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uyr0302
2/8 15:05
#テイルズウィーバー
#マキピン
マキピンバレンタイン小説 2022ver.
とりあえず頭に浮かんだことを走り書き
はしりがき
2/8 15:05
マキシミンは、意外なことにそこそこモテる。
良く分からないけど、意外と優しいところがあって素敵だとか、意外と面倒見が良くてカッコいいとか、そんな理由でモテているらしい。
だから、マキシミンはバレンタインデー当日に、そこそこな量のチョコレートをもらっていたのだ。
ービターチョコレートー
「ククク……これだけあれば、一週間は食っていけるな」
チョコレートの山を見て、マキシミンは満足げに笑う。 どうやら、ジョシュアからもいらないチョコレート(失礼だと思う)をもらって、現在、マキシミンの机の上には大量のチョコレートの山が出来上がっているのだ。 何も知らない男の人たちは、その机を見て彼を心底羨ましそうな顔をして去っていく。 中には舌打ちして去っていくものもいた。
───これで酒代にお金が回せるぜ、なんて思っているマキシミンなんて、みんな想像つかないんだろうなぁ
思わず、ボクは「はぁ……」とため息を零した。
「……なんだよ」
声をかけられるとは思っていなかったので、ボクは目を丸くしてマキシミンをみる。
「へ?」
「へ?ってお前な、人のチョコ見てため息吐いてたじゃねーか」
「あぁ、まぁね」
素直に答えれば文句を言われること間違いないので、あえて言葉を濁す。 どうせ言ったところで、高貴な人間には分からないうんぬん言わるのが落ちだ。
一方マキシミンは、ボクの返事が気に入らなかったのか、眉間に皺を寄せてボクを見つめていた。
「……そういや、まだもらってねーな」
「何を?」
ふと、思い立ったようにマキシミンが呟くので、ほぼ反射的に問いかける。
その問いに、マキシミンはますます眉間の皺を深く寄せて、半ば睨みつけるようにボクを見ていた。
「な、なんだよ」
「なんだよ、じゃねーよ。なんか渡すもんとか、ねーのかよ」
「……まさか、そんだけ貰っておいて、ボクからもチョコレートが欲しいとか言い出すんじゃないだろうね?」
どんだけがめついんだ。
マキシミンはボクの答えにカチンときたのか、口を尖らせた。
「……けっ、公女様からのお恵みはないってことですか。随分ケチなお姫様なことで」
「ふん、悪かったなケチな姫で。だいたい、そんなにチョコもらって食べたところで、キミの生活習慣病が悪化するだけじゃないか」
「俺はまだ若いから、問題ねーんだよ」
「あっそ。じゃ、はいコレ」
スッと小綺麗にラッピングされた細長い箱を渡せば、マキシミンは信じられないものを見る目でボクを見てきた。
「なんだよ。チョコ欲しいんでしょ」
「あ、あぁ……」
おずおずとボクから箱を受け取って、まじまじとそれを見つめる。 なんだか、貴重なものをもらって喜んでいるようにも見えて、ちょっと恥ずかしくなった。
「言っておくけど、それ、みんなにオルランヌのお土産として渡しているから。たまたま今日がバレンタインデーだったから、チョコレートを渡しているだけで、キミが特別ってわけじゃ、ないんだから」
「ふーん」
そういいながら、マキシミンはいつの間にか開けていた箱から、チョコを1個取り出して口に運んでいた。
今食べるんだ。 晩御飯とかで食べないんだ。
「……ん? これ洋酒入りのチョコか」
「そ、キミお酒好きでしょ?」
「俺が特別って訳じゃなかったのかよ」
「一応それぞれが好みそうなチョコレートを選んできたの。キミのはそのボンボンショコラってだけ」
「へぇ、随分買い込んだようで」
「まぁね、でも、色んなチョコを食べ比べることができて、楽しい買い物だったかな」
「そっちがメインかよ」
先ほどの睨みつけるような視線と打って変わって、どこか嬉し気な表情をして、マキシミンは2個目のチョコレートを口に入れる。
「それ、美味しいでしょ。チョコレートはビターでちょっと苦みがあるんだけどさ、中にある洋酒がフルーツシロップのように甘くて。試食したときに、マキシミンにはこのチョコレートだって、思ったんだ」
「ふーん」
「ただ、ちょっとアルコール度数が高いから、一度にたくさん食べないようにって注意されてって! 人の話聞いてるの!?」
「あぁ、聞いてる聞いてる」
そういって、ワザと見せつけるように最後の5つ目をマキシミンは口に運んだ。 実はそんなにお酒に強くないくせに、次の日頭痛くなってもボクは責任を取らないぞ。
ギロリと睨みつけると、目が合ったマキシミンは、ふにゃりと表情を崩して笑った。
「ん、美味かった」
「え、う、うん。どういたしまして???」
今度はボクが信じられないものを見るように、まじまじとマキシミンを見つめる。
その行為をどう受け取ったのか分からないが、マキシミンはボクに腕を伸ばして、そのままボクの身体を引き寄せてきた。 危うくバランスを崩してこけそうになるのを、彼にもたれるような形で踏みとどまる。 というか、マキシミンは椅子に座ったままよくボクを引き寄せられたな。 強引というか変に器用というか。
「ありがとな。やっぱり、お前のくれるチョコが、一番美味しい」
ボクの首筋に頬ずりして、甘えた声でマキシミンは言う。
……どう考えてもマキシミンらしくない言動だし、ちょっぴり、いやかなり恥ずかしくなってきたので、無理やり身体を引きはがそうとすると、今度は胸に顔を埋めてきた。
「ちょ、ちょっとマキシミン!」
「好きだ」
「へ!?!?」
は!?今こいつなんて言った!?!?
思考停止に陥って固まっていると、しばらくして、スースーと一定のリズムで吐き出される寝息が聞こえてきた。 これまた器用に、ボクをガッチリと抱きしめたままで。
「……だから、一気に食べるなって、言ったのに」
仕方がないので、ボクはローテーブルに腰かけて、胸に埋まっているマキシミンの顔を抱えるように腕を回した。 チクチクと当たって痛いので眼鏡を外して除けてみれば、子どもが母親に甘えるように、だらしない寝顔を彼は覗かせていた。
「やれやれ、こいつのどこが、そんなにモテるのか。 ただのヘタレな子どもじゃないか」
ぽんぽんと頭を撫でてやれば、幸せそうな表情を浮かべた。 つられてしまって、こちらも思わず頬が緩む。
「酒の勢いであることないこと喋るんだから。こいつに惚れた女の子たちは、苦労するだろうな~」
そんなこいつが選んだ女の人は、もっと苦労するに違いない。 ボクは未来のマキシミンの彼女に、心の底から同情した。
願わくば、もう少し立派な男に彼を矯正してほしい。そんな素敵な女性が、彼の傍にいることを信じて。
彼の寝息に誘われるように、ボクも瞼をそっと閉じた。
数時間後、この光景を目にした仲間の悲鳴によって、ボクらは目を覚ます。 その後、何故かマキシミンにみんなが詰め寄って何かを聞きまわっていたが、それはまた、別の話。
fin.
かけた!
2/14 16:29
ちょこっと内容変えて投稿しました~
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17005713
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