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めっちゃ途中 書けるか不明名称:インフェルグリフ
ランク:A
体長:10m
テリトリー:ラーフィット大陸
刻印の位置:胸部
属性:闇・水


 Sランクは伝説上のものとして数えられている中で、実質的に魔物の最高ランクとされるAランクを冠する魔物。鷲の頭と羽根、獅子の身体を持ち、非常に大型。活動圏は明らかでないが、人間の生活圏内では見られておらず、ラーフィット大陸での発見例があるため、多くの高ランクの魔物同様にラーフィット大陸を主な活動域としていると考えられる。
 高ランクの魔物においては珍しいことではないが、この魔物を見て生きて帰った者が少ないため、詳しい生態は明らかでない。ラーフィット大陸でこの魔物を発見し、その報告を行ったのはリシュール王国が定期的に派遣する王立考古学団のメンバーである。彼等の貴重な報告によれば、この魔物はその筋肉質で重たい体を持ちながら翼でもって空を飛ぶことができる。それが魔術の補助を受けているかは調査が必要だが、翼自体も非常に強靭であり、その一振りで石造りの要塞跡を破壊し尽くしたという。
 ゴシュナイトの魔力計測によると、魔力属性は闇の他に水を保有している。考古学団員は確認できなかったようだが、水による攻撃能力も保有している可能性は高い。

追記:ラーフィット大陸を活動圏とするとされていた魔物だが、インフェルグリフがリシュール王国領アークハット村に現れ村を破壊、村人を拉致したという報告がされた。しかし、村人は全員無事で保護されたという。その経緯について、村人は黙している。また同時期にアークハット村に滞在していたリシュール王国軍国王補佐官兼考古学団副団長、リック・アルバーンもまた、気絶していたとして報告が乏しい。この異様かつ奇跡的な事件において、調査が望まれるところである。
 なお、インフェルグリフはこの事件以降、目撃情報は無い。


魔物図説(サリヴァン・クルスリー著)・第五章より抜粋


「だぁから、知らねぇって何度も言ってんでしょ!」
 春の昼下がり。リシュール王国国家考古学団の本部の一室に、そんな声が響いた。


 若くして国家考古学団の副団長を務め、国王の信頼を得る天才考古学者――リック・アルバーンは、元来温厚な男である。
 そんな彼は珍しく声を荒げ、己の後方を睨みつけた。その先に居るのは、考古学団本部の資料室でリックが調べ事をしている様をニタニタと笑いながら眺める一人の男である。年齢は50を少し過ぎた程度の彼はどこから持ち込んだか悠々と椅子に腰掛け、我が物顔で居座っている――しかし、飲み物は持ち込んではいない辺りは同じ学者だということだろう。
「そうは言ってもねぇ、君が知らなかったら誰が知っているって言うんだい?」
「じゃあ誰も知らないんでしょうよ」
 男の問い掛けに、リックは溜息混じりに吐き捨てる。書類を纏め、机に向けてトントンと軽く叩いて揃える。それを棚に戻すと共に隣の束に手を伸ばし――その振る舞いで、リックは今正に忙しいのだと示してみせる。
 だがそんな行動でこの男が引くならば、こんな気苦労はしていないのであった。
「アークハット村に現れたインフェルグリフについて――君はちょうどその場にいたのだろう? 生還に成功し、何も知らない、というのは些か不自然に思えるんだよ」
 ――ギギギ、と、油のさしていない魔力動式装置のような動きで、リックはゆっくりと振り返る。視線の先の男は、ニッコリと笑ってみせた。どうにも、引く気配がない。はぁ、と深く溜息をついて、リックはくるりと体の向きも男に向けた。
「情けない事に、初っ端から気絶しちまってなーんも見てねぇんですよ。それで納得してくれませんかね――クルスリー博士」
 男――サリヴァン・クルスリーはただ、笑みを深めるばかりである。それが却下の意を示しているのを、リック・アルバーンの明晰で察しの良い頭は、残念なことに良く良く感じ取ることが出来た。

「アークハット村での事件は実に奇妙だ」
 カチャンと、ティーカップが音を鳴らす。サリヴァンがどうにも帰る様子が無いことを見兼ねて――もとい諦めて――リックは彼を応接室に通し紅茶を淹れた。
 ミルク多めでシュガーは一つ。ここ最近ずっと入り浸られるものだからすっかりサリヴァン好みの紅茶を覚えてしまった。満足気に一口飲み込んだサリヴァンはひとつ頷いて、そう切り出す。
「感情を持たずテリトリーを移動せず、ただ目に入る生命体を殺すのみである魔物。ラーフィット大陸にテリトリーを持つはずのインフェルグリフがアークハット村に現れたことも、あれだけ村が破壊されていながら村人が全員無事だったことも奇跡を通り越して奇妙と言える。ああリック君この茶菓子は美味いねどこのだい? ほらアリーもお食べ」
 言いながらサリヴァンは隣に座る男の口に茶菓子――パルオーロで最近話題の、サイスト居住区に伝わるサクラマンジュウというやつだ――を突っ込んだ。突っ込まれた男はといえば特に抵抗も文句も言わず、無言でサクラマンジュウを咀嚼し、飲み込む。
「……少しは文句言っても許されると思うぜアリソン」
「いつもの事だ」
 飲み込んで、男――アリソン・クルスリーは短く返す。
 苗字を同じくするこの二人の関係性は、なんとも独特であるとリックは解していた。彼等は戸籍上、親子にあたる。ただし、血の繋がりは無い。サリヴァンは
頑張って!