あの二人なら、鎧くらい外した方がいいとリンクを起こしそうだから。
 浮かんだもう一人は、選択肢から消した。リンクへ散々な態度をとっているリーバルがわざわざリンゴを持ってくるはずが無い。
 結局、リンゴの送り主はいまだにわからないままだった。
応援してる!
進捗!今日の進捗で6話が終わった感じです。タイトルまじで決まらなくてどうしよう…二人とも無事で良かったと安堵するゼルダだが、リーバルはちらりとリンクへ視線を合わせたかと思うとすぐさまそっぽを向く。いかにもリンクの事が気に入らないと言いたげな不満そうな態度にリンクもつられてイラッとした。頭の片隅で、あの家で喧嘩をした時のようだと懐かしく考えて苛立ちを鎮めようと試みる。意識していないと表情を保っていられない。
 危惧すべきはリーバルの言う黒いガーディアンだとインパとゼルダが思案する中、リーバルはふいにリンクを見る。カチャリカチャリと鉤爪の音を立てて勿体ぶるようにゆっくりと近づき、嫌な笑みを浮かべてみせた。
「選ばれたっていう姫付きの騎士が、こんな案山子みたいな奴だとはね」
 ほんっとうに嫌味な奴だな、何なんださっきから! と声を荒らげなかったリンクは褒められていいと思う。リンクの実力を侮っているばかりか、遠回しに姫付きの騎士として不釣り合いだと嫌味を言われたのだとちゃんと理解した。腹が立ちすぎてつい視線が尖ってしまう。
 白いガーディアンが抗議するようにピポピポ鳴いて、すましていたリーバルが驚いた顔をした事に正直スカッとした。リーバルが肩を竦め、頼もしい奴らだよと思ってもいない言葉を口にするのを冷淡に見つめる。
 どういうつもりなのかは知らないが、リーバルは前のようにリンクと親しく接するつもりは無いらしい。仲間が言っていた、ヤリ逃げされたというのが真実のようだ。
 リーバルにとってリンクを抱いた事が、リーバルを介抱した礼代わりだったのだ。礼は返したのだからそれ以上は求めるなという牽制と、あの家でのようにリンクと気安い関係に戻るつもりは無いという決別だとリンクは感じとる。
 ならば、リンクも相応の態度でいいだろう。リンクは怒っているのだ。リンクの想いにきちんと向き合ってもらえなかった事も、礼として抱かれた事も、黙っていなくなった事も、再会してからのひどい態度も。リーバルに一言謝ってもらうまで気が済まないし、許さない。
(何回案山子って馬鹿にすれば気が済むんだ)
 リーバルに案山子呼ばわりされたのは二回目だ。よっぽどリンクの表情を読めない事が気に食わないらしい。
 それなら、リーバルの前ではとことん案山子でいてやろうじゃないか。ゼルダ付きの騎士として、神獣の繰り手であるリーバルと顔を合わせる機会はきっと多い。リーバルの嫌う騎士の顔で彼と接する、それがリンクの意趣返しだ。
「そういえばリンク、リーバル殿と知り合いではなかったのですか?」
 ゼルダと話しているリーバルを見ながらインパが不思議そうに尋ねてくるのを、リンクは黙って首を振った。
これ好き! 好きすぎる!
進捗。今日はちょっぴりしか進まなかった〜〜肩で息をするゼルダを見て、リンクの激情は凪いた。ゼルダがここにいる以上、私的な戦闘はするべきではない。姫付きの騎士として動かねばならないから。リトに対するモヤモヤは腹の奥底に押し込める。
 ゼルダへ了承の意を込めて小さく頷き、背中へ剣を納めたリンクを見て、リトは不機嫌そうに鼻を鳴らした。同じく背中へ弓を納め、リトはぱたぱたと衣服の埃を落としてからゼルダへ歩み寄った。リンクはその後ろに続く。警戒したインパがゼルダの前へと立ち塞がろうとするのを、ゼルダがとめた。
 リトはばさりと大きく翼を広げ、恭しく頭を下げてみせた。
「これはこれは、ハイリアの姫。お会いできて光栄だよ。せっかくの訪問だというのに手荒い歓迎になってしまってすまないね。しかし、姫の訪れがあるのなら、こちらへ知らせの一つくらいあって然るべきだと思うんだけど?」
「いいえ。こちらこそ突然の訪問と、二人の狼藉をお詫びいたします。──貴方が、リーバルですね」
「如何にも。この僕こそが、リト族一の戦士リーバルだ」
 堂々たる風格を漂わせるリトを、リンクは後ろから見ていた。リーバルというのか。ようやく彼の名を知った。同時に、英傑候補は彼なのかと剣を交えて知ったその強さに納得しつつも、リーバルのリンクへの態度には釈然としないままだ。
「ハイリアの姫を村の外で凍えさせるわけにはいかないからね。ようこそ、リトの村へ」
応援してる!
進捗〜。リーバルさんとの戦闘シーンは一気に書き上げてしまいたかったけどツギハギになってしまったので、今度手直しします。とりあえず、姫が痴話喧嘩をとめてくれました。リトが大きく羽ばたき、急上昇。すぐさま突風を巻き起こしたのを、リンクは避けず、風に突っ込む。まるで竜巻のような風へ飛躍してパラセールを広げた。驚いた顔をするリトへ風の力で素早く近づき、剣で一閃。
 羽ばたくために脚で掴んでいた弓を瞬時に持ち、リンクの剣を防いだが、暫し拮抗したのち、重力と勢いも加勢したリンクの剣に弾かれ、リトが地上へ吹き飛ぶ。後を追うようにリンクもぐるりと宙返りの要領で加速して落下し、リトが地上へ着地する瞬間を狙って剣を振った。まともに入った攻撃はリトを吹き飛ばし、村の門へと叩きつける。
 ぶわりと粉雪が舞う中、ダメージを負ったはずなのに、リトは空へ急浮上する。ふわふわと雪が宙を漂い、リトの姿形がぼんやりとしか見えない。弓を構えたかと思えば、空へ向けてバクダン矢を撃ってみせた。
 行動の意味はわからないものの警戒して盾を構えたところで、後ろからリトの気配。盾を構え直したのと重い蹴りを受けたのは同時だった。空からの降下の勢いを乗せた蹴りが重くて後ずさる。
 ハッとして顔を上げると、先程空へ向けたバクダン矢がリンクへ落ちてくる。しまった。これを狙っていたのか。慌てて盾を構えて爆風に耐えるが、至近距離の爆発に盾が弾き飛ばされてしまった。
 くそ、と毒づく暇もなく、空中からのバクダン矢の追撃。もうもうと立ち込める煙と粉雪でリンクの周囲が何も見えなくなる。やられた、思わず顔を歪めてしまいそうになるのを堪え、剣を構えながらリトの気配を探った。
「流石の君も……」
 声が煙に反響して位置を特定できない。目を凝らし、全身で周囲を警戒する。感じとった気配へ振り返ると、煙の中から現れたリト。今にも放たれそうな矢へ振り下ろした剣は、空を斬る。
「ここまでだ」
 空中で身を躱し、リンクの背後へ回ったリトが低く唸る。それでもリンクは諦めず、返す刃でリトが矢を放つと同時に剣を振るった。
 リトと交わる視線。あの家で、いつも見ていた翡翠の瞳。あの時と同じように、翡翠の瞳にリンクが映る。その翡翠はただ冷たくて、何かを感じとる事はできなかった。
 その事実に悔しくなる。リンクの事なんてどうだっていいと言われているようで。リトのつがう矢を受けたとしても、リトへ一撃入れてやりたかった。
 「待ってください!」
 強い感情は、突然のゼルダの制止によって無へ還る。リトの羽先がぴくりと動いたかと思うと、ゼルダの命令に従って動きを止めたリンクの剣へわざとぶつけるように矢を撃った。思惑通り剣に弾かれた矢は空高く舞い、重力に従って地面に刺さる。
 肩で息をするゼルダを見て、リンクの激情は凪いた。ゼルダがここにいる以上、私的な戦闘はするべきではない。姫付きの騎士として動かねばならないから。
 背中へ剣を戻したリンクを見て、リトはつまらなそうに鼻を鳴らした。
ありがとう、これで今日も生きていける
昨日支部にあげたリバリンえろのお話について少し気になったので補足します!
⚔は途中から激しくなったリーバルさんを抑えることができず、初めて内臓を突き上げられる感覚が慣れずに苦しかったのと、処女なので痛かったのがあって、リーバルさんがイッたあと「やっと終わった…」ってグッタリしてたけどそこまでショックは受けてません。なんだかんだ、リーバルさんと結婚した自覚はありますからね。
ぼんやりしてたのは、痛みには慣れていたはずだけど体の外を傷つけられるのと中を突き上げられるのとでは痛みの種類が違って、堪えるのに疲れていたからです。そしたらリーバルさんが甲斐甲斐しく水飲ませてくれたので、「ああ疲れた。あとはリーバルに任せよう眠い」って寝てしまったということでした。
このお話のリンクは強かですので、これくらいじゃへこたれません。次の日の朝はリーバルさんよりも早起きして自分で狩ってきたケモノ肉をもりもり食べて「おはよう、リーバルも食べる?」って話すくらい元気ですので大丈夫ですからね。
リーバル視点で書いたらリンクが最後すごく強姦された感が強かったので補足でした。
文章力と構成力が私にもっとあれば、そういうところをきちんと書けたんだろうなと思うと力不足を実感します…精進あるのみ!
わかる、わかるよ……