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トッティ
10/2 23:15
#ザックラ
ザックラでポリネシアン。3日目の頭まで書いた。
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#ザックラ
ザックラでポリネシアン。
現在3日目の頭まで書いた。
はしりがき
10/2 23:15
死んだと思っていたら、本当は生きていて。ずっと、胸に秘めていた気持ちをやっとの思いで伝えて、晴れて結ばれた俺たち。空白の時間をゆっくりと埋め合うように俺たちは日々を大切に歩んでいた。
長い長い年月を経てトモダチから恋人になった訳だから、多分、本来なら身体を重ねることも当たり前のようにするとは思う。でも、俺たちは違った。
夜寝る時に互いに寄り添い、抱きしめ、軽く触れるだけのキスをする。そして、生きているということを感じる為に互いの鼓動を感じる。そうして、また無事に朝を迎える。
俺たちはそうやって日々を過ごしていた。
別にクラウドに欲情しないとか、そういう訳ではない。ただ、愛するというのは身体を重ねるだけじゃないというのが初めてわかったような、そんな気がする。
それと、俺は兎に角クラウドのことを大切にしたい、守りたいという気持ちのが強いせいだろう。
なんとなく、気になったからクラウドに聞いたこともある。セックスしたい?ってストレートに。クラウドからの返事は「あんたがしたいなら、構わない」だった。そもそもクラウドが男との経験どころか、女の子ですら経験は殆どないんじゃないかと思っていたからクラウドが冷静に返事をしてきたことに俺は驚いた。
多分、俺の知らない所でクラウドはとっくに大人になっていたんだと思う。少し、寂しいなと思ったけれども、拒絶されるよりかは、全然良い。ただ、そう言われても互いに離れていた月日が長すぎたのか、上手くことに運ぶことはできなかった。
「はぁ〜…」
「そんなに俺と飲むのが嫌?」
俺が大きな溜め息を吐いていれば隣にいるかつての同僚、久しぶりの再会に一発殴ってきたカンセルが尋ねてきた。
「いや、そうじゃなくてさ…大人になるって複雑、みたいな?」
「なんだそれ。もしかしてクラウドにがっついて愛想でもつかれたか?」
「違う違う。寧ろクラウドとはまだそこまでしてないというか…」
俺がポソッと言葉を零せばカンセルは「はぁ?!」と素っ頓狂な声を上げた。
「生きて再会して、晴れて恋人同士になってどのくらい経った?」
「んー…二ヶ月くらい?」
「毎日一緒にいるのによく我慢できるな…」
俺は飲みかけのグラスに視線を落とした。別に我慢をしている訳では無い。クラウドと一緒に生きているだけで、幸せを噛み締めている部分もあるし、クラウドを傷つけたくないというのもある。
「ちゃんとクラウドには訊いたよ。セックスしたい?って」
「またお前はストレートに訊くな…それでクラウドはなんて言ったんだ?」
「『あんたがしたいなら、構わない』って言われた。俺がクラウドを抱きたい側でいるのも話した」
「それで良いってクラウドは言ったのか?」
「うん。あっさり受け入れるからそれにも驚いたし…なんかさ…俺の知らない所でクラウド大人になってたのかなぁって思っちゃって…」
「成程な。でも流石に受け入れる側はクラウドもないだろ」
「うん、神羅にいた時そういう声をかけられたこともあるらしいけど、上手くかわしてたみたいだからな。襲われかけたら殴ってたとかも言ってたから」
「クラウドって美人のわりにやるタイプだったもんなぁ。見た目の割に男らしさがあるっていうやつ?」
カンセルは納得するかのようにグラスを片手に持ちながら頷いていた。俺もそれに同意するかのように頷いた。
正直、クラウドの周りは俺を含め、ガタイのいい人が多いせいか、クラウド自身が華奢に見えてしまうこともある。でも、実際はそんなこともない。背は少し低いかもしれないけれど、ティファと一緒にいる時なんかは昔よりもずっと男らしさが見えていた。
「クラウドが良いって言うならすれば良い話なんだけど…」
「それだけお前がクラウドを大事にしたいってことだろ。まぁ二ヶ月経って何も無いは驚きだけど…それだったら、あれだ、ポリネシアンセックス試してみたらどうだ?」
「ぽ…ぽりねしあん?」
「俺が思うにお前とクラウドは肉体的繋がりより精神的繋がりを大事にしてるんだと思う。ポリネシアンセックスっていうのはそういう繋がりを大事にしたセックスの仕方だな。五日間かけてやるんだけど、四日間は裸になってお互いにハグしたり、キスをして触れ合うだけ。ただその間絶対、下には触れない。んで、五日目になったらすべて解禁なんだけど、挿入した時は三十分は動かない。まぁ動ける時間になったとしても激しくするのはオススメできないけどな」
流石物知りのカンセルだ。カンセルの話によると、四日間焦らしに焦らした上で気持ちよくなるのは勿論、それだけお互いの愛情が大きいこともわかるらしい。
「そんなやり方があるんだなぁ…」
「セックスに対する考え方も変わるぞ。まぁ、俺もお前もそんな頻繁にやる側ではなかっただろうけどさ」
「まぁなー…」
よくソルジャーは女遊びをしてるだとか、俺自身が女の子が好きだったというのもあるせいなのか根も葉もない噂が飛び交うことはよくあった。正直、女の子とはデートぐらいはしても、そこから先の関係を想像することなんかなかったし、したいとも思わなかった。付き合い上仕方なく、というのはあったけれども、俺はそれが凄く嫌だった。
それと、ソルジャーの中では互いに性欲処理をするような関係もよく見られていた。戦闘に出れば興奮が冷めやらずというのか、その流れで関係を持つ人もいた。
…奇しくも俺もその一人だった。ただ相手は一人だけ。誰とは言わないけれど。でもその関係は長く続くことはなかった。
「あまり言いたくないけど、お前ならクラウドのこと優しく抱けるだろ。色々わかってるだろうし」
「うーん…そうだと良いんだけどな。取り敢えず、試してはみるよ。クラウドに痛い思いはさせたくないしな」
俺が知っている痛みをクラウドには味合わせたくないから。それこそ、愛し合うことのひとつの形として受け入れて欲しいと思っているから。
「ま、頑張れよ。結果報告、待ってるから」
「それまで言わなきゃならねぇの?」
「七年も心配かけた代償だ」
「デカい代償だな」
小さく溜息を吐きながらも互いに笑い合った。
「ただいま」
事務所兼、家へと戻ればクラウドも配達から帰ってきたばかりの様子だった。なんでも屋として二人で始めたのはいいものの、ストライフ・デリバリーサービスが基盤になっているのは変わらない。
「おかえり。カンセルに会ってきたんだろ?」
「うん、元気にしてた。あいつソルジャーだった時と変わらなかったよ。今は情報屋として日々色んな所駆け巡ってるってさ」
「そうか、それならよかった。食事も済ませてきたか?ティファが新メニュー考えたからよければって貰ってきたんだけど」
クラウドはそう言いながらテーブルの上に皿を置き、ティファから貰ってきたであろうものを袋から出そうとしていた。
「つまみ程度だったから、腹はまだまだ余裕!新メニューってなんだ?」
「野菜たっぷりキッシュって言ってた。野菜嫌いの人でも食べれるようにって」
「お、じゃあクラウドにピッタリじゃん」
「俺は別に野菜嫌いじゃない、名前がわからないだけだ」
互いにクスクスと笑い合いながらも、クラウドはティファから受け取ったキッシュを皿の上にそのままドンッとのせた。中々の大きさだ。
「美味そ〜」
「マリンとデンゼルにも好評だったみたいだな」
クラウドはそう言いながら切り分けるための小型ナイフを取り出した。料理は出来なくても、ナイフの扱いに関してはクラウドは上手かった。クラウドがキッシュを取り分け、俺の目の前に置く。優しい香りが漂い、食欲をそそらせる。手渡されたフォークを手に取り、軽く手を合わせ、俺とクラウドは同時に「いただきます」と発した。
一口大のキッシュをフォークに刺し、口へと運ぶ。サクッとした食感から口の中では柔らかくとろけるような味が広がる。野菜の食感はあったが、甘みが上手く引き出されている。
「流石ティファだな。こんな手料理出されたら胃袋掴まれて当然だ」
「そうだな」
「俺たちティファに胃袋掴まれてるかも」
二人で生活をするようにはなっても、食事に関しては週の半分くらいはティファの所で済ましているも同然だ。俺が作る時もあるけれど、ティファには敵わない。というか、クラウドにとって慣れ親しんでいる味だろうし、クラウドの当たり前の生活になっていたものを俺が奪うつもりはなかった。
だから、いくらお互いに形が恋人同士となっていても、普通の恋人関係とは違うような感じになっているのかもしれない。
二人で当たり前のように日常を過ごす、それだけでも幸せを感じていた。ただ、その幸せがずっと本当に続くのだろうかという不安が過ぎることも全くない訳では無い。
だからこそ、時間をかけて、ちゃんとクラウドと身も心も結ばれたい。俺はそう思いながら、キッシュを食べ終え、フォークを皿の上にそっと置いた。それを合図にするかのように口を開いた。
「クラウド」
「なんだ?」
「あのさ、前に話してたことなんだけど…」
いざ、話そうとなると妙な緊張をしてしまう。男を見せろ、と言い聞かせながらもあまりにも空白の時間が長い。でも、また長引かせてはいつまでも進展しない。それでいたらいけないということは分かっていたから、俺は息を飲み込み、クラウドを真っ直ぐに見つめた。
「クラウドのこと、抱いてもいい?」
「…それなら前から良いって言ってる。ザックスが俺を抱きたいなら、俺はそれで構わない」
「でも、クラウド経験ないだろ…?」
「…そうだな。でも、ザックスがそうしたいなら、俺は受け入れるよ」
クラウドの頬が僅かに赤くなっている。再会して初めてキスをした時もそうだった。今は少しずつ慣れたのか、キスだけで赤くなることはなかったから久々に恥ずかしくなっているクラウドを見て、俺はなんだか嬉しくなった。
「そっか、ありがと。でも…最初からいきなり最後までしようとは思ってないから…」
「…どういうことだ?」
「俺…クラウドを傷つけたくないし、これから先もずっと一緒にいるならゆっくりやるのも良いかなって…」
カンセルから聞いたとは言わずにこれから日をかけて徐々に互いの身体のことを知るというような流れで俺は説明した。クラウドはそれを聞けば納得したように頷く。
「それじゃあ…今日から早速始めるってことで良いのか?」
「うん。夜の時間以外はいつもとあまり変わらないけど、これから五日間は仕事も全部二人一緒にして、なるべく二人でいる時間を増やすんだ」
お互い共にする時間を増やすことによって、リラックス効果もでるらしい。積み重ねにはなるけれども、これもクラウドを傷付けない為だ。
「わかった。それで今日は…」
一日目にあたる今日はお互い裸になるだけ。触れることも一切しない。正直クラウドの裸は俺は見慣れている。クラウドは覚えていないかもしれないけれど。
「今日は裸になるだけだから。同じ男同士だ、今更恥ずかしがることもないだろ?」
そうは言いながらも正直俺自身、余裕はない。クラウドの身体をいくら見慣れていると言っても、いざこういう時になると緊張してしまう。クラウドはどうかわからないけれど。
「そうだよな…うん、わかった。じゃあ俺…先にシャワー浴びてくる」
「おう。これの後片付けは俺がしておくから」
「ありがとう」
キッシュを食べ終えた食器類をまとめ、残ったキッシュにはラップをかけて、冷蔵庫へとしまうことにした。
後片付けを済ませ、俺はソファーへと腰を下ろし、一息つく。浴室の方からわずかにシャワーの音が聞こえれば妙に鼓動が速くなり始めた。
「今日は一日目…一日目から緊張してどうするんだ、俺…」
自分の顔が熱くなる感覚がし、俺は顔を軽く覆い隠しつつ、落ち着くためにも深呼吸をした。クラウドに情けないところは見せたくない。
本当に大切な人と結ばれることがどんなに幸せなことなのか、それを俺はクラウドに知って欲しかった。俺自身が出来なかったことでもあるから。いや、これから五日後にクラウドと無事に結ばれれば、俺も本当に大切な人と初めて結ばれることになる。だからこそ、失敗は出来ない。
「やるぞ、俺…!」
気合いを入れるかのように俺は両頬を軽く叩いた。
「ザックス」
「う、うわ!」
不意に声をかけられれば目を開き目の前で濡れた髪を拭きながら俺を見つめているクラウドの姿があった。
「…シャワー空いたから、ザックスも浴びてきたら?」
「お、おう…クラウドは先に部屋で待ってて」
「うん…」
ポンッと軽くクラウドの肩を叩きながら横ぎれば、クラウドの頬が微かに赤く染まっているのがわかった。多分、俺の顔も赤くなっていたと思う。
クラウドに気付かれていないと良いなと思いつつ、俺はそそくさと浴室へ向かった。
熱いシャワーを頭から浴び、部屋へ戻る前に自分の身体をじっと鏡で見つめる。ソルジャーだった頃の身体と見た目は変わらない。昔負った傷も残っている。特に胸から腹部にかけて切り込まれている傷に関しては消えることはないだろうと医者にも言われた。
元々死んでいたも同然の俺の身体だ。傷のひとつやふたつ、消えないのは当たり前なのかもしれない。ただ、この傷を見れば、俺の身体をクラウドは受け入れてくれるのだろうかと不安にもなる。
この傷をつけた相手がクラウドの故郷を奪い、母親の命を奪い、幼馴染であるティファでさえも命の危険に陥れた。そして、俺はその相手と…いや、もう過ぎてしまったことだ。それに、特別そいつに未練を持っている訳でもない。俺たちはそれだけ都合の良い関係でしかなかったのだから。
「…俺がしっかりしてないと、クラウドを不安にさせちまうもんな。俺は過去に囚われないぞ!」
もう一度自分の両頬を軽く叩き、一先ず部屋着に着替え、大きく深呼吸をした。そして、クラウドが待つ寝室へと向かった。
寝室の扉をゆっくりと開けば部屋が既に薄暗くなっていた。クラウドはベッドの上で部屋着を纏ったまま、身体を少し丸めながら横になっていた。
「クラウド…?」
待ちくたびれて眠ってしまったのだろうかと思いながらベッドへと近付けば、クラウドは身体をゆっくりと起こした。
「もしかして、寝てた?」
「いや…少し横になってただけだから」
クラウドは首を軽く横に振った。横になっていたからなのか、いつもと違うところまで髪が少し跳ねていた。
「クラウド、ちゃんと髪乾かした?」
「…タオルで拭いた」
「ドライヤー使わなかったのか?」
「…忘れてた」
俺は仕方ないなと呟きながらも、小さく笑い、自分の首にかけていたタオルをクラウドの頭に被せた。
「ほら、髪乾かしてやるから」
俺は寝室のベッドサイドからドライヤーを取り出し、スイッチをいれる。
「ん、ありがとう」
「どういたしましてー」
タオル越しでクラウドの髪を優しく乾かすようにする。クラウドの髪を乾かすのも俺は手慣れていた。というかクラウドの世話に関しては九ヶ月間の逃亡生活の中でマスターしていたと思う。それは時が経っても忘れることはなく、今こうやって二人で暮らしている中でもクラウドの世話を俺は自分がしたいからという理由でしている。クラウドも別に嫌がったりはしない。
「気持ちいいか?」
「うん」
「もしかして俺に髪乾かしてもらいたくてわざとこうしてたとか?」
揶揄うように笑いを含めながら尋ねる。クラウドはその言葉を聞けば僅かに頬を赤らめていた。
「別に…本当に忘れてただけだから…」
「そっか。ま、乾かして欲しい時はいつでも言ってよ」
「うん…」
クラウドの髪を乾かし、整えた後に自分の髪も軽く乾かし終える。ドライヤーとタオルを片付ければ俺はベッドへ腰を下ろした。
「ザックス」
「なんだ?」
「…今日は服、脱ぐだけなんだよな?」
クラウドが膝を軽く抱え、少し丸まりながら小さな声で尋ねる。俺はその言葉に頷いた。
「お互いの身体をまずは知るのが大事だから。まぁ、俺はクラウドの身体結構知ってるけどさ…でもそれって生きる為にしてきたことだし…それに俺の身体をクラウド、お前に知ってもらいたいから」
言葉がつまりそうになったけれども、真っ直ぐにクラウドを見つめながら俺は言った。
「ザックスの身体…」
「うん。クラウド、俺の身体そんなに見たことないだろ?一緒に風呂入ったこともあるけど…多分覚えていないだろうし」
「そうだな…ぼんやりとしか…」
「だろ?セックスするにはまずお互いの身体を知ることも大事。ただ気持ちよくなるだけじゃダメなんだ」
正直、俺が言って説得力があるのかわからないけれど。クラウドのことを好きになるまでは、苦しみの中にある快感に酔いしれるのがセックスだと思っていた節もある。あくまで、それは俺が経験してきたことだから。そうではない、本当の気持ちよさを俺はクラウドに知って欲しいし、俺自身も知りたい。身も心もひとつになりたいと思ったのはクラウド、ただ一人だから。
「そうか…うん、わかった」
「取り敢えず…服、脱ごうか。一緒に脱げば平気だろ?」
俺もクラウドもまだ部屋着は纏ったままだ。シャワーから浴びてそのまま寝室に来ればよかったのかもしれないけれど、なんだかそれが出来なくて。クラウドが先に部屋着を着ていたのもあるかもしれないけれど。
「そうだな…」
「じゃ、一緒に脱ごうか」
俺たちは互いに少し頬を赤らめながらもゆっくりと纏っていた部屋着を脱ぐ。互いに上着を脱いだ瞬間、目が合えば妙に恥ずかしくなり、思わず目を逸らしてしまった。
「な…なんか、恥ずかしいな…」
「そうかも…」
同じ男なのに恋人同士というだけでこんなにも緊張してしまうのだろうか。薄暗い部屋でもわかる見慣れたクラウドの色白の肌に俺は息を飲み込む。
「下も…脱がないといけないんだよな?」
「あ、あぁ…」
互いに目を合わせ、ゆっくりと頷き、下着ごと履いていた部屋着のズボンを脱ぐ。互いにそれを脱げばベッドの下へと落とし、身体を向き合わせ、見つめ合う。
「……」
互いにまだ羞恥心のがあるのか、沈黙が静かに流れる。このままではいけないと思い、俺はゆっくりと唇を開いた。
「クラウドの身体…綺麗だな」
「え…」
透き通った白い肌、薄ピンク色の唇、華奢ではないけれど、ほどよく整った身体。同じ男とは思えないほど、クラウドは全部が美しいと言える存在だ。
「綺麗なのかな…でも…俺の身体には傷があるし…」
クラウドが顔を俯かせながら、自分の胸元にそっと手を触れる。その傷は俺が負っている傷と全く同じ傷だ。クラウドにも俺と同じ傷が刻み込まれている。
「…傷、消えなくてごめん。俺があの時あいつを止めることが出来れば…」
思い出せば自分の身体に刻まれている傷も疼くような、そんな気がして、俺は胸元に手をあてる。すると、クラウドはゆっくりと首を横に振った。
「ううん、ザックスのせいじゃない。それに…ザックスの身体にも俺と同じ傷があるから…でも、傷跡がおそろいだなんて、おかしいかもしれないな」
クラウドは苦笑いを浮かべていた。俺はクラウドのその言葉を聞けば小さく笑った。
「おかしくなんてない。この傷痕は俺とクラウドが戦った証だ。それにクラウドはこの傷を負いながらも…ソルジャーの身体じゃなくてもあいつを倒したんだ。誇らしく思っていい」
「ザックスがそう言うなら…」
クラウドは俺の言葉を受け入れたかのように微笑みを浮かべながら頷いた。本当はクラウドの身体に傷跡なんて残ってほしくなかったけれど。でも、お互いに同じ傷を抱えているのであれば、それを受け入れることは容易い。傷跡も含めて、愛することが俺たちには出来る、そんな気がした。
俺たちは笑い合いながらも、また互いを見つめ合った。今度はクラウドがゆっくりと口を開く。
「ザックスの身体は他にも傷あるんだな…」
「まぁ…それなりに戦ってきたし。傷だらけの身体は嫌?」
「ザックスがこれまで戦ってきた証だろ?嫌だなんて思わない」
「はは、そっか。ありがとな」
クラウドの真っ直ぐな言葉に俺は少し照れ臭くなり、左手で軽く頭を掻く。自分の身体をじっくりと見られて、言葉をもらうなんてことは初めてだ。少なくとも俺の経験上だけれども。抱く側であっても抱かれる側であっても俺の身体に関心を持つ人なんて今までいなかったから。
「俺、ザックスの身体好きだな。その…変な意味じゃなくて。俺なんかよりも身体付きが良いし、羨ましいというか…」
その言葉に俺は一瞬目を見開いた。自分の身体をそんな風に言われるのは当然ながら初めてだった。
「…じゃあ、クラウドが俺の身体もっと好きになってくれるように鍛えなきゃ」
恥ずかしさを誤魔化すかのように笑いながら俺は言った。クラウドも俺が誤魔化しているのがわかったのか釣られてクスクスと小さく笑ってくれた。
「俺もザックスに負けないようにしないとな」
「クラウドは今のままでも十分だと思うけどな」
クラウドが自分の身体に軽く手を触れている姿を見れば、俺は無意識に自分の手をクラウドの方へと伸ばしていてハッとした。
「ザックス?」
「あ、ごめん。今日はお互いの身体を見るだけなのにな」
クラウドの身体を見れば見るほど、触れたくなる。でも、三十分お互いの身体を見つめるがルール。俺はそれを頭の中で言い聞かせ、ぐっと堪えた。
「でも、こうやって身体を見るだけでこんなにも緊張するなんて思ってなかった…」
「俺も…同じ男同士なのにな」
お互いに頬を赤らめながら、俺たちは互いの身体を見つめ合い、恐らく今までで一番長く感じる三十分を過ごした。
三十分経てば、お互いに抱きしめ合い、そのまま眠りにつくのが良いらしい。正直このままの状態で眠りにつけるのか怪しい部分もあった。でもやっとクラウドに触れることが出来ると思えば俺はそっとクラウドを抱きしめ、そのまま二人でベッドへと潜り込んだ。
俺もクラウドも何気なく話をしていたけれど、お互いに緊張は解けなかったのか身体が熱く、鼓動も響いているような気がした。
「こうするだけでこんなにドキドキするなんてな…」
ポリネシアンセックスは焦らずゆっくりと時間をかけるのがコツだ。生殺しなのでは?と最初思った部分もあるけれど、ただお互いの身体を見つめ、こうやって抱きしめ温もりを感じるだけでも今まで以上に感じたことのない幸福感に満たされている。
「今日だけでこんなに緊張しているから、これから先どうなるんだろう…」
クラウドが目を伏せ、軽く身体を擦り寄せながら呟いた。俺はクラウドの頭を軽く撫で、微笑みながら答える。
「それは明日にならないとわからないな。でも俺、クラウドが嫌だって思うようなことは絶対にしないって約束する」
もし、途中でクラウドが嫌になってしまったら、俺は止める覚悟もしている。無理をしてまで身体を繋ぐことをしたくはない。心だけでもしっかりと繋がっていればそれでも良い。二人で生きていることが奇跡に等しいというのもあるから。
「ありがとう、ザックス」
「好きな子を大事にするのは当たり前のことだから」
「はは、ザックスらしいな…」
クラウドの声が徐々に小さくなり、暫くすれば静かに寝息が聞こえてきた。
「…おやすみ、クラウド」
クラウドを起こさない程度に抱きしめ直し、そのまま俺も眠ることにした。
翌日。日中も二人で過ごすことが重要とされている為、二人で出来る依頼を引き受けていくことにした。大型の荷物を配達したり、エッジ近辺にいるモンスターを退治したり、猫探しをしたり。二人で行動しているおかげか、依頼された仕事に関しては早めに終わった。
「よし、これで今日の仕事終わりっ。このまま真っ直ぐ帰るだろ?」
「あぁ。特にこれと言って用事もないし…」
最後の依頼主から報酬を貰えば依頼主の家の前に停めていたフェンリルの元へと足を運ぶ。そして、クラウドがフェンリルに跨がれば俺もそれに続くようにして後部座席に跨る。
俺がいつものようにクラウドの腰に軽く手を回す。一瞬クラウドの動きが止まったように見えたが、クラウドは何事もなかったかのようにエンジンをかけた。
「クラウド、どうかした?」
「あ、いや…なんでもない」
俺の見間違えでなければ、クラウドの耳がほんのりと赤くなっていることに気が付き、俺はなんだか嬉しくなり、そのままクラウドに軽く抱きついた。
「ちょっ…」
「クラウド結構スピード出すからしっかり掴まってないといけないだろ?」
クラウドの背中に軽く顔を擦り寄せ、俺は微笑んだ。些細なことでも俺のことを意識してくれるクラウドが堪らなく愛おしい。たった一晩、お互いの身体を見つめただけで、いつも以上に愛おしさが込み上げる。
「…振り落とされないようにしてくれ」
「りょーかーい!」
運転の妨げにならない程度に俺は身体を密着させた。俺より小さな身体でもクラウドの背中に顔を軽く擦り寄せると落ち着く。フェンリルが風を切りながら走っていてもクラウドの体温が伝わり、それが心地よく、俺は目を伏せた。
「ただいま〜」
「おかえり」
二人で帰ってくる時でも、クラウドより先に帰ってきて誰もいない状態でも俺は必ず「ただいま」と言う。これは昔から変わらない。ソルジャーの社宅で暮らしていた時も、そうしていたから俺の中で習慣づいているものだ。クラウドは最初不思議がっていたけれど、今ではすっかり馴染んだのか俺の言葉の後には必ず「おかえり」と返してくれるようになった。
リビングへと向かえば俺はキッチンへと足を運び、冷蔵庫の中身を確認しながらクラウドに声をかけた。
「クラウド、今日の夕飯なんだけどさ、昨日ティファから貰ったキッシュと簡単なもので良い?」
「俺は構わないけど…ザックスはそれで足りるのか?」
普段の俺だったらもっと食事の量は多い。だからクラウドは不思議がっていたが、食事量を減らすことも重要なことだった。
「うん。ポリネシアンセックスする時ってさ、食事量も普段より減らすんだって」
「そ、そうか…今日は二日目だから…昨日とは違うんだよな?」
俺がポリネシアンセックスのことを話せばクラウドは思い出したかのように頬を微かに赤らめる。
自分で話しておきながらもクラウドが頬を赤らめれば俺も釣られるかのように照れ臭く微笑みを浮かべる。
「うん…クラウドはさ、昨日俺の身体を見て触りたいって思った?」
昨日はお互いの身体を見つめるだけだった。二日目の今日からは少しずつ身体に触れることが許される。昨日と比較したら、この二日目はこれから先の為にも重要な始まりとも言える。それを迎えるためにもクラウドが昨日俺の身体を見て触れたいと思ったかどうかは重要になってくることだった。
「俺は…触れたいって思った。抱きしめるだけじゃなくて、もっと…ザックスのことを知る為にも触れたいって」
色白のクラウドの肌がほんのりと赤く染まっている姿が可愛らしくて、堪らない。このまま日が完全に沈むのを待たずして、寝室へ流れこみ、昨日の続きをしてしまいたいと思うくらいに俺の気持ちは大きくなっていた。でも、それを堪え、俺は静かに微笑んだ。
「良かった…じゃあ今日も大丈夫だな」
「今日は…触れても良い日なのか?」
「うん。触れても良いし、軽めのキスなら良いんだって」
「そ、そうか…」
クラウドは俺のような経験はなくても、男としての経験は一度だけあると俺に話してくれた。ただ、それは本当に自分たちの命が消えてしまうかもしれない、だから最後に生きた証を互いに残そうという意味を込めて、その一晩だけ身体を重ねたと話してくれた。生きているものであれば最後に働く本能のようなものだろう。そのことまで正直に話してくれるくらいだから、経験が浅いのはすぐにわかった。
「軽めのキスなら今までもしてきただろ?」
「そうだけど…少し緊張するというか…」
「俺だって緊張してるから。でも大丈夫、俺たちのペースでゆっくりやっていこう」
クラウドを少しでも安心させるように微笑みかけながら俺は言った。俺の表情を見ればクラウドはホッと胸を撫で下ろし、微笑み返してくれた。
「うん、ありがとう、ザックス」
「クラウドのこと大事にしたいから当然のことだって。よし、少しでも長く時間は取りたいからさっさと夕飯済ませるか〜今準備するからクラウドはリビングで休んでて」
「わかった」
日が暮れる頃に夕飯を済まし、互いにシャワーも浴び終えれば昨日よりは少し早い時間に寝室へと向かった。互いにベッド乗り、まずは昨日と同じように裸になる。
「やっぱり一日だけじゃまだ慣れないな…」
クラウドが恥ずかしそうに膝を軽く抱えながら苦笑する。俺も昨日の今日ではまだ慣れていないのか、薄暗闇の中で映えるクラウドの色白の身体を見れば胸の高鳴りが激しくなった。
「うん…でも慣れてない方が良いのかも。お互いに知らない所、たくさん知ることができるかもしれないから」
クラウドの髪に手を伸ばし、優しく撫でながら微笑みかける。
「そうかもな…」
目を細めながらクラウドも俺の髪に手を伸ばし、優しく撫でてくれた。お互いに髪を軽く撫で、目を細めながら見つめ合えば自然と惹かれ合うように唇をゆっくりと重ねた。キスは何度かしたことがあるけれど、今までしてきた以上にクラウドの唇が柔らかいと感じた。今日は触れるだけのキス程度にしなくてはならない。だから、俺は角度を変え、軽く唇を啄み、そのままゆっくりとクラウドの身体をベッドへと沈み込ませる。
唇を離せば、クラウドの身体に手をそっと這わせ、優しく撫でる。色白いだけではなく、触れればクラウドの肌が滑らかなのがよくわかる。
「ん…くすぐったい…」
俺の手が肌を滑り込むのが擽ったいようで、クラウドはクスクスと小さく笑い、身体を僅かに捩らせる。俺はその様子を見ながら手を滑らせつつ、再びクラウドの唇に自分の唇を重ね、そこからゆっくりと首筋、鎖骨、肩へとキスの雨を降らしていった。
「ん…、」
「まだくすぐったい?」
そんなにすぐ慣れるものでもないから、恐らく擽ったいのであろうと思いながらも俺はゆっくりとクラウドの肌に手を滑らせる。クラウドは頬を赤らめ、目を細めながら吐息を僅かにこぼし、俺を見つめる。
「は、ぁ…くすぐったいけど…身体が段々熱くなってきているような…」
「そっか…それなら俺と一緒だ」
お互いにまだ自分自身が熱くなっている訳ではなかったけれど、肌から伝わる体温は確実に上がっていた。その熱を互いに求めるかのように身体を擦り寄せ、何度もキスの雨を身体中に降り注ぐ。
互いに昨日見た傷跡にも優しく、触れるだけのキスをした。
「本当に同じところに傷できてるな、俺たち…」
クラウドの傷跡に軽く指を這わせ、自分の身体についている傷跡に視線を落とす。クラウドも俺の傷跡を見れば、そこに手を伸ばし、軽く撫でる。
「でも…ザックスの方が、傷…深いように感じる」
見た目からすれば殆ど同じような傷跡なのにクラウドは少し眉を顰めながら呟いた。
「そうか?まぁ、俺の方がもっと色んな傷受けてきただけなのかも」
それは事実だけれども、多分クラウドが言いたいことはそういうことではないのかもしれない。クラウドが自分の経験してきたことを素直に話したように俺はクラウドに自分の過去を全て話してはいなかった。ただ、俺にとっての過去は柵でしかなくて、クラウドとの未来を考えれば伝える必要はないと思っている。それにクラウドと共に生きて行くことによって、俺が過去に負った傷は消えていくという確信があった。
クラウドがゆっくりと身体を起こせば、俺と向き合い、そのままクラウドの方から唇を重ねてきた。
クラウドからされるとは思っていなく、俺は思わず目を見開いた。
「クラウド…」
「…俺もザックスに触れたいから。次は俺の番」
まだ恥ずかしさはあるのだろう。クラウドの頬が赤く染まり、手は緊張のせいか少し震えていた。
俺は口元を緩め、微かに震えているクラウドの手を取り、自分の胸元へと誘った。
「いいよ。好きなだけ触って?」
「うん…」
クラウドが触れやすいように今度は俺がゆっくりとベッドへと身体を沈ませる。俺がクラウドにしてきたことと同じようにクラウドも俺の身体に手を這わせ、優しいキスの雨を降り注がせる。誰かにこんなに優しく身体を触れてもらったことはあっただろうか。記憶を辿っても、そんな覚えはない。ただ、互いの欲望を満たすだけのセックスとは全然違う感覚だ。
ぎこちなさがあっても、クラウドの手が唇が俺の身体に触れるだけで、味わったことのない幸福感と心地よさに満たされていく。肌を重ねて触れ合うだけでこんなにも満たされるなんて想像もしなかった。
その後、俺たちは互いを求め合うように交代しながら触れ合った。時間にしてどれくらい経ったのかはわからない。でも、これ以上したら、そこから先に進んでしまいそうだと言ったところでお互いに身体を擦り寄せ、見つめ合った。
「今日はここまでにしよう、これ以上したら我慢できなくなりそう…」
「ん…わかった…」
クラウドが頷けば、俺はそのままクラウドの頬に手を伸ばし、もう一度だけ触れるだけのキスをした。
カーテンの隙間から僅かに光が射し込み、俺はゆっくりと瞼を開く。ふと視線を落とせば腕の中で眠っていたはずのクラウドの姿がなく、俺は身体をゆっくりと起こし、辺りを見回した。
「クラウド…?」
いつもなら俺の方が早く起きる。クラウド自身が朝弱いというのもある。ただ、俺は夜を共に過ごした相手が翌朝にはいないという虚しさを嫌という程経験したのもあったせいか、必ず自分が早く起きるようにしていた。そして、隣でクラウドが眠っているのを確認するという事が当たり前のようになっていた。
「トイレでも行ってんのかな…」
一つ溜息を吐けば部屋のドアがカチャリと静かに音を立て、開いた。そこに視線を向ければパンツだけ履いた姿のクラウドが立っていた。
「珍しいじゃん、クラウドが俺より早く起きるの」
「そうかも…喉が乾いたから水が飲みたくて。これ、ザックスの分」
クラウドはそう言うとミネラルウォーターが入ったボトルを俺に手渡してきた。寝起きだから俺も喉は乾いていた。
「サンキュ。クラウド、隣おいで」
俺はポンポンと軽くベッドを叩き、微笑む。クラウドは仕方ないなというような表情を浮かべながらも微笑みを浮かべ俺の隣に座る。
俺は少し甘えるかのようにクラウドの肩へ軽く寄りかかった。
「ザックス…?」
「少しだけこうさせて」
「わかった」
ゆっくりと瞼を閉じ、息をひとつ吐く。クラウドは俺の隣にちゃんといる。
静かな部屋の中で俺もクラウドも今ここで生きているということがはっきりとわかるかのように息遣い、胸の鼓動が聞こえる。
「…ザックスが甘えてくるの珍しいな」
「そう?」
「ザックスは俺のこと甘やかしてばかりだってティファに言われたんだ」
「はは、ヤキモチ妬かれちゃった?」
クラウドの初恋がティファなのは知っていたし、ティファもそうであったことを俺は知っている。俺と再会した時にクラウドもティファも『家族』の型に嵌っていた。だから俺が今更、その中に入って掻き回すようなことはしたくなかった。
でも、女の勘は鋭いって聞くようにティファは何も咎めることもなく、俺にクラウドを託した。
『クラウドね、暇さえあればあなたの話をするの。だからクラウドの傍にいてあげて。もうクラウドをひとりにしないであげて』
ティファはそう俺に言った。一度はクラウドをひとりにしてしまった俺だからこそ、ティファの言葉は凄く重たかった。
「…もうお前をひとりになんかしないよ」
聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声でポソッと呟く。クラウドは気付かなかったのか首を小さく傾げていた。
「ザックス?」
「ん、なんでもない。よし、今日の仕事もさっさと終わらせてこようか」
今日の仕事も夜のことを考えて身体の負担にはならない依頼をこなした。
元々休み無しに働いていたのもあり、明日から三日間は臨時休業という形をとることにもなっている。これに関しては前からティファに二人とも働きすぎだからたまには休んだら?という提案で決まっていたことだ。だから良いタイミングでもあったかもしれない。
どんなに時間をかけても身体に負担がかかることは恐らく避けられないことだとは思う。ソルジャーの身体であっても、外傷を受ける時とは訳が違うからだ。俺はその痛みも辛さも知っている。
「今日で三日目か…」
クラウドがポソッと呟けば俺は軽く息を飲み込んだ。三日目も基本的にお互いに触れ合うことが基本。でも、昨日よりもっと触れ合うことができる日だ。段階を踏んで行う流れだから徐々に濃厚になっていく、とカンセルは言っていた。ただ、必ずそれ以上やってはいけないというポイントがある為、もどかしさに堪えられるかどうかというのもあるらしい。
「ザックス、今日はどこまでするんだ?」
「あ、あぁ…今日は昨日とあまり変わらないけど…」
「変わらないけど…?」
「…もっとたくさんキスをする、かな」
いつもしているような、昨日したようなキスではなく、その先をいく深いキス。実はまだそれすらも俺たちはしていなかった。
「そうか」
クラウドは素っ気なく返事をしていたけれど、僅かに頬を赤らめていた。多分、俺も説明するのが気恥ずかしくなっていた。
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はしりがき
10/21 20:39
クラウドは素っ気なく返事をしていたけれど、僅かに頬を赤らめていた。多分、俺も説明するのが気恥ずかしくなっていた。
「ザックス、顔赤い」
「クラウドだって」
お互いに少し眉を顰めながらも、すぐにクスッと笑い合えば見つめ合い、惹かれうようにゆっくりと唇を重ねた。お互いの身体を擦り寄せながら、唇を何度も重ね返し、俺は頃合を見測りながらそっとクラウドの唇を舌でなぞる。クラウドの肩が僅かに震えながらも、クラウドは次がどうなるのかがわかっているように自然と自分の舌を俺の舌先に絡ませてきた。それが意外で俺は一瞬目を開くもすぐに深い口付けを堪能するように何度も舌を絡ませた。
あまりやり過ぎず、適度にやるというのは難しい。でも、不思議なことにクラウドとなら上手くやれることが俺にはわかっていたし、クラウドもわかっているようだった。
「んっ…、ふ…」
舌を絡ませている間に互いに吐息を零し、互いの身体に優しく触れる。決して激しく触れるのではなく、お互いの存在を確かめるように素肌に手を滑らせ、ゆっくりと愛撫をする。
ちょっとだけ更新した!本当はもっと一気に更新したい気持ちはある。
はしりがき
11/24 7:36
少し擽ったいのか、俺もクラウドも小さく身体を震わせる。
「んっ…はっ…ぁ…」
ゆっくりと唇を離せば俺はそのままクラウドの首筋に唇を這わせる。決して強くはなく、ただ確かめるかのように唇を落としていく。擽ったいのかクラウドは少し身体を捩らせ、俺の背中に手を回し、擦り寄ってくる。クラウドの体温が上がっていることがわかる。
それでも今日はまだ三日目。優しく触れ合い、深い口付けを堪能するのが三日目だ。物足りなさをもしかしたら感じているのかもしれない。それでもルールはルール。俺もクラウドもこの焦れったさに堪えながら、お互いを求め合っていた。
「はぁ、っ…クラウド…、ん…」
「んっ…ザックス…、はぁっ…」
吐息を互いに漏らしながら身体の至る所にキスの雨を降らしていく。昨日より少しだけ強く、赤い痕を散りばめるように。俺の身体にはクラウドのがクラウドの身体には俺のが赤く散っていた。
「クラウド、肌白いから目立つな…」
赤くついた痕に指をなぞらせながら目を細める。クラウドは擽ったいのか小さく笑いながら俺につけた痕に指を触れる。
「そんなことない。ザックスもはっきりと目立ってるぞ」
「マジ?」
クラウドに指摘されて赤い痕に視線を落とせば確かにくっきりとついているのがわかった。それがなんだか嬉しくて俺はクラウドを抱き寄せ、もう一度唇を重ねた。
昨日より沢山キスをして身体を触れ合って、裸のまま俺とクラウドは寄り添いながら眠りについていた。身体を繋げる日が近づいてきているせいなのか、俺の身体は正直で朝起きた時点で少し熱を帯びていた。でも、ここで出してはいけない為、落ち着くためにもと思い、まだ眠っているクラウドを起こさないようにそっとベッドから降りた。
「シャワー浴びて落ち着いてこよう…」
そう呟きながらベッドから離れようとすればグイッと引き寄せられ、俺はベッドに腰を下ろしてしまった。
「起きてたのか、クラウド」
「…ん」
まだ少し寝ぼけているのかぼんやりとしながらクラウドは短く返事をした。俺は微笑みながらクラウドの頭を軽く撫でる。
「シャワー浴びてくるだけだからクラウドはまだ寝てていいよ。今日から連休だしな?」
「…あ、そうか…じゃあ、もう少しだけ…」
まだ眠れるとわかれば素直なのかクラウドは布団を被り直し、猫のように丸まって眠り始めた。暫く休みなく働いていたのもあればこの三日間慣れないことをしていたから余計に疲れはあるのだろう。俺はそんなクラウドを見つつ、そのままシャワーを浴びるために浴室へと向かった。
熱いシャワーを頭から被り、身体を洗い流せばクラウドが俺につけた痕が薄らと残っているのがわかる。その痕を指で軽くなぞれば朝日が昇ったばかりにも関わらず夜が待ち遠しくなる。
今夜を乗り切れば明日はクラウドがよければ朝から行為に及んでもいい。そういうルールもあるらしい。カンセルが教えてくれたことではあるから間違いはないはず。それを考えれば夜までの時間なんてあっという間だ。
「夜まで時間潰すの何にすっかな…」
熱いシャワーを浴びながら考えていれば、突然浴室の扉が開き俺は目を丸くしながら振り向いた。
「俺もシャワー浴びる」
「お、おう?!ちょっと待ってな、すぐに退くから!」
中途半端に泡を洗い流している途中だった俺は慌てて全て洗い流し、クラウドに場所を譲った。
「クラウド、まだ寝ててもよかったのに」
「…目が覚めただけだから」
クラウドはポソリと呟きつつ、シャワーを俺と同じように頭から被って勢いよく洗い始めた。
「豪快に洗うな〜」
「あんたもこんな感じだろ?」
「そう?でもさ、クラウドの髪のが俺より柔らかいからもうちょっと優しく洗った方がいいよ。こんな感じにさ」
俺は自然とクラウドの頭に手を伸ばし、優しく髪を洗い始めた。見た目よりも柔らかいクラウドの髪を洗いながらチョコボの手入れをするのもこんな感じなんだろうなと思えば自然と口元が緩む。
泡立った髪にシャワーを流し、そのまま流れで背中も流してあげた。クラウドは自分でやるとは言ったけれど、どうせなら俺がやってあげたかった。
「よし、これで完璧。クラウドさ、今日夜まで何する?どっか出かけても良いし、家でゆっくりしても良いし…」
「ザックスは何かしたいことないのか?」
「俺はクラウドと一緒にいれるなら何だっていいよ。まぁ夜には戻れるようにしないとだけど…」
4日目の頭まで更新〜
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