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#惚気話
ぷーさん2年前前に出した同人誌と同じ設定の本をまた出したいなーって言う願望を吐き出しておいた。
顔が良すぎる彼氏を持った彼らの惚気話。
「お前さ、猫の交尾って見たことある?」
 突然言い出したゼオンの一言に飲んでいたラテを吹き出しかけたレインジは、盛大に噎せながら否定するように首を振ってトンデモナイものを見るような視線を投げかける。
「ふーん、そっか……猫ってさ、交尾の時に雄が雌の首の後ろを噛むんだよ。逃げないように……」
「そ、それがどうしたの……?」
「バラカも噛むんだよなぁ。興奮しすぎてると、無意識に俺の首の後ろにこう、ガブッと」
 何でもあけすけに話す男である事はレインジも知っているが、普段は聞かれない限り自分の恋人との夜がどんなモノだなど口走らない。そんなゼオンが少し嬉しそうな顔で、自分の首筋に触れながら話すのをレインジは自慢だと思いながら聞いていた。
 お互いにお互いの恋人をよく知っているおかげで、二人きりで話すことは基本的にそう云う話になる事はままあった。
 特にレインジは奥手で恋人のレイケルはレインジを大切にしすぎて、肉体関係を持つまで長く掛かったのが原因でもある。それに対してゼオンとその恋人であるバラカはまるでコミュニケーションの一つであるとでも言うように、スキあらば二人で部屋に籠もってしまうほどお互いに求めあっているのをレインジは知っていた。
 そんな状態でもゼオンは決してバラカとの関係を問われない限りは話さないし、バラカを狙っていたであろう女子を前に勝ち誇るような態度も取らなかった。
 レインジがどうして今日はこんなにも饒舌に話すのか、と不思議な気持ちになり始めた頃ゼオンはレインジの首の後ろを指さした。
「気付いてないみたいだから言っておくけど……お前も噛まれてるからな。服装には気をつけろよ」
「ぅえっ!?」
 思わず変な声を挙げて自分の首の後ろを隠すように手を当てるレインジに、ゼオンは声を噛み殺すように笑った。
「でもさ、嬉しくないか?バラカやレイケルみたいな女が騒ぐ容姿のやつらが……俺たち相手に理性をなくすほど欲情するって」
 自分の乾いた唇を潤すようにぺろりと舌で舐める仕草と、うっすら桜色に上気する頬を見たレインジはゼオンは口にしないだけで本当は凄く所有欲が強いのだと思い知る。共感を求めながらも真意はバラカを自分のものだと、未だにアプローチを止めない女性を暗に笑っているのだ。
 これまでのバラカがそうしてきたように、ゼオンに飽きる日が来ると軽んじている一部の期待を断ち切るつもりでこの場所で話すことを選んだのだと周りに鈍いと言われ続けるレインジにすら分かった。
「ゼ、ゼオン……こんな場所で、話すこと……じゃないよ!」
 聞き耳を立てていたのであろう近くの席の学生たちがヒソヒソと二人を盗み見ながら何かを話しているのが視界に写り、レインジは恥ずかしさで消え入りたくなる。
「……気にするなよレインジ……お前だって相応しくないとか言われるんだろ?教えてやればいい、相応しさを決めるのはあの二人だって」
 その言葉にはっとして顔を上げたレインジは、ゼオンがレインジが受けている陰湿なやっかみを知っていたのかと驚いている。
「……バラカが、ゼオンは面倒見がいいって……本当だったんだね」
「お前が胸張ってレイケルがエッチするのは俺だけだって言えばまどろっこしい事しなくて済んだんだけどな」
「そっそれは……無理だよ……」
 あはは、と笑うゼオンに対して赤面して顔面を両手で覆ったレインジは大きなため息を吐き出した。
「……ありがとう、ゼオン……」
「ま、暫くは噂のせいでそういう目で見られるとは思うけどな。この国でオープンにする奴って少ないし」
 ゼオンの言わんとしてる事を察したレインジは苦笑いをしながらも受け止めるよと呟く。
「あー、そうそう。さっきの噛み跡は本当だからな?お互いに顔のいいケダモノ彼氏で苦労するよな」
「──────っ!!??」