ジャンル すべて 男性向け 女性向け その他一般
昆虫の外骨格 気が向いたら増えます
名前もたまに変わります(笑)
ブロマンス的なネタに挑戦!とりあえず完成まで漕ぎつけましたw
ちょっと路線変更で支部のコンテストのテーマに寄せてみましたが…な感じになってます←
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16518642
おめでとう!
長編になると書いている内に迷子になるwww( ´∀` )b長編迷子迷路から抜け出せないので、行き止まりで瞑想し続けている状態(ΘдΘ)
……つまりは何もしていないというアレ(笑)
昆虫の外骨格が発する文章に、応援の反応ありがとうございます!!!
全部にひとつひとつお返ししたい気持ちをここに詰めさせていただきました!!!
いつもありがとうございます!!!

なので、こちらには反応不要でございますゥ( ´∀` )b
例の如く、お題確保からの検討タイムです(笑)

・同棲
・手首を縛る
・抱きかかえる
・呆れ返る

内容が決まったらタグ入れ直します!
お題:呆れ返る



「……わ、うわ、あああああああああああ」
「!!?」

 爽やかな早朝におおよそ似つかわしくない叫び声が響いた。そしてその声に男は不意打ちのように叩き起こされる。
 勢いよく身体を起き上がらせた男は、布団から動けず首から上を動かして周りを見渡してみる。薄暗い室内は何も変わることなく、静まり返ったままだ。

 ここで男は考える。
 あの叫び声は紛れもなく家主のもの。だが、なぜ叫んだのかが問題だ。まさか、侵入者がいて家主と鉢合わせたのか。
 考えられなくもない、と男は思った。人里離れた場所で、なかなか大きな屋敷とあれば金目のものが残っているかも、と考える輩がいるかもしれない。また、多少の騒動があったところで立地的にも、気付かれる心配はほとんどないと言っていいだろう。

 そして家の中はあの叫び声以降、不気味なほどに静かだった。男は意を決し、立ち上がると静かに障子戸を開け廊下を覗く。右も左も異変はない。
 廊下に出て、足音を立てないようひっそりと歩を進める。途中、台所に寄り壁にかけられていたホウキを手にする。それをしっかりと握り家主の名を小さめに呼びながら進んだ。
「……おぉーい……無事かぁー?」
「……あ、こっちこっち、風呂場ですー」
 何度目かの呼び掛けに、家主が応えた。男は声の示す通り風呂場へ向かう。脱衣場の戸を開けるが誰もいない。そして風呂場へ向かう戸は閉められている。
「……あれ? 風呂場って言ってなかったか?」
 男の呟きに対し、閉めきられた風呂場の方から家主の声が返ってきた。
「合ってます合ってます! 俺は風呂場の中にいますので」
 あぁー、助かりましたー、と閉めきられた戸の向こう側で安堵する家主の声がする。男は全く状況がわからず、ホウキを持ったまま立ち尽くしていた。
「……いや、無事?ならいいんだ。あんな叫び声上げるから何かあったのかと」
「あります!大ありです!!俺にはもうどうしようもなくて、叫べばもしかしたら聞こえるかも来てくれるかもって思って」
 戸を閉めたまま家主には珍しく、冷静を欠いたように早口で捲し立てるが、男が改めて何があったのかを分かりやすく説明してほしいと言った。
「……ムカデが、ムカデが、出たんです!」
「……ムカデ?」
 意外な答えに思わずおうむ返しをしてしまった。
「ムカデ知らないんですか!?」
「ムカデが何かくらいは知ってるって」
「……風呂掃除してたら排水口から上がってきて、叫んで脱衣場の方に追いやったんですけど……俺、脱衣場の戸閉めてきちゃって……」
 そこにいますよね!?と常ならざる勢いで言われ、男は脱衣場の床を改めて見ると、確かに小さなムカデが歩いていた。
「……あー、このちっちゃいヤツ? ゲジゲジもこんなんじゃなかったっけ? これムカデ?」
 この小さな虫にあんな大騒ぎをしていたのか、と半ば呆れ気味に呟く。その呟きは家主の耳に届いたようで、力いっぱいの反論が戸の向こうから聞こえてくる。
「……ゲジゲジじゃありません!ムカデです!それはオスです!!」
 力強く叫んでいるかと思えば、お願いですから捕まえて外にでも放り投げてきてください……と弱々しい声でお願いまでされる。わかったわかった、と返事をして、チリトリにホウキでさっとムカデを掃き入れると、言われた通りそのまま外へ放り投げてきた。脱衣場に戻り、片付けてきたことを告げると、恐る恐る風呂場の戸が開いた。注意深く周りを見渡して、ムカデがいないことを確認し、男の姿を見てほっとした表情をする。
 緊張していた表情が男を見て緩んだ瞬間を目撃した男の内心はざわめき荒れていた。そんなふうに自分を見て安堵した表情を取られたら、庇護欲を刺激されるしあらぬ勘違いをしてしまいそうになる。
 男は内心に沸き上がった感情を悟られまいと気を付けながら言う。
「……いや、まさかこんな虫だらけの山奥に住んでいて、ムカデが大の苦手なんて意外だな」
「……誰にだって、苦手はあります」
 冷静さを取り戻したのか、いつものように振る舞う家主に対し、男は意外な一面が見れたと心の中で秘かに喜びを感じていた。
「……だから、ムカデが出たら今後もどうにかしてください!!少しの隙間からも入ってくるんですから!!!」
 頼られるのは悪い気はしないが、ムカデが出る度にこんな騒ぎになるのか、と思わず遠い目をしてしまう。
「……嫌いなら逃がさないで始末しちゃえば?」
 言っておきながら、始末するのは俺だ、と気が付いてしまった。しかし家主は首を降る。
「俺が嫌いだから、という理由でそうそう殺せませんよ。彼らだって役割があって生きてるんですから。……それに死体残るの気分悪いので」

 ムカデだけじゃなくて、この家に侵入した生き物はもれなく生きたまま外に逃がしていると言われ、男はいよいよ大きなため息をつくしかなかった。
応援してる!
なんかこう、ブロマンス的なコンビでいろいろ騒動に巻き込まれ系の話を書きたい(笑)
全然合わない者同士がぶつかり合いながら協力してたりしなかったりするの好きなんですよォー!
応援してる!
かきかけた はなしが きえた(ふて寝)泣ける……創作ネタ記録(仮)

なんとなく思い付いた案みたいなもの
名前もまだ決まってません(笑)
その内、設定とか中身とか増えていくと思います
傾向としては、都会から田舎に移住してきたばかりの40歳(無職)×田舎で実家は農家の33歳(サラリーマン)
とりあえずいい年して両片想いでうだうだしてほしいし、ヘタレ攻めのオットコマエ受けにしたいwww
両片想い:家主編
多分、向ける愛がより重いのはこっちだと思う(笑)

++++++++++++++++



 惚れ込んでしまう人に会ったなら、性別など関係ないと考えている。
 人間性に惚れ込み、その人を知れば知るほど好きになる。共に生きていきたいと望むようになる。それがたまたま、『男性』か『女性』か、というだけのことだった。
 そして、今までとは異なり、かつてないほど長い片想いが続いている。こんなことは初めてだった。驚くべきことにその年数は13年を過ぎた。数字で見ると長さがより際立つように感じる。
 相手はSNSで知り合って、意気投合して、たまに会って、そしてインターネットという空間でやり取りを行う存在だ。相手には相手の生活があり、こちらも同様である。いわゆるプライベートな部分まで深追いなどしないほうがいいのだと思っていた。
 
 ……思っていた、のだが。

 ある日の通話で転職すると知り、新しい仕事が決まるまでの空白期間、まぁまぁ高い家賃の支払いがしんどい、といった愚痴を聞いたとき冗談のように(内心は本気だというのを悟られないよう気を使って)、ウチに来ないかと言ってみた。田舎だし、一軒家で一人暮らしだから部屋が空いてると言えば、あっさりと彼はこちらへ来ることを決めたのだった。

 それからの展開は早かった。あっという間に共同生活がスタートする。

 そして家主には、惚れ込んだ相手には尽くしてしまう、という自覚があった。とにかく、相手の為にできることをしたかった。しかしこれは度が過ぎれば鬱陶しいだけだと理解もしているので、必要以上にのめり込まないよう、常に己を律していた。
 どれほど仲良くなったとしても、言葉遣いが丁寧語のまま変わらないのは、そのためである。距離を詰めすぎないよう、常に一線を引き続けるためだ。
 その線を越えた瞬間、抱えるこの感情は愛ではなく独占欲に変わってしまいそうで怖いと感じている。

(……難儀な……)

 自分のこの性質は本当に難儀だと思っている。常に相反する感情が拮抗してしまうのだ。
 近寄りたいけれど、それ以上踏み込んではならない、とブレーキが掛かる。
 向ける愛情が大きくなればなるほど、こんな感情を抱いていると知られたくはない。


 年数ばかり重ねた結果、愛や恋にすっかり臆病になってしまい反射的に上っ面を整える事ばかりが上達してしまった。
反応ありがとうございます!!!
その内、気が向いたら増えていると思います(笑)
進行中ばかりですが……お題に挑戦したいと思います
どれを使うか、まだ考え中←

・元恋人
・一晩中
・指でなぞる
・負けず嫌い
お題:元恋人



「つかぬことをお聞きしますが」
「……な、なに……?」
 家主が帰宅すると開口一番、ただいまを言うでもなく突然そう言うので、男はつい身構える。

 SNSで知り合って13年、それなりに交流もあった間柄ではあるが、実際に一緒に暮らすとなるとまた印象が変わるものである。普段から穏やかな口調でそれは変わらないが、今の問いかけに含まれたのはいつもの静かな響きだけではなかった。人を緊張させる何かが含まれている。
「…そういえば、お付き合いされている女性がいましたよね。こちらに来ることを知っていますか?」
「……? …いや、仕事を辞めた時にそれを理由に別れてきたんだ……。向こうは結婚する気でいたから、結構モメて……って何で急にそんなことを聞くんだ?」
 帰宅していきなりこんな話題を出すなど、家主のどうにも常とは異なる様子に男は訝しんだ。それが男の視線に含まれていたのか、目が合うと家主は小さくため息をつく。
「……今日は、帰りにスーパーへ寄ったんですよ。そしたら入り口で見知らぬ女性に声をかけられましてね」
 その女性は家主にスマホを向け、画面の写真を見せてこう問いかけてきたのである。
「……『この男性を探しています。見かけませんでしたか?』と」
「……おい、まさかそれ」
 男はそれ以上の言葉が出てこなかった。家主の沈黙がより恐ろしさに拍車をかけてくる。
「…なんていうか、独占欲は強かったしすぐ嫉妬してきたし、束縛が強かったし思い込みも激しいタイプだとは思ってたが……まさか追いかけてくるとは……」
 その呟きに、家主はそれでよく付き合ってたなと言いかけたが、言葉になる前に飲み込むことにした。頭を抱えてしまった男に、家主は更に続きを話し始める。
「他にも、その女性は気になることを言っていました。『確かにここに立ち寄った形跡があるんですが、途切れてしまって』というような。……まさかとは思いますが、持ち物に仕込まれてませんか? その可能性が捨てきれません」
 それを聞き、男はもちろん考えたよ、と小さく呟いた。だから所持品を必要最低限にし、衣類は異変がないか入念に調べたことを話す。
「……でもピンポイントでこの村まで来たことを考えると、まだ可能性はあります。たかだか一週間程度でここを探り当てるとは思えませんしね」
 家主はいくつかの考えられる可能性を示した。
 まず、スマホにそういった追跡アプリをいつの間にか仕込まれたのではないか、と。村内でも麓の方は追跡できる電波を受け取れたが、そこからぐっと山の中に入ったこの集落では探知しきれなかったのかもしれない。
「……だから女性は、形跡が途切れたと困っていたのでしょう」
 そして、仕込まれている可能性として靴とキャリーケースも示した。出かける際にほぼ絶対に身体から離れないものといえば靴である。
「……スマホに追跡アプリを仕込まれたっていうのもよくわかるな……。やりそうだわ……」
 靴に仕込むのはできるかわからないが、可能性が捨てきれない以上、処分やむ無し、と男は決めた。改めてスマホのアプリを全て表示するが、もちろん見慣れないアイコンはたくさんあるし、なんのためのものかわからないファイル名も多々ある。女性が仕込んだ追跡アプリも、こういった見慣れないものに擬態するよう作られているものだったのかもしれない。あからさまなら、誰だって気付いて消すだろう。
「……割って壊すか……それで新しいの契約し直そうぜ」
 それがいい、と男はスマホの掴むと土間に向かう。段差の上に立ち、地面に向かって叩きつけようと振り上げた腕を家主に止められた。
「それではせいぜい、画面がひび割れる程度ですよ。確実に、使えなくしましょう」
 それを貸してください、と差し出された手の上に男は自分のスマホを置く。家主はそれを持って居間へ戻っていくので、男はそのあとについていく。
 家主はペンスタンドに入っている細めのマイナスドライバーを持つと、スマホの充電口に差し込み、テコの原理を用いて画面を本体から容赦なく剥がす。剥き出しになった基盤も同様に外し、繋がる細いコードはハサミで切り離した。こうして手際よくスマホを魚の三枚下ろしをするかのように分解し、男の手に乗せて言う。

「これで今週末の予定は決まってしまいましたね」

 隣の市まで足を伸ばして、大型商業施設に行きましょう、と家主は微笑んだ。

 スマホに加え、靴や服も一新した方がいいかもしれない、と男は手の上に乗っているスマホの三枚下ろしを見ながら思った。
反応ありがとうございます!!!
嬉しいですー🙌
小説を読んでいて、こんな文章にしたいと憧れる作家先生は今も昔も北◯謙◯先生

実際は粗削り(笑)
明日はきっとよくなるよ
試したかったワンクッションだいたい、スマホのアプリ(小説ノート、ひとり会議)使ってます
小説ノートはメモ(キャラ設定、プロットなど)と本文を分けられるので、個人的に使いやすいと思っています
字数もわかりますので
ひとり会議はラインみたいに吹き出しで会話形式にできるので、キャラごとアイコン作ってラインのやりとりしてる感じで遊んでますwww(゚∀゚ 三 ゚∀゚)

本にする、かなりの長編を書く、となるとパソコンのワード使います
その際、キャラ設定、相関図、プロットなどは紙に書きます

以前は一太郎ユーザーでした(笑)


BGMなどはとくに無しです
自転車レース(大規模)中継があるときは、流しながら作業します(1ステージ5時間くらいあるので←)
ラジオ感覚ですかね(実況者と解説者のフリートークなど含む)
古のwww突発コピー本などがwww発掘されてしまったwww三( ゜∀゜)
コピー本だからページ数も全然ないんですけど、懐かしすぎて思い出がいっぱいすぎるwww
わかる、わかるよ……
すごく興味深い話題だったので乗っかりたい……のですが、一次創作だと毎回『まだ無題』で話を作って、そのまま……(笑)

二次創作だと、本を出したりすることもあってタイトルから決めます
ざっくり内容(ストーリー、CPなど)→タイトル確定→タイトルも合わせて内容の詳細を詰める……という流れですかね(゚∀゚ 三 ゚∀゚)
新作は時間めっちゃかかるので、つい過去作を引っ張り出してきて満足してしまう(^-^;相当前に公開したものです……懐かしすぎる(笑)

・実写TF擬人化で、3作目以降の話となります
・過去に死亡し退場したはずのキャラも平然と出ている仕様となります(ジャズとか←)
・アイアンハイドはあの裏切りで重傷を負い、基地内に担ぎ込まれたという設定です
・ジョルトは擬女化←

それでもオッケィという心の広い方は以下へどうぞ
ふと、目が覚めた。

 アイアンハイドはそこで唐突に理解する、あぁ、俺はまだ生きているようだ、と。

 そして、自身の命を救った存在も知っている。ベッドに突っ伏して寝ている軍医を見つめ、その疲れ切った表情に申し訳なさを感じ、そっと顔にかかる癖毛に触れた。


 あぁ、すまない。お前はまた俺のために……。


 貫かれた胸部はしっかりと処置が施され、動くことはできそうだ。アイアンハイドはそれを認識すると体をゆっくり起こし、点滴の針を自ら抜き取るとベッドから降りてラチェットの身体を肩に担ぎあげた。身長の割にその身体が軽く感じてしまう。

 まずは、この男を休ませることが先決だとして、もう一人いる衛生兵のジョルトにお願いをしようと思った。



 ジョルトの前に、というよりはオートボッツ全員の前に姿を現したアイアンハイドに、一同は一瞬言葉を失っていたが、すぐさまジョルトがアイアンハイドと担がれたまま目を覚まさないラチェットのもとへ駆け寄ってきた。
 アイアンハイドが声をかけようと屈んだところへ、無言のままのジョルトから拳が飛んでくる。それはアイアンハイドの胸部へ的確に打ち込まれた。さすがのアイアンハイドも、これにはラチェットを担いだままよろけるしかない。

「……な…!? …おま…、せめて傷口は勘弁しろよ……」
「うるさい!! アイアンハイドの腹筋なんか殴ったってびくともしないじゃない!!」

 俯いた彼女の表情は見えないが、震える小さな拳が全てを語っているような気がした。

「……先生はね、昔からそうなんだから…。
 アイアンハイドの為なら、自分の身がどんなに危険でも助けに行っちゃうんだから!!!
 今日みたいに、助かるかもわからない状況でだって、自分の命を削ってでも助けようとしちゃうんだから!!!

 ……あんたが、先生の命を危険に曝して、それじゃ本末転倒じゃない…っ!」

 アイアンハイドを何度も殴りつけた拳は、彼のシャツをきつく握りしめ、震える声を懸命に押し殺そうとしていた。


「………」

 地球に来る前から、立派な衛生兵になるためにラチェットの後を常にくっついていたのをアイアンハイドは知っている。そして、戦闘時はついて行けないことを嘆き、戦場でもラチェットの後ろを守る存在になりたいと頑張っていたことも知っている。
 だが、彼女の求める場所はすでにアイアンハイドが立っていて、そこが彼女に代わることがないのも彼女は理解してしまっていた。

 だからこそ、阿吽の呼吸でお互いをカバーしあうアイアンハイドにとても嫉妬していたし、さらに許せないのは彼が無茶をするたびラチェットの身が危険に曝されることだった。それをラチェットに言っても、アイアンハイドだからな、しょうがない、と困ったように笑う姿に、心は穏やかではなかった。


「…悪かったよ、ジョルト。悪かった……」

 俺のせいだな、と空いているもう片方の手でシャツにしがみつくジョルトを抱き寄せた。

「……謝るくらいなら…もう、先生を危険に曝したりしないでよ……っ」
「…保証はできねぇが、そうなったら絶対、俺が守るから」
「…絶対よ…!」

 あぁ、絶対だ、とアイアンハイドは、抱き寄せたジョルトが落ち着くまでそのままその背中をあやすように撫で続けた。



 その後、ラチェットを彼の自室に運び、横たえてやるとジョルトが手際よく点滴やら何やらを用意し始めた。応急的な処置が終わると、ジョルトの頭を一撫でしアイアンハイドは彼女を残して部屋を出る。

「……先生…」

 眠るラチェットを見つめ、ジョルトはそれしか言えなかった。
 点滴が終わるまでの時間を確認し、その時また戻って来ようと立ち上がる。自分にはやるべきことがまだまだたくさんある。ラチェットがいない間の穴を埋めるのも自分の仕事だ。



「……アイアンハイド」

 薄暗い廊下を歩いていると後ろから声をかけられ、振り返ると暗がりから声の主が現れる。

「……ジャズ…」

 唐突に現れたジャズに少々驚きつつ、彼の方に向き直り近付いていく。何か用かと口を開きかけるとジャズの人差し指に軽く胸を突かれた。
 突然の行動にギクリ、と身体を強張らせる。

「……大事にしろ」

 それだけ言うとジャズは離れた。少々、ぎこちない歩き方で彼は再び暗がりへと消えていく。
 ジャズも過去に腰を中心に胴体に重傷を負った。そしてそこから復帰に至るまで回復した経緯を持つ者、その一言に乗せられた意味をアイアンハイドは理解した。



***



 後日。

 ラチェットは珍しい光景を目にした。訓練場にジャズ、バンブルビー、そしてジョルトの姿があった。この組み合わせはなかなか無い。
 主にバンブルビーとジョルトの訓練をジャズが見ている。時に何かをアドバイスしているようだった。気になったので近付いていくと、3人はラチェットに気が付き、訓練を中断した。

「……あ、先生!」
「…ラチェット、なんかあったか?」
『それではここで専門家の話を聞かせていただいてもよろしいでしょうか』

 ジョルト、ジャズに続き、バンブルビーのラジオからコメンテーターの声が出る。軽く笑いかけて、何でもないよ、と答える。

「……いや、珍しい組み合わせだと思ってね」

 ジョルトの方を見ながらそう言うと、彼女は力いっぱい答える。

「打倒、アイアンハイド!! です!!!」

 その勢いに押されたラチェットは、おや、と軽く目を見開く。他の二人に視線を向けると、バンブルビーはにっかり笑って握り拳を作って見せた。ジャズは腕を組んで頷く。

「それは頼もしいな」

 笑顔で言い、ラチェットは続きも頑張れと声をかけて立ち去る。その姿を見送った三人は訓練を開始した。
少し前に書いた、モンハンライズ自ハンターとオトモたちが毛繕い(笑)して寝てるだけの小話です
自ハンは自宅で気を抜いて寝たら、全然起きないタイプということで是非よろしく←
オトモたちの独占欲は強めですwww
長い黒髪が動きに合わせてゆらりと流れる。綺麗に切り揃えられた髪の束の先端まで、長く艶やかで、しなやかなのに力強ささえ感じる。オトモアイルーは自分が行動を共にするハンターを見上げてそう思った。
 また、彼は目が合うと穏やかそうに微笑み、屈んでオトモアイルーと目線の高さを合わせるのだ。しっかりした手がオトモアイルーの頭や顔に添えられる。いつも弓を扱う掌は固いが、その弾力ある厚い手が心地よかった。撫でられるだけでは物足りなくなると自分から頭を擦り寄せていく。そうすると彼は撫でるだけから、指先を毛の中に潜り込ませ皮膚まで揉んでくれるのだ。
「ひらたけ、今日もありがとうな」
 そして名を呼んでくれる。感謝の言葉をいつもくれる。欲しい言葉をたくさん贈ってくれるのだ。

 こんなに強くて優しい人を他に知らない。
 ずっと、ずっとそばにいたい。

 彼がオトモアイルーを撫で回していると、オトモガルクが彼の左の脇の下辺りに顔を突っ込んでくる。そのまま動かずにいるので、彼は左手をアイルーからガルクの元に移動させた。抱き込むように首回りに腕を回して毛並みにそって首元を撫でる。
「んん、いい子だな、しめじ」
 ありがとうなぁ、と言いながらそれぞれを交互に撫で回す。狩猟終わりはいつもこうしてキャンプ地で存分に撫で回してから里に帰るのが彼らの恒例行事だった。


 里では野暮用を済ませてしまえば一直線に自宅に戻り、装備を解く。まずはオトモ達の装備を外す手伝いをし、その後、彼は武器を置き、装備を脱ぎ、楽な格好になったところで布団に寝そべった。髪を束ねている部分が当たり、頭が休まらないので寝そべったまま手だけ動かし結び目を解いた。ばらり、と黒髪が広がる。
 しかしここまで長いとそれはそれは厄介で、寝返りをうつと顔や首に巻き付いてくるのは避けられないため、ゆるくまとめ、耳の下辺りで軽く束ねるようにしている。これで頭皮も楽になった、と寝返りをうちそのまま睡魔にのまれていく。
 オトモ達が近くに寄った頃、彼は既に眠りに落ちていた。
「……旦那さん、寝ちゃったんニャ? 旦那さん」
 頬の辺りを軽く肉球で押しても全く起きる気配がなく、反応もなかった。彼は身体の右側を下にして右腕を枕代わりにしている。オトモアイルーはその懐に潜り込んだ。ここは心臓の音が聞こえるので、一番好きな場所である。もちろんオトモガルクもお気に入りの場所なので毎日、交代するようになった。なので今回オトモガルクは彼の背中にぴったりと身を寄せる。背中越しでも大好きな心音を感じることができるからだ。
 ゆっくりだが、力強い鼓動はオトモ達を安心させ、眠りの世界へと誘っていく。
 オトモアイルーが懐に潜り込むと決まってゆるく腕が回され包むように抱えられる。最初は起きていたのかと思って伺い見たが、彼は眠ったままだったので条件反射のようなものかもしれない。因みにオトモガルクが懐に潜り込んだ時は身体が大きい為か、包みこむような、というよりはしがみついていると表現した方が合っている。
(……ここはボクたちだけの場所ニャ)
 彼の胸元にぐりっと頭を押し付けてオトモアイルーは思う。きっとオトモガルクもそう思っているだろう。
わかる、わかるよ……
結構、長いです
過去に書きかけて止まったため、当時はどう完結に向かおうとしていたのか、今ではもう思い出せません(笑)
しかもまだ序章くらいの展開…www←
それは穏やかな平日の午後だった。

 平日に来客が0人も珍しくはない、峠の麓にある小さなカフェでは店主が店内を掃除していた。時刻は午後3時を過ぎた頃合いで、このまま人が来ないのであればそのまま閉店準備をしてしまおうと考えてのことである。
「…木曜日って、本当に誰も来ないな……」
 常連といえば常連、といった面々も顔を見せないのではこの後も一向に来客は無いだろう。テーブルを拭き、椅子を全てテーブルの上に伏して上げた時、入り口のベルが控えめに鳴る。振り返ると帽子を目深に被った男が立っていた。
「…いらっしゃいませ。今、テーブルを直しますので申し訳ありませんが少々お待ちください」
 突然の来客に驚きはしたが、店主は椅子を下ろしテーブル席を整え直した。すると立っていた男は突然、ポケットから折り畳みナイフを取り出して店主に突きつける。
「…騒ぐんじゃねぇぞ…!金を出せ!こんな寂れた店でもレジ内に現金くらい入ってるだろ?」
 妙な真似はするんじゃねぇ、とナイフの先端を店主の鎖骨下あたりを軽く突く。その分、店主は後退り、男は前進する。それを繰り返しながら少しづつレジの方へと追いやられていく最中、店主は思った。

 こんな田舎でも強盗は起きるものか……、と。



 この週末は、平日の静けさが嘘のような賑わいだった。
 というのも、先日の強盗事件がニュースに取り上げられ、普段立ち寄りもしない人間までもが噂を便りに訪れたからである。たった一人で切り盛りするにはあまりに忙しい時間だった。
 そして客は事件の話を聞きたくてウズウズしているのも見て取れるが、店主は忙しさを理由にあまり会話をすることなく、淡々と注文を捌き続けていた。それでも、少しでも話題にしたい客は、会計時になんとか会話をねじ込んでくる。それもさっくりとかわしながら、店主は動き続けた。
 波のように押し寄せた客たちがようやく帰り、店内に残ったのは三人になった。カウンター席に離れて座る二人の男女、男は求人誌を見つめ、女は本を読んでいる。そして奥のテーブル席でパソコンに向かう若い女だ。ふう、と軽く息を吐いた店主に、カウンター席の男が声をかける。
「…隕鐵(イテツ)よ、朝からお疲れ様、だな」
 求人誌から顔を上げ、片頬を上げるようにニヤリ、と笑って見せる。店主、隕鐵は全くだ、とこぼしながらカウンター下から椅子を引き出し、腰を下ろす。
「…こんな田舎で事件が起きれば、あっという間に広まるし、刺激に飢えた人間にはいい暇つぶしの話題になったことだろう…」
 ぐるり、と首を回しながらさして感情も込めずに呟く。それに応えたのは本を読んでいた女だ。
「まぁ、当面はこの状態が続きそうね。……私たちもしばらくの間は控えようかしら」
「…そう言わず、普段通り来ていてもらうほうが有難い」
「そうだぞ、菖蒲(アヤメ)! そんな寂しいことは言いっこなしだぜ」
「太朗(タロウ)、あなたが静かにしていてくれるならいいわよ」
 カウンター席の男、太朗の方には視線を一切向けず、菖蒲という女は言い切った。太郎は身体ごと菖蒲の方を向けて話しかけ続けているが、菖蒲は全身で聞く気はない、と意思表示をしている。
 いつものやりとりを眺めつつ、隕鉄は閉店準備を始めた。太朗がそれに気が付き、もう閉めちまうのか、と声をかけると隕鐵は軽く頷き空いているテーブルから拭き始めた。
「…今日は思っていた以上の来客があったから、今日一日を想定していた在庫はほぼ空になってしまったし、明日の分まで使って営業を続けなくてもいいだろう。……それ以上に疲れたからもう閉める」
 客が途切れた今しかない、と言い切って作業を進めた。拭き終わったテーブルを示すと、太朗、菖蒲、そして奥でパソコンを操作していた若い女もそのテーブルに移動する。そして隕鐵はカウンター席、もう一つのテーブル席を拭き、その上に椅子を伏せて上げていく。表の入り口は閉め、カーテンを引いた。
 ここまでが喫茶店としての通常業務。閉店後は店内の一角を彼らに貸していた。スペースを貸し始めて少し経つが、正直、未だに彼らのことがよくわからない。
きっかけは以前にもあった強盗騒ぎ。喫茶店経営を受け継いでからすぐのことだった。元・警察官でもあった隕鐵は、犯人を取り押さえ警察に連絡した経緯がある。その時、一緒に来たのが菖蒲だった。彼女が政府関係者と名乗ってきた時点で新手の詐欺か、と思いはしたが。何やらいろいろ打ち合わせはしているようだが、厄介には巻き込まれたくないと思う隕鐵は、カウンターの向こう側で何も聞かないことにしている。彼らがこちらに声をかけてくるのはコーヒーの注文くらいだ。
 田舎の山の麓にあるような立地で、客も大して訪れることのない喫茶店を人に譲られ、なんとなく経営者になってしまったが、いまさら離れるわけにもいかず常に帳簿と睨み合いをしている中で、こうした副収入はありがたい。
「あ、菖蒲さん。悟(サトリ)、バイト時間伸びちゃってミーティング遅刻するって」
 若い女がスマホをいじりながらそんなことを言う。菖蒲はあら、そう、とだけ返した。
「いつも通り、裏口空いてるよ…っと」
 相手にそう返信をしたところで、彼女はスマホを机の上に伏せて置く。とりあえず先に座っている3人にそれぞれコーヒーを置いたところで、当分、隕鐵の出番はない。カウンターの向こう側で終わるのをひたすら待つのみだ。その間、事務仕事も捗るので特段、悪くはないとも思っている。
 しばらくして、控えめに裏口の戸が叩かれるので、隕鐵は出迎えに行った。戸を開けると若い男が立っている。男はこんにちは、隕鐵さん、とあいさつをした。
「いらっしゃい、悟くん。バイトお疲れ様」
「ありがとうございます。今日もお邪魔します」
 悟は一礼すると、3人が座るテーブルへと向かった。そしてまず、若い女に声をかける。
「恵玲奈(エレナ)、連絡ありがとう」
「どういたしまして。サービス業の週末は大変ね」
「…まぁね」
 少々、力なく悟が応えたところで、隕鐵からはコーヒーが渡され、菖蒲はミーティングを始める。カウンターの向こう側に戻った隕鐵も自分の仕事を始めた。在庫の確認、発注はこまめに行っている。多すぎることなく、しかし切らさないように、小さな店であるがゆえに量の調整はかなり気を使っている。また、コーヒー豆の発注は業者を通さず、直接海外などの農園から交渉して買い入れている。祖母が教育熱心だったお陰で、今では英語以外にスペイン語、ドイツ語、フランス語、ロシア語を使えるようになっていた。当時としては何でこんなことを、と疑問に思っていたが、ここにきてこれほど役に立つようになるとは思っていなかったので、祖母には感謝しかない。
 紅茶などの茶葉についても同じく、だ。
コーヒー豆、茶葉などの値段交渉が終わったころ、早々に菖蒲から声がかかった。コーヒーおかわりにしてはかなり早い。
「…隕鐵、協力してほしいことがあるの。ちょっといいかしら」
「……おれに、協力を…?」
 菖蒲は隕鐵をテーブル席に呼ぶ。そして自分と太朗の間に座るよう促した。言われるままに腰掛けると、菖蒲は改めて、状況を説明すると言い、手元の資料を机いっぱいに広げた。
「急でごめんなさい。どうしても人手が足りないし、隕鐵ならきっと即戦力になると思って、無理を承知でお願いするわ。いつも私たちが……言い方はあれだけど、こそこそと何やら話しているのはわかってくれてると思うんだけど」
「……まぁ…、なんとなくは…」
「実は知り合い経由である依頼を受けてね…。守ってほしい人物がいて、向こうの状況が落ち着くまで日本で預かっていてほしいそうなの」
「…嫌な予感がする、って素直に感想を述べてもいいのかな」
「多分、その感覚は間違っていないと思う」
 隕鐵の言葉をあっさり肯定し、菖蒲は話を進めた。
「相手は中東でも多くの石油関連会社を経営している男の後継者候補、アブドゥル25歳。若くして自分の会社を持ち始めたり、留学経験もある多才な人物で後継者にかなり推されているの。性格も良いそうよ」
 菖蒲が差し示す資料の中に写真が挟まっている。アブドゥルともう一人の男の分がある。
「護衛は元軍人のロシア人で、アレキサンダー35歳。この二人が来週、日本に来るわ。そこで今回、安全に日本で滞在していけるように、我々がサポートに入るわけ」
「…なるほど……」
 対象の人物の次は、それぞれの役割の話になった。アブドゥルが日本に来るのは、以前、世話になった日本人の友人に会うため。友人役は悟である。
「…まぁ、確かに俺が何年か前にワーキングホリデーでカナダ行ってた時に偶然会ったんだよね。5年くらい前かなぁ? アブドゥルは留学で来ててさ、バイト先のカフェによく来てたしよく話したよ。怪しげな奴らが店に乱入したときに一緒に逃げたことはあるけど……今思えば、あれってこういうことだったのか…」
 資料を指しながら、繋がりに驚きつつも縁ってすごいな、と呟いていた。
「…じゃあ、依頼側があなたを指名してきたのは明確な意思を持った理由があったのね」
「役、ていうか懐かしの友人そのものだよ」
 うーん、こんな形で再会するなんて、と悟はまじまと資料を見つめる。菖蒲は一部選び出した資料を隕鐵に渡しながら言った。
「…隕鐵は、この護衛ロシア人の通訳係になってもらいたいの。……実を言えばあなたの経歴にはしっかり目を通させてもらっていてね、悟は英語と中国語はわかるけどロシア語はさっぱりだし、なにより実戦経験が乏しいの。賢いんだけど腕っぷしの方はさっぱりでね。万が一の時、守ってくれる相手が必要なの。語学もできて警察官として訓練してきた経験のある隕鐵が適任なのよ。外国語じゃなければ太朗がやってたんだけどね、外国語じゃなきゃ…」
「……なるほど…。かなりの大役だけど…大丈夫だろうか…。それにおれは実戦から離れて久しいし…」
 少し、訓練しないと、と呟くと横から太朗の腕が伸びてきて肩にずしりののしかかってくる。
「心配いらねぇさ。そういうことなら俺がいくらでも相手になってやるぜ」
 ばしばしと背中を叩かれ、隕鐵は少し顔をしかめる。菖蒲は無視していいわよ、とだけ言い、さらに説明に入る。
「私と太朗はそれぞれ少し離れたところから見回っているわ。異変が起きたら駆け付けられるよう位置を取るように努力するから。恵玲奈はベースになるワゴン車で待機、常にいろいろなカメラで周囲を確認して、異変があったら知らせてくれるわ」
「任せて。どんなカメラもあたしは『自分の目』にできるから」
 よろしく、恵玲奈さん、と隕鐵が会釈すると、恵玲奈は隕鐵が何か言おうとするのを遮った。
「あたし、年下だし、さん付け慣れてないから恵玲奈、って呼んで。あたしはテツさんって呼ぶから」
 強めに引いたアイラインでより力を増した恵玲奈の目に真正面から見つめられ、隕鐵は迫力に押され気味にわかった、と頷く。そこへ悟も加わってきた。
「俺にも! 俺にも悟、だけでいいですから。俺もテツさんって呼びますし!」
 勢いよく加わってきた悟の迫力にも押されつつ、隕鐵は頷く。
「…さて、だいたいは把握してもらえたかしら。次の月曜日の午後、飛行機が到着予定なの。首都空港まで迎えに行くところから、任務開始よ。…その間、隕鐵には店を臨時休業してもらうことになるからよろしくね。…ちゃんと手当出るから心配しないで」
「……それはどうも…」
 喜ぶべきかどうなのか、些か複雑そうな表情で隕鐵は応えた。
「…今日が土曜日だから、訓練は明日しかできないな…」
「大丈夫だろ、明日は俺がしっかり訓練に付き合ってやるぜ!」
 楽しみだなー! と太朗が今からでも始めそうな勢いで言う。
「……それはどうも…」
 隕鐵はすっかり表情をなくし、同じ言葉を返すだけに留めた。

 日曜日は前日に勝るとも劣らない人の入りを記録し、隕鐵は午後3時には早々に閉店、月曜日から臨時休業の貼り紙を入り口に貼りだした。片付けが一通り終わったころ、カウンターの上に置いていたスマホが低い音で震える。メッセージの送り主は太朗だった。
《よう、お疲れ! 片付けは済んだか? 訓練場所なんだけど、地図送ったからここまで来てくれ! いやー楽しみだな!楽しみにしてるぜ!》
「……」
 文面だけでもかなりテンションが上がっているのだろうと見て取れる。顔文字などが乱立していて少々うっとおしい。通信アプリにあるスタンプまで連投され、菖蒲が太朗と連絡取り合うのは喧しいからおススメしない、と言っていた意味がよくわかる。
 昨日、常連だと思っていた面々が実は水面下でいろいろ動いている特殊な存在だと改めて知り、まさか関わることになり、連絡先まで交換することになるなんて、全く想像もしていなかったことが立て続けに起こっている。しかも明日から急に任務本番だと言われ、事の早さに追いつけない。
 ふぅ、と軽く息を吐くと、車のキーとスマホを持ち店を出た。車に乗り込むと、運転席側に取り付けてあるスマホホルダーに地図アプリを起動させたスマホを入れる。太朗が指定する場所まで向かうことにした。



 翌日。
 一台のワゴン車に乗り込んだ面々は、首都にある空港へと向かって高速道路を走っていた。運転は隕鐵と太朗が交代で行っている。今ハンドルを握っているのは上機嫌の太朗だ。
「運転を交代できる相手がいるってめっちゃでかいよな! すげー気がラクだし!」
「…それはよかった。じゃあ、この次のサービスエリアでまた交代しようか、タロさん」
「おー、頼むわテツ」
  ちらり、と後ろに目をやると、先ほどまでスマホでゲームでもしていたであろう若者2人はすっかり眠りに落ちていた。菖蒲は外を眺めていたが、隕鐵が後ろを振り返っていることに気が付き、視線を隕鐵へ向けた。
「…あら、どうしたの?」
「……あ、いや、後ろが静かになったものだから」
 どうしてるかと思って……と控えめに呟く。少し沈黙が続いたので、隕鐵はそーっと身体の向きを前に戻していく。そこへ菖蒲が声をかけた。
「…いつもなら、この2人が移動中に寝落ちたりしないんだけどね、今日は随分、緊張が解けているみたい。テツがいるお陰ね」
「…そういうものなのか…?」
 助手席のシートに身体を沈めなおして呟く。それは菖蒲の耳に届いていたようだ。
「そういうものよ。いままでこのチーム内に無かった空気だわ」
「……そうだな、俺もそう思うよ」
 運転中の太朗も上機嫌のままそう言った。
「…なんてったて、ウチの小僧どもがこんなに落ち着いていられてるなんて初めてのことじゃね? なぁ、菖蒲!」
 ルームミラー越しに菖蒲と目を合わせ、太朗は笑顔で運転を続ける。
「…そうね、特に運転が太朗だけじゃないってところに安心してるのかも。あなたの運転、ヒヤヒヤしっぱなしで寝たらいつの間にか死ぬんじゃないかって思うこと多いもの」
「ヒデェ!」
「酷いのはあなたの運転よ」
 スパっと言い切られ、そこからは少ししょぼくれた感じで次のサービスエリアまで運転を続けた太朗だった。


「うーん、やっぱり運転してると気が張ってるんだな。地面に足がつくと安心するぜ」
 車から降り、太朗が大きく伸びをしながら言う。寝ていた二人も起きだし、全員が車の外に出た。
「順調に車が流れているおかげもあって、予定よりかなり早く到着しそうね。…ここで少し長めに滞在しましょう。各々、好きに行動してきていいわ。1時間後に集合ね」
 腕時計を見ながら菖蒲が言うと、恵玲奈がさっそくこの場を離れる。そこに悟もついていくようだ。若者を見送った三人は一度顔を見合わせ、無言でそれぞれ好きな方へ歩き出した。


 無言で歩く恵玲奈の斜め後ろを、これまた無言の悟が続く。途中で急に足を止めた恵玲奈に驚いて、悟は危うくぶつかりそうになりながらもなんとか止まる。振り向いてきた彼女の視線が今日も厳しい。
「……なんでついてくんのよ」
「…なんで…いや、なんとなく…?」
 いつもなら悟は太朗にずっとくっついている。幾度となく危険な目に遭わざるを得ない現場に遭遇してからというもの、助けてくれる存在の傍を離れることなどしなかったのだが。
 恵玲奈はひとつ、見当がつく。
「…テツさん、いるから?」
「……」
 思わず押し黙る悟に、沈黙は肯定とみなすよ、と恵玲奈は言った。悟が黙ったままでいるため、それ以上話すこともない恵玲奈はさっさと歩きだしてしまった。慌てて悟は後を追う。自分でもよくわからないんだけど、と悟は小さく呟いた。それは前を向いたままの恵玲奈の耳に届いている。
「…こんな、言い方していいのかわからないけど、得体が知れなくて…不安になるんだ。…この人は一体何者なんだろうって。ただの、寂れた喫茶店の経営者じゃない気がして」
 もちろん、その感覚は恵玲奈もよくわかる。表情の変化に乏しく、とても接客業を生業にしていくタイプには思えない。また、元警察官だと言われても、そんな仕事をしていたとも想像つかない。
「…それに、菖蒲さんやタロさんとも前々から面識あるんじゃないかな……。こんな仕事の話を突然されて、全然、動揺している様子なんて感じなかった…。いくらロシア語が分かるからって、二つ返事で了承できる?」
 悟の疑問は尤もだった。何より彼を最も不安にさせていることは、いつも仕事では守ってくれる護衛役が太朗ではなく、急遽協力を依頼された隕鉄だからなのだろう、と恵玲奈は思う。太朗のように、守ってもらえるのだろうか、生きて帰ることができるのだろうか。

 身を委ねるしかない若者たちは、今日も内なる不安と戦っていた。
これ好き! 好きすぎる!
ネタを考えて、途中でいつも力尽きてしまい公開まで至らない系……
書きかけでも、もそもそ上げていこうと思ってここに来ました
上げている内に完結まで辿り着ければいいな、と(笑)
応援してる!