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QnrI7gzw3gn5MhB6/29 7:15モブ女?注意そのコンビニエンスストアは入ってすぐのところにレジスターが設置されていて、だから客は入店してすぐカウンターの中の店員を横目に店内へ進んでいくのであるが、その日|猿川慧《さるかわけい》はいつもの通り店に入って、いらっしゃいませと甲高い声で叫んだ見慣れぬ女性店員を、お、と思ってちらりと一瞥した。アルバイトであろうか、どこか初々しい雰囲気を纏う彼女は学生にも見えれば猿川と同じくらいの年齢にも見え、いかにも日本人という顔立ちで、目も鼻も口も耳までも造りがちんまりとしていて可愛らしい印象を与える。所在なさげにカウンター内をうろうろして、先輩であろう店員の言葉にこくこくと頷いてにこにこしている様子から新人であると分かるが、会計時の動きなどはてきぱきとしていてなかなかしっかり者であるらしい。
 猿川はちらちらと彼女を盗み見ながら商品を物色した。適当な菓子と炭酸飲料を手に取り、さて何気ない風を装って連絡先でも聞いてみるかなと意気込んで、会計に向かおうとしてはたと立ち止まった。そして|一寸《ちょっと》考えてから視線をカウンターの背面の壁に向ける。何だか菓子とジュースだけを買うのは格好がつかないような気持ちがしたので、たまには煙草でも買ってみようかと、要は普段吸いもしない煙草を背伸びして買ってカッコつけようというわけであるが、そういうことで思い立ってまた彼女の居る会計へと進んだ。
「商品お預かりいたします」
「あー、あと、タバコ」
 猿川は煙草の銘柄も勿論番号なども知らないから、ぶっきらぼうにこう言って商品を置いた。しかしまぁ色々あるもんだなと棚をじっと見ていると、やけに彼女の返答の遅いのが気になって「オイ」と声を掛ける。彼女は猿川の顔をじっと見、それからその下の体をじっと見、もう一度顔をじっと見つめて、
「申し訳ございませんが、未成年の方にお煙草を販売することはできません」
と、こう言った。
 猿川は驚いて、ピッと目を見開いて。暫し口も聞けずにタップリ黙り込んでから、
「あ? 未成年? 俺が? どっからどー見たって成人男性だろォが!」
と、青筋を立てて怒鳴った。驚いたやら、恥ずかしいやら、とにかく自分の自尊心がことごとく壊されるのを彼は感じた。それは今まで未成年に間違われたことなんぞ幾らでもあったし、マァ老けて見られるよりは幾らかマシであろうと思ってそこまで気にもしなかったけれど、今から口説いてやろうかと思って近付いた女に言われるのでは訳が違う。もう引き返しも付かぬから、じゃあもう煙草は良い《い》と吐き捨てて、彼女が商品をレジスターで読み込むのを、眉をしかめながら黙って見つめた。怒鳴られた彼女は怖がる様子も無く、商品を丁寧に袋に詰めて愛想の良い笑顔で、「ありがとうございました!」と言って猿川にそれを渡したのであった。



「マァ猿ちゃん若見えするからねェ」
「だァらってあんなに真正面から言うか? 普通。本当に未成年じゃなかったらどうすんだよ。『未成年の方にお煙草を販売することはできません』、じゃねーよ」
「お仕事なんだから仕方ないでしょ、文句言わないの」
 猿川が帰宅してからずっと不機嫌でリビングのソファに腰掛けていたので、夕飯の準備をしていた|本橋依央利《もとはしいおり》は一段落ついてから、話を聞いてやろうと思ってその隣に座った。一部始終を聞いた本橋は何をそんなことで怒っているのかと少し呆れたけれど、彼には彼なりの譲れないものもあろうしと思って取り敢えず当たり障りないようなことを言って、猿川の頭をぽんぽんと撫でた。猿川はその手をやんわりと払い除け、唇を尖らしてぶつくさと言っていたが、本橋にたしなめられ口を閉じた。
「ていうか、いつも煙草なんて吸わないじゃない」
「吸っちゃわりィかよ」
「要はさ、女の子の前でかっこ付けたかったんでしょ? 可愛いの? その子」
「ア?」
 本橋は猿川と距離を詰めて座り直し、口の端をにやりと持ち上げて小声で尋ねた。猿川はこのとき初めて自分の行動が間違っていたことに気づいた。つまり、本橋は服従を愛する前に元々が節介焼きであるから、こんな話を持ち掛ければ彼が水を得た魚のようにあれやこれやと探ってくることは予測できたはずであったのにも関わらず、不機嫌が募りよく考えもせずにありのままを話してしまったのは失敗であったということである。確かに猿川はコンビニエンスストアの彼女に、俗に言う一目惚れをしたのかも知れない。彼女と同じ空間に居た時間は多くて五分程度のものであろうけれども、その短時間、彼女はただ不器用ながらに堅実に仕事をこなしているだけで猿川の心を捉えたのであった。猿川の中で、彼女に対する感情は確かにそういうものであった。しかしこの感情を他人に知られるとなると、これは猿川にとって目下一番避けたいことであった。一目惚れなどしたと知れたらと思うと背中に悪寒が走った。同居人たちにからかわれる未来は手にとるように想像できるし、何よりまるで中学生みたいな恋の仕方をしている自分が恥ずかしかった。だからなるべく隠し通して、万が一に上手くことが進めばそれとなく皆に伝えようかということを漠然と考えていたのである。しかし、時既に遅し。猿川は本橋の意地の悪い視線から逃れるように顔を背け、居心地悪そうに頭を掻いた。
「猿ちゃんの女の子の好みとか、よく考えたらそういう|話《はなし》したことないよね。ね、どんな|娘《こ》なのさ」
「……」
「その子の連絡先欲しいんでしょ? 協力してあげるから教えてよ」
「ぜってェ教えねェ」
 猿川はキッ、と本橋の顔を睨みつけてソファから立ち上がった。本橋は飽く迄これ以上口を割るつもりの無さそうな猿川の様子を見ると、苦笑を浮かべながら背もたれに両腕を広げてもたれかかった。いつもならこういう具合に反発されれば、それ以上声を掛けないようにする。埒が明かないし、あれが彼の|カ《﹅》|リ《﹅》|ス《﹅》|マ《﹅》なのだからそれを尊重してやろうという気持ちもあった。然し、今回ばかりはいつものように見過ごすわけにはいかなかった。慧が誰かに明確な恋愛的好意を寄せるなど極めて珍しいことであるのに、それを彼のあの頑固さと天邪鬼でふいにしてしまっては勿体ない。確かに面白がっているところが無いと言えば嘘になるし、この後は絶対にハウス中の皆に言いふらす心づもりであるけれども、友人として、彼の恋を応援したいというのもまた本橋の正直な気持ちであった。
「言ったね? じゃあもうその子のことについて何にも喋っちゃ駄目だよ」 
 居間を後にしようとする慧に、本橋は切り札を叩きつけた。猿川の肩がぴくりと揺れる。彼は短く吸った息を長く吐いて、それからゆっくり本橋の方を振り返った。かつて無いほどの葛藤が表れた親友の複雑な表情に、本橋は吹き出しそうになってそれを賢明に堪えた。そして猿川の言葉を待った。 
「……俺とおんなじくらいの歳の女。声が高くて、……なんかレジんとこでウロチョロしてんのが小動物みてえだった。髪は後ろで結んでて、黒髪で、化粧も別にしてねェんだけど。目が丸くて、鼻とか口とかがマァちっちぇェの」
「うん」
 猿川は言ってから、ずかずかとまたソファに戻ってきて本橋の顔をむんずと掴んだ。本橋は努めて真面目な顔をしていたつもりであったけれど、実際は、猿川が柄にもなく女性の容姿を褒めるような言葉を紡ぐのがいかにも可愛らしくて口角のにやけるのを抑えきれていなかった。猿川は顔をこれ以上無いくらい耳まで真赤にして、不服そうな顔で本橋の頬をつねった。
「痛、痛いって、ふふ、あはは」
「笑ってんじゃねェぞ!」
「ごめん、ごめんってば、ふふふ」
「ぶっ殺す」
「分かった、分かったから! ね、笑って悪かったよ」
 本橋は猿川の手を引き剥がして、それでもまだ笑いを堪えられない様子で侘びた。
「馬鹿にして笑ってるんじゃないんだ、猿ちゃんにも春が来たなぁって、嬉しいから笑ってるんだよ」
「馬鹿にしてんじゃねぇか」
「してないってば」
頑張って!
応援してる!
待っている!いつまでも!
やっちゃいましょう!
大丈夫......!
そういうときもある!
行ける気がする!
落ち着けっ!
いつもありがとう!
きっとうまくいく!
大丈夫!
どんな道も正解だから
負けないで!
一緒に頑張ろう!
後悔させてやろうよ!
明日はきっとよくなるよ
のんびり行こう!
人は変われる!
なるようになる!
頼む、続きが読みたい!
この本欲しすぎる
これ好き! 好きすぎる!
ありがとう、これで今日も生きていける
発想にすごく引き込まれた
いや、十分すごいよ!
ぐはっ😍
おお〜😲
うるる😭
なるほど
それいいね!
共感する
響くわ〜
マジ天使
天才!
エロい!
神降臨!
素敵
かわいい
きゅんとした
泣ける……
ぞくぞくした
いいね
待っている!いつまでも!
いつもありがとう!
わかる、わかるよ……
苦しいよね
悩むよね
確かにね
その通り!
もちろん!
激しく同意
わかりみがすごい
お前は俺か
そうかもしれない
大変だよね
うん、うん。
そうだね
そう思う
そうかも
それな
うるる😭
大丈夫......!
そういうときもある!
なるほど
共感する
大丈夫!
のんびり行こう!
泣ける……
おめでとう!
やったぜ!
やるじゃん!
エライ!
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