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ぷーさん
7/7 23:32
#原稿進捗
オメガバースで本番ありなので
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#原稿進捗
新刊頑張ってるから応援してほしくてここに進捗載せておきます……
月内の締め切りに間に合わせるぞ……
はしりがき
7/7 23:32
「成功するとは思っていない、脅かすことができると知らしめる程度でいい。失敗したならばすぐに離脱しろ」
自分たちの存在だけは知られてはならない、そう言いながら前金として報酬の三分の一を手渡してきた男に彼は静かに頷いた。
肩まで不揃いに伸ばされた漆黒の髪の毛にはところどころ白いメッシュが入っていて、カチューシャの様に三編みで前髪が顔にかからないよう留めてある。幼さが何処か残ったような少年と青年の中間にも思える顔立ちは、左まぶたから眼下に伸びる傷跡のおかげで僅かばかりの厳しさがあった。
「……はぁ、あんたが上客だから今回は乗ってやるけど王族の暗殺なんて……」
「乗り気じゃないのは分かっている。これが終わったら私は君を家族に迎えたいと思っている……」
ベッドに腰を下ろしていた彼の首を飾る特殊な魔法がかけられたチョーカーを指でなぞり、下卑た笑みを浮かべる男の態度に彼は僅かに眉をしかめた。
「……よせ、どうせ自分の組織の地盤固めにアルファの跡継ぎが欲しいだけだろ? ベータのあんたと俺じゃ無理だ。確率が低すぎる」
「そう言うなよ、俺はお前を気に入っている。気紛れに体を売る様な生活から抜け出すチャンスだぞ?」
「……っ! 誰のせいで……」
男の言葉に一瞬彼の表情に強い不快感が走るが、すぐに鳴りを潜めて素気ない態度へと戻った。
素っ気ない彼の態度にすら興奮するのか男は言いながら肩を掴んで、再びベッドに押し倒そうとする。だが、彼は大きなため息を吐くだけで押し倒される事もなく立ち上がったのだった。
「悪い、今は誰のものにもなる気は無い」
そう告げると自分の衣服を手早く着込んで前金の入った革袋を掴んで部屋から出ていく、ドアが閉まる瞬間まで男が何かを言っていたが彼の耳には最早届かないのだろう。
振り向くこともなく彼は場末の連れ込み宿から立ち去った。
「……はぁ……あんな男にオメガだとバレなきゃこんな事もしなくて済んだのにな」
歓楽街から人通りのないスラム街へと歩きながら愚痴をこぼす彼は、廃棄された教会にたどり着くと誰にも付けられていない事を確認するように辺りを見渡してから門をくぐった。
この世界には男女以外にアルファ、ベータ、オメガと言う第三の性が存在する。原因は古代竜帝時代に世界が滅びかけ人口減少に歯止めがかからなかった事が引き金に、女性以外にも妊娠ができる存在が必要と遺伝子が判断したからだとこの世界の人間はどんな身分に生まれようと教えられる。特に集団を統率する能力に長けたアルファは重宝され各国の重要なポストに就く、逆にオメガは数ヶ月に一度発情期と呼ばれる抗いがたい性衝動に苛まれ周りをも巻き込むため嫌厭されやすかった。
それでも希少種であるオメガはアルファとの間に必ずアルファを産み、ベータとの間であっても確率的にアルファを産むとされ囲い込みが行われていた。
彼、ゼオンはオメガ性を持つ青年だが孤児であり徹底して自身の発情期を管理し隠してきたが故に今まで誰にも囲われずに暮らしてこれた。
ミスを犯したのは先程の男が居る場所でヒートで前後不覚になったオメガを救助した場面を見られた時だった。ベータですら誘惑するオメガのフェロモンを浴びながら平然とできるのはオメガしかいない、そんな常識を忘れるほど彼が救助したオメガは窮地にあった。
最初は脅しのような物だと思っていた強制された肉体関係は、いつからか男が一晩買ってやると金を出すようになる事で変化を迎えた。
ゼオンから男に対する感情は最初からずっと嫌悪でしかないが、定期的に性欲を満たされることで抑制剤の効きが違うと感じてゼオンは男娼を演じることにしている。多少の稼ぎがあれば彼はこの棄てられた教会で暮らす孤児たちを餓えさせずに済む、と自分に言い聞かせてこれまでやり過ごしていた。
それが近頃は会うたびにチョーカーに触れて項を噛みたいと暗に仄めかすようになってきた。
「……この仕事が終わったら、そろそろ手を切らないとな」
瓦礫の下に隠された地下収納を開けて前金を隠すと、人の気配で起きてきたのであろう少女と目があった。
「ゼオン……さん?」
「ダナか、起こしたみたいで悪いな」
「いえ、大丈夫です。またお仕事ですか?」
「ああ、今回はちょっと時間がかかりそうなんだ。ここにある程度の蓄えがある、皆で使ってくれ」
すぐに身支度を整えようとするゼオンの服の裾をダナはギュッと握りしめて、不安そうに大きな瞳を揺らめかせながら見上げた。
「万が一戻らなかったら……ダナ、お前がみんなを守ってくれ」
それまでの厳しい表情が嘘のように柔らかく微笑んだゼオンは、ダナの頭を撫でながらも依頼を破棄するつもりはないのか手を離させて教会を出て再び夜の闇へと舞い戻っていった。
それから数日後、彼は緑豊かなルノーブから砂丘広がるウエストレッドのとあるオアシスの村を目指して歩いていた。
閉鎖的な国と言われているだけあって冒険者であってもオアシスの小さな宿場だろうと冷たい視線を向けられる、余所者に対する警戒心が根強く監視されているようだと感じた。
「確か、ターゲットはウエストレッド王家の第一王子……」
宗教国家でもあるウエストレッドの宿場には司祭である王への崇拝、次期司祭長となる王子たちへの崇拝が蔓延し神にすら縋ったことのないゼオンには居心地の悪い場所でもある。信じることで救われるなら自分や教会においてきた子供たちが飢えと寒さに苦しむ必要なんて無い、そう誰にも聞こえない声で呟き奥歯を噛み締めた。
視察で訪れると言う宿の近くに破棄された家屋を見つけたゼオンは、宿の間取りや人員配置の予測を立てながら失敗しても構わないと言う男の言葉に首を傾げながら逃走経路の下見も済ませていく。まるで失敗することが前提かの様な態度だったと思い起こすほど不審かつ、成否に関わらず男の地位が上がるのだろうと思える誘いだった。
「……あんな奴に身請けなんてされたら……」
自分で言った言葉にふるりと身震いしてアルファを生むための道具扱いされるであろう未来に吐き気を覚える。スラム街で過ごしてきた時間が長く、独り立ちをしろとの言葉を残して目の前から去った師匠からの教えもあり相手がどういう考えで自分を利用しているのか程度は予測できた。
「いっそここで捕まって死刑にでもされたほうがまだマシってやつだな」
冗談めかして笑いながら壁に貼られたターゲットの似顔絵を一枚剥がし、懐に入れて一先ずはねぐらに戻り視察団の到着を待つことにした。
その日の夕方には宿場町自体が騒然となるほど熱烈に歓迎された第一王子の来訪は、あばら家に身を隠す彼の耳にも届く。直接顔を確認するべきかとも考えたが、不慮の事態を考慮した彼は買い込んでいた食料を口に喧騒が収まるのを待っていた。
やがて月のない夜になり彼は口元を覆い隠すように自身のマントの襟を立て、今一度自分の装備を確認する。愛用の剣は大きすぎて屋内で振り回すには向いていない、太腿のベルトにナイフを追加装着し雲が星空すら隠す闇夜に紛れて目的地を目指した。
気配を殺し警備兵の死角を潜り夜風を取り入れるために開けられたバルコニーに降り立つ、一般客も寝静まっている深夜の宿はアリの足音さえも響きそうなほどで彼は息を殺すように奥歯を噛み締め僅かに盛り上がったベッドの上に視線を移した。
微かに聞こえる寝息になんの恨みも無いがこれも仕事、とナイフを手に踊りかかった。その瞬間だった。
「……見慣れない格好だな、誰の差金だ?」
刺したはずの布団からはなんの手応えも感じられず、代わりに自分の喉に冷たい金属が充てがわれている感覚だけがある。耳元で聞こえる声は何処が人を食ったような音で、余裕さえ滲み出ていた。
「……あぐっ!」
左手の肘の筋を押し込むように親指で刺激されビリリと電流が走るような感覚に、ゼオンは思わず声を上げて武器を落としてしまう。的確に急所を刺激する手腕に背中に脂汗が流れた。
「さあ、どうやって口を割らせてやろうか……」
そう言いながら強制的に振り向かされたゼオンは暗闇の中でも煌めくエメラルドグリーンの瞳と視線があった瞬間、自分の中の何かがじくりと刺激されるような味わったことのない感覚に身震いした。
「あ……アァッ……んくっ……な、に……なんだ、これ……」
急激に体温が上がり下半身にドクドクと血流が集まるような、それでいて悪寒ではなく衣服のすべてを脱ぎ去りたいと真夏に籠もった熱を放出したいと言う考えに近いものを覚える。目の前の男が触れた箇所からジンジンと熱が広がるような、膝を付いて自分の体を抱き締めなければ抑えきれない何かが脳内を支配した。
「お前……まさか……オメガか……」
「っ! ……ち、ちが……っん……は、うぁ……なんで……い、ま……はぁぁっ」
急に自身のオメガ性を見抜かれたことに動揺するのだが、今の状態での否定は肯定になるだけである。
「はや、く……にげな……きゃっ……」
ぶるぶるとふるえる両足に力を込めて逃走を図ろうと侵入してきた窓に向かおうとしたのだが、ゼオンの努力は完全な徒労に終わって男に背後から甘く捕らえられた。
「逃げるな……ヒートのお前がこんなにフェロモンを垂れ流して無事で済むと思うのか?」
男の声からは先程の脅しとも取れる色が失せ、代わりに纏わりつくような甘さを含んで耳朶を撫でる。緩やかにかかる吐息と共にふわりと嗅ぎなれない爽やかで心地良い香りに、ゼオンは敢え無く掴まってしまった。
「あ……は……んん……んちゅ……む、ぁ……」
前後不覚のまま何故かゼオンは逃げようとした窓ではなくベッドへと体を沈め、獰猛な大型のネコ科動物を彷彿とさせるエメラルドグリーンの暗い輝きに見つめられながら口付けを受け入れていた。
ずっと彼を買っていた男とですらしたことのないそれを易々と受け入れながら、絡められる舌と唾液の甘さに体の芯が戦慄き歓喜する。頭の中ではこんなことされたことない知らないと考えているはずなのに、男の唇が離れると切なそうに追いかけ自ら首に手を伸ばしてもっと深く繋がろうとねだってしまう。
初めて出会う男なのに触れられる箇所から熱が吐き出されて、篭って苦しい何かを開放してくれるようだと期待で蜜壷がじんわりと濡れた。
「……ん……従順な良い子だな……だが、俺を殺そうとしたお仕置きはたっぷりとさせて貰う」
言いながら男はゼオンの服を引き千切るように脱がせ、ゆるく立ち上がっていた陰茎には触れずに太ももの内側を撫でる。
「あっああっ……やっ……やめろっ……ヤダッ……」
言葉で否定し抵抗しようとするもゼオンの思考は焦らされる刺激に対する物足りなさと、目の前の男から漂う独特なアロマに安息を得ている。手足は別人に押さえつけられているかのように痺れて動けず、体は熱る一方だった。
「いや、じゃないだろ? 随分と使い込まれてるな……こんなに濡らして腰を揺らす淫らな身体で俺を誘惑して油断を誘うつもりだったのか?」
相手の言葉で羞恥に濡れた瞳と震える唇で紡ぐ否定の言葉に説得力は無く、熱く荒い吐息は相手の嗜虐心をくすぐるだけだと今のゼオンには解らない。ギロリと情欲に曇る視線に射抜かれて言い訳がましい声は、ヒュッと空気を飲む音に変わって止んだ。
「いいか、お前は失敗したんだ……だが、俺は寛大だ。雇い主を話せば断頭台に送ることだけは許してやろう」
言いながら男にガントレットやブーツも脱がされ、文字通りの丸裸にされたゼオンに値踏みするような視線だけが降り注ぐ。真っ白な肌は興奮しているせいで全体的に赤みが差し、両手は肘から爪先にかけて黒ずんだ独特の色合いを持っていた。
「やだ……みる、な……見ないで、くれ……」
両腕を隠したいのか自分の体の下とベッドの間に挟もうとすることで、自ら臀部から下を突き出すような格好になっていることには気付いていない。だが、そうなるほど隠したい気持ちを男は察したようにゼオンの紅潮した頬を柔らかく撫でた。
「いいのか? 腕だけを隠して……お陰でお前の可愛い乳首が触ってほしそうに俺に丸見えだぞ」
まるで腕など気にしていないと言うかのように視線を移動させる男につられて、ゼオンもまた自分の胸へと顔を向ける。触られてもないそれはピンと上向きで存在を主張しているようだった。
「え……あっ! ……んんーっ……だ、めっ……吸ったらぁっ……あぁんっ……」
視線が移動するのと同時に男の頭がゆっくりと移動し、見せつけるかのように真っ赤な舌が肉厚の唇の間からから現れて乳首を包み込んだ。
わざとらしく音を立てながら吸って甘噛をすると、彼の身体は電流が走るように震えて弓なりにしなる。腰を頂点に体を持ち上げるように喘ぐせいで、男の腹にゼオンの陰茎が擦れて快楽の相乗効果を生み出していた。
「アァァッ……だめっ……き、もち、いっ……」
不揃いな長さの黒い髪が奔放にシーツの上に広がり、首を横に振りながら快楽を逃がそうとしている。体の下に隠していたはずの両腕はいつの間にか男の肩へと回され、快楽を堪える為にギュッと握り込まれていた。
熱い吐息と舌に包まれ舐め転がされる快感と、もう一つの乳首が指でキツく摘まれ先端を爪で引っ掻かれるビリビリとした痛みが綯い交ぜになって身体中を駆け巡る。最後に抱かれた記憶が薄れもしない数週間前だと言うのに、キスと乳首への愛撫だけで全てが眼前の男に塗り替えられていく気がしていた。
(もっと欲しい……奥に、中にこの男のモノを入れて欲しい……)
ジワジワと脳を支配する情欲は確実にゼオンから理性を失わせて、オメガの本能を揺り起こす。男がなにか話しているという認識はあるが、意識が言葉に集中できないで曖昧な言葉でしか返せなかった。
「ヒートのせいでまともに思考できないのか……ならば、これはどうだ?」
トロトロと先走りを垂らして次の刺激を待ち受けるように脈動する陰茎に口付け、自分の名前を言えたら一度イかせてやろう。と男は悪魔の囁きをゼオンに向けて投げかけた。
「ひんっ……う……ふぁ……な、まえ……お、れ……のなまえ……言うから! ……いうか、ら……焦らさないでっ!」
根本を絞るように男の指に捕らえられたゼオンは腰を跳ねさせながら自分の名前を告白すると、懇願する熱に浮かされ潤んだ瞳が男の劣情で染まる視線がと絡まった。
「いい子だ、ゼオン……」
名前を呼ばれただけだというのに甘く蕩けるような響きを持った音に聞こえ、男の唇に鈴口が触れた途端にゼオンはあっけなく達してしまう。情けない嬌声を挙げて全身を痙攣させるゼオンの淫靡な姿に男は思わずにんまりと微笑み、溢れ出る精液の一部を飲み一部はそのまま彼の陰茎に刷り込むようにフェラチを開始した。
「アッ!アアァアッ!……も、イッたからぁ……やあっヤダァッ!」
更にこみ上げる強い快楽に怯えて腰が引けるの男は逃すまいと引き寄せ、しっかりと根本まで咥えこんで頬をすぼめる。じゅぽじゅぽと粘ついた精液と唾液の絡まる音を立てながら首のバネを使って匠に裏筋を扱かれゼオンは何度も駄目だと否定するのだが、腰は刺激に浮ついて声は愉悦に上ずっていた。
ゴリゴリと上顎に亀頭を擦り付けるようにして絞られると、ゼオンは耐えかねて絶頂より更に強い快楽の波に飲まれて太ももの内側の筋肉が大きく痙攣した。
「ひぃぃぅうんっ!で、ちゃう……漏れるッ!ヤダアアアァァァァッ!」
幼子のような口調でいやいやと首を振り目を見開くゼオンの陰茎から男の唇が離れると、鈴口からは泡立つような透明な体液が勢いよく吹き出し肢体を濡らす。明らかに精液ではないそれに戸惑いながら泣いてしまうゼオンの姿に、男は罪悪感を抱いたのか慰めるように彼の頭を抱き寄せて涙を指で拭って瞼の上に何度もキスを落した。
「大丈夫だ、漏らしたわけではない……気持ち良すぎたら出る物だ」
「だ、じょう……ぶ?だって、いまの……」
「ああ、単に潮吹きをしただけだ。女と同じ様にな」
優しく諭すような言葉ではあるのだが男の言い方はまるでそうあることが嬉しいとでも言うような、ゼオンに対してお前は雌だと言いたげに聞こえて困惑が深くなる。今の言葉をゼオンは不快にも嫌だとも感じず、逆にこの男の雌であると宣言されたような錯覚を感じて嬉しいと考えてしまった。
それと同時に自分のアナルがキュンとときめいてますます濡れるのを感じて熱い吐息が漏れ落ちた。
鼻腔をくすぐる爽やかな柑橘系の香りは妙な安心感を抱かせ、ゼオンの男に対する警戒心と理性をを根こそぎ奪ってゼオンをただのオメガに堕とすだけの力がある。今まで出会った数少ないどんなアルファよりも魅力的に見え、早く項を噛んでほしいとさえ考えさせた。
(違う、それは駄目だ……どうして、この男の言葉を拒絶出来ないんだ)
「お前が自分の事を素直に一つ話す度に欲しい快楽を与えよう……簡単な質問に答えてくれれば良い」
余りに甘美な誘惑にゼオンは射精からの潮吹きという絶頂の連続でぐったりと身体をベッドに預けながら、蕩けたような目で男を見上げてへらりと笑った。
「では最初に……ゼオン、お前はどこから来た?」
男の質問は当たり障りのないように出身や自身の家族や友人の話から始まり、その一つ一つを曖昧に最小限の漏れてもいい情報だけを話す理性を振り絞っていた。だが、いつまでも与えられない本懐に心身の熱の昂りは限界まで達していた。
「も、もう……これ以上、こたえられないっ! は、やく……はやくお前をくれ……ここにっいれて……俺をおまえ専用の雌にしてくれ……っ!」
鬱血痕だけをつけられて触れられない脚を開いて自らアナルを拡げるゼオンの仕草に、男は生唾をごくりと飲み込んで人差し指を誘われるままに潜り込ませる。外側のひだに包まれ飲み込まれていく指をきゅうきゅうと締め付けながら、物足りなさに腰を揺らしてボロボロと涙をこぼした。
「ああ……こんなに蜜を垂らして……そうやっていつも誘っていたのか?」
「え……?」
「お前の首筋やこのいやらしい穴から漂う男のフェロモン……恋人でも居たのか? それなのに俺専用にしてくれたなどと、軽々しく言うのか」
既に数週間前の性交が最後で何度も体を洗い匂いは落ちていたと思っていたゼオンは驚きに目を丸くする、それと同時に男の声に怒気が混じっていると勘付いて身を固くした。
「あ……アイツは……違う、そう云うんじゃ……っ!」
思い浮かべることさえなかった男の顔が脳裏を掠めてゼオンは思わず顔をしかめると、それだけで相手への感情を悟ったと言わんばかりに唇が重なる。言い訳を飲み込ませて余計なことを言わないようにとでもするかの如く、薄く開いた唇の隙間をぬって男の舌がぬるりと滑り込んだ。
「んんぅ……あ、む……ちゅ……ふぁ……ぁっ……」
歯並びをなぞり上顎をくすぐる奔放な動きについていこうとゼオンの舌も拙くも動き、お互いに絡みあって唾液を交換するとそれだけでゼオンは幸福感に包まれる。うっとりと魅入りながら口づけを甘受するゼオンの頬を、男の細く筋張った指が柔らかく撫でた。
「ん……ゼオン……お前の中に残るこのベータの匂い全て上書きしてやる。だから……」
離れていく唇と唇の間を架け橋のように銀糸が垂れて、名残惜しそうに見つめるゼオンの耳に男の柔らかな声音で名前を呼んでほしいと言う囁きが聞こえた。
「名前……?」
「知っているんだろう? 俺を殺しに来たのだから」
頬を撫でていた指が飲みきれずに口の端から滴った形跡だけを残した唾液を拭うように顎のラインをなぞり、そのままゼオンの首筋から鎖骨を愛撫のように撫でた。
「あっ……その……バラカ……って呼んでも……?」
おずおずと名前を口にするゼオンに満足げな微笑みを浮かべた男、バラカは既に完勃ちの自らの肉竿を曝け出すように衣服を脱ぎ去りゼオンの上に覆いかぶさった。
「俺の質問に答えた褒美をたっぷりと味わって可愛い声で鳴いてくれよ?」
甘く柔らかな声音とは裏腹に肉襞に押し付けられた怒張は太く、経験の少ないゼオンは初めて姦通される生娘のように緊張する。
だが、発情期を迎えたオメガとして彼の身体は自ら雄を迎え入れるために愛液を垂らしてその質量を簡単に飲み込んてしまうのだった。
「ああぁぁぁぁぁぁっ……んんーっ……はあっ……ふ、といの……はいって、く……るぅっ……!」
亀頭から雁首の最も太い部分がゆっくりと挿入されると、ずっと与えられなかった快感に全身が跳ね上がる。その反動を利用するかのように一気に根本まで埋め込まれて、脳天をつくような快楽の電流に撃たれてゼオンは押し出されるように絶頂を迎えて射精してしまう。勢いよく飛び出したそれはゼオンの腹や胸を汚して二人の体に擦られてぬちゃぬちゃと卑猥な効果音になる、恥ずかしさをわずかに噛み締めながらもゼオンはバラカにしがみついた。
「アッアッアッ……ソコッきも、ち……いっ……ビリビリする……っ!」
ぷっくりと自己主張する前立腺をバカラは亀頭で揉み上げる様に刺激し、ゼオンの体を抱きしめながら額や頬に唇を何度も落とす。まるでゼオンを労り慈しみながら愛するかのように降ってくるバードキスの雨に晒され、アルファからの愛情を注がれているのだとオメガの本能が感じ取り直腸がきゅうっと締め付けた。
「……つ! せま、い……な……あぁ……ゼオン……可愛いやつだ……」
絡み付くように締め付けては時折緩む中を何度も擦り上げては気持ちいいと言葉にされ、ゼオンの僅かに残る理性が恥じらいを頬に赤く乗せる。それもただの恥じらいではなくバラカが自分の中で快楽を得ていると言う事実が嬉しくて、ゼオンはすべてを喪った日から凍り付いたと思っていた自らの心がまた熱を帯びて燃え上がるのを感じて恥ずかしくなったのだ。
「あんっ……ん、ちゅ……はぁぁぁっ! バラカっばらかぁ! ……もっ、とおく……あんたの、子種を……出してッ!」
バラカの腰に自ら両足を巻き付けて強請るように口づけると、先程まで恥じらっていたのが嘘のように大胆な言葉で劣情を煽る。焚き付けてさらなる快楽の波に飲み込まれながらも、緩く様子を見ているだけだった腰の動きが段階を踏んで強く上へと突き上げるように動き始めた。
肉襞を掻き分け発情期を迎えて形成されるオメガ子宮の入口付近にまで肉棒は届き、入り口をノックし続ける。そこまで届いて暴かれてしまうと最後の理性は燃え落ちるちり紙も同然で、艷やかな鳴き声を上げて男根に触れられることなく射精を繰り返す。もはや女性の膣と相違ない直腸もバラカ自身を締め付けながら愛液を分泌し、打ち付けられる腰と尻肉のぶつかる音の間には粘着質な物が混じっていた。
「くっ……ゼオン……ゼオンっ! ……中に、出す……うぅっ!」
「んんーっ……ひぅっ……んああぁぁぁぁぁぁぁっ! イッ……くぅ――――……っ!」
バラカの両手で頭部を抱えるようにしっかりとホールドされた状態で体内に解き放たれる熱い迸りを感じ、まるで愛されているかのような護られている様な夢見心地のままゼオンもまた射精してつま先を丸めながら腰がガクガクと震える。以前にも何度か中に出されたことはあったが、全身を甘く包み込むような達成感も幸福感も無かった。
全てが溶かされる熱と悦びに指の先までジンと痺れて、歓喜は視界を歪ませ涙となって頬を伝った。
「あ……ふぁ……なか、あったか……い……はぁっ……」
「だ、大丈夫か? 痛かったのか?」
ゼオンの子宮をたっぷりと満たすほど出したバラカは、恍惚と心地よい疲労感で胸を満たされながら視線を向けた先でゼオンが泣いていたことに驚き焦ってしまう。何度も名前を呼んで体を離そうとする姿は殺し屋を拷問しようとしていたとは思えない程で、ゼオンは思わず身を乗り出してその胸に顔を埋めるように抱きついた。
「はなれ、ないで……くれ……」
この部屋に自分が忍び込んだ目的も忘れてしまうほどバラカから漂うフェロモンに焦がれ、僅かでも離れてしまうのが怖くなる。まるで子供だと少しずつ鎮まる絶頂の余韻と入れ替わりで、理性が現実を引き連れて戻ってきていた。それでもゼオンの頭の中は未だにこの男のものになりたいと言う願望が渦巻いて、中に吐き出された精液の一欠片ですら零したくないと無意識に肉襞がバラカの物を締め付けてしまっている。
「……ゼオン……お前が何に怯えているのかは解らないが、これからは俺がお前の庇護者だ。俺はお前のアルファなのだから」
バラカから紡がれる耳障りのいい言葉に心が解れ、再び口づけを受け入れるとそのまま熱は冷めずに二人は何度もお互いを求めあった。時折、ゼオンはバラカの視線が自分の項に向けられている事に勘付いていたが敢えて無視することにした。
噛んでほしいと言う願望が思考を支配しても、相手に望まれて差し出す方がいい筈だとなけなしの理性を掻き集めて保護魔法のかけられたチョーカーだけは外さなかった。
空が白み砂漠が再び灼熱の太陽に照らされる時間とともに、宿の厨房や下働きの人間が活動し始める音を聞きながらバラカは眠るゼオンの頬を撫でている。慈しむように左の眉の上から目の下にまで伸びる古い傷跡や、その全身に刻まれた彼の生き様を映すようなそれらに視線を向けた。
「……俺の運命の人はいったいどんな生き方をしてきたらこんなに傷だらけになると言うのか……」
ラットによる興奮が治まってからしばらくの間、バラカは一人で己の行動を振り返って後悔をひとしきりしている。このオアシスに到着したときから街のそこかしこに、他の人間が気付かないほど微量のフェロモンを感じ取ったときからバラカはどのような形であれ出会いを受け入れようと考えていた。
「……受け入れる入れないではなかったな……俺を狙ってきた殺し屋が運命だなんて、師匠たちをどう説得したらいいんだ」
自分の命を狙われる理由は簡単に予測できるが、運命の番と出逢った場合に起こる生理現象の苛烈さまでは予測できなかった。
口走った全てに整合性が取れず我ながら縛り付けたいと言う欲望が先走るとどうなるのか、情けなくなるほどに思い知ったと呟きながらバラカはため息を吐き出す。気を失ったまま眠りに落ちているゼオンの体はある程度バラカが濡れた布で拭いて、できる限り清潔な状態にはしたものの掻き出しきれなかった精液が今もトロリと溢れるのを見て欲望が疼くのを感じていた。
「……駄目だ、ここに居ると目を覚ます前にまた襲ってしまいそうだ」
簡素に身支度を整え部屋を出ると見張りをしていたのであろう女性と視線があった。
「バラカ様、おはようございます」
「キライナか……朝から悪いが師匠を呼んできてほしい」
グラマラスなボディラインに妖艶ささえ含んだ表情が乗る褐色の肌に純白の髪の毛、その場に十人男が居れば十人すべてが振り返るであろう美貌を持つキライナはバラカが幼い頃に奴隷商に売られかけていた所を助けて以来側近として仕えている。そんな付き合いの長い彼女でさえラットの影響が未だに残り、無意識にフェロモンを纏うバラカの姿に僅かに頬を染めてしまうほどの色香が漂っていた。
「あの……バラカ様、不用意に出歩かれないほうが」
「ん、何かあったのか?」
「い、いえ……今のバラカ様は我々ベータには刺激が強すぎます」
部屋に戻るよう言われてバラカは乾いた笑いを浮かべて視線を泳がせたあと、小さく頷きキライナが師匠と呼ばれる人物を呼びに行くのを見送った。
室内は未だに漂うお互いのフェロモンで満たされており、戻れば正気を失う気がしてバラカはドアノブを見つめてキライナが一人の男を連れて戻ってくるまでそのまま考え込んでしまう。
「……バラカ、入らないのか?」
「あ、師匠……その……問題があって」
聞き慣れた声と自分の姿を覆うような大きな人影にすぐ相手が誰か気づいたバラカは、僅かにバツの悪い顔で微笑みながら振り返った。
だが、彼が理由を話す前に師匠と呼ばれた男は何かを察知して大きなため息を吐き出した。
「鎮静剤は打たなかったのか」
暫しの沈黙を挟んでからの第一声で勘付かれたのだと理解したバラカは、目の前の男……師匠であるラドゥリもまたアルファだと思いだしたのだった。
そこからすぐにバラカは昨夜の出来事をラドゥリに話して、ゼオンが自分の運命だった事に対して理解してほしいと訴えた。
「その、バラカ様……運命の相手、とは?」
スラムで育ったベータであるキライナはアルファとオメガの間で長年語り継がれている運命の番と言う言葉を知らなかったらしい。本能が選ぶお互いにとっての唯一無二、決して拒むことのできない本能による一目惚れだとバラカは説明した。
「どんな形であれ必ずアルファはオメガに番の楔を打ち込むことになる……それに運命の相手との間に生まれる子供は必ずアルファと決まっているらしい」
「諸国を放浪したが、どの国も似たようなおとぎ話はある。実際に見たことはないが」
アルファ二人に語られて眉唾ながらも納得するしかないキライナは、ラドゥリが来たお陰で少し頭が冷えたと苦笑するバラカに部屋に案内されて眠るゼオンを見下ろした。
「こいつと目があった後は自分でも自分を制御できなくてな……」
普段から理性的に動くための訓練を欠かさなかったバラカにしては珍しい言葉をつぶやきながらも、キライナたちが一定以上はゼオンに近寄らないよう無意識に牽制している。本人は全くその自覚がないのだと気付いたラドゥリはキライナを自分の後ろに下がらせ、生理反射で攻撃をされないようにと庇ったのだ。
「それで、ただ性交しただけなのか?」
「せ……っ! い、いや……名前と出身地は聞いた。それからこれを……」
言葉を選ばず明け透けに聞いてくるラドゥリにバラカは赤面しながら、シーツを捲ってゼオンの腕を二人に見せた。
「これは……まさか、ディアボロスの子供か?」
「多分……理性が残っている時には見られたくないと隠そうとしていたからな。しかも世界を放浪していたが、今はルノーブの教会で暮らしていたと」
「ディアボロスの子供……まさか、あの狂竜ビートルに選ばれ竜の力を宿していると言われた」
二人の会話を聞きながらキライナの瞳に憎しみに近い感情が湧き上がるのをバラカは眉を寄せて頷き、同時に窓の外に視線を向けた。
「民たちが俺の番がこの世界をこんなにも壊した狂竜に関係する相手だと知ったら許してくれるだろうか」
大破壊と呼ばれた日から五年の月日を経てウエストレッド国内はようやく日々の暮らしを取り戻しつつあった。最も被害が大きかった王宮を擁する都市ヒカンはまだ瓦礫も多いが、離れたオアシスの村は王家が移住政策を早急に進めたお陰で足りない人手を埋めるように難民たちと住民の融和が進んだ。
そんな災害を起こした一匹の竜がビートルと呼ばれる存在であった事をバラカが知ったのは随分とあとになってからだった。
それまでバラカはノース・ボン・フロスティの王であるシュフラケンと言う脅威と相対していたが、大陸に存在する七つの国全てに間諜を放ち内戦を唆す手腕に翻弄されるばかりであった。七つの国を取りまとめるルノーブの皇帝が暗殺されキングカーダースと言う肩書から開放され、弟を時期国王として擁立しつつ不穏分子の排除に奔走していた。
皇帝を暗殺したとされるノース・ボン・フロスティの第一王子でもあるレインジ追跡の令も臆病で決断力にかける彼の性格を知っていたバラカは敢えて無視した。
故にゼオンの存在をバラカはこれまで知り得なかった。
レインジと共にこの砂漠を越えノース・ボン・フロスティへと至っていたと知ったのは、ビートルに因って都市ヒカンを破壊された頃である。まるでこの世のすべてを憎んでいるかのように暴れまわる黒い巨体と、逃げ惑う民たちを呆然と見ながら世界とは後も簡単に終わってしまうのものなのかと心が凪いでいたと振り返るだろう。
「……許さないと言われたらどうするつもりだ」
視線を向けていた窓辺を遮るように立ちはだかるラドゥリからの詰問に、はっと意識を戻したバラカは苦虫を噛み潰したような顔で奥歯を噛みしめる。
「どうにも出来ない……知ってしまったからには、戻れない」
手放せるかと問われても考えるだけで気が狂いそうだと即座に否定できる、ただでさえ同じアルファであるラドゥリがこの部屋に足を踏み入れる事でさえ理性では何もないと理解しているのに本能がひどく警戒した。
「だろうな。顔を見たら分かる……なら、やることは一つじゃないのか」
ラドゥリの一言にバラカは暫し考え込んで沈黙していたが、顔を上げた頃には何かを決意したように口元を引き結んでいる。その様子を見ていたキライナは僅かばかりに残っていた少年のような主君が、自分では気づかないうちに一人の男として成長していたのだと思い知った気になっていた。
「ところで、この男にお前の暗殺を依頼した相手についての情報はあるのか?」
「いや……だが、喋らないよう訓練されていた訳ではなく話したくない様子だった」
庇護を求める香りだった、と小さく呟くバラカがゼオンに向ける視線は二人がよく知るもので、それを向けられるのはこの世界でたった一人だと彼の人となりを知るものは皆感じていた。
「そう言えば師匠……クンタラで教会と言えば何処が思い浮かぶ?」
「教会……まさか、王宮の礼拝堂に何かあるのか?」
何かを思い出したような問いかけに対して察しの良さで打てば響く返答を得られたバラカは、小さく頷き床に投げ捨てられていたゼオンのコートをキライナに手渡す。話が一人飲み込めなかったキライナにクンタラでの諜報活動を命じると、礼拝堂には孤児がいるはずであると断定する。
「ゼオンは彼らに累が及ぶことを恐れて今後も何も話さないはずだ。彼の仕事が失敗したと勘付かれるより前に確保したい……キライナ、頼めるな?」
スラムで育った上に奴隷商の餌食になりかけた彼女にこそ適任と、選ばれた理由を理解しているキライナはすぐに自身の部下を伴いクンタラへと出発することを決意し力強く頷く。護衛の任務はリヒテンシュタインに引き継ぐというバラカの言葉には一抹の不安を覚えるが、自ら主君こそ正義を持って国を治めるに相応しいと信じ切っている男である事を鑑み頼むことにした。
「あとはお前のなけなしの理性が仕事をすることを祈るだけか?」
今後の動きについてラドゥリとバラカが話している間に身動ぎを始めたゼオンを見遣りながら、からかうようにニヤリと笑う師の態度にわざとらしく咳払いをする。
「庇護欲の方が今は強いから、もう粗相はしない!」
「随分と自信たっぷりだな……まあ、いい。お前にあとは任せるとしよう」
暫くは誰も近寄らせないと耳元で囁かれてバラカは昨夜の行いを更に後悔することになるのだが、目覚めが近いのか悪夢にうなされているのかうめき声をあげているゼオンの様子をまずは確かめる。肉厚の薄い桜色をした唇は何度か名前のような物を呼ぶように形作られるが、それは音になることなく空気を食んで終わってしまうのだ。
本人は何度も否定していたが、バラカは彼の中に残っていた他人のフェロモンが気になって訳を知らぬまま嫉妬心だけが育ってしまう。噛んで欲しいと言わなかった事が殊更、バラカの嫉妬を煽っている。
「……ゼオン……教えてくれ、お前のその項はまだ誰も知らないままか?」
うなされるゼオンの頬を軽く叩いて目覚めを促すと、寝起きの涙に濡れた赤い瞳がぼんやりとバラカを見る。まだ寝呆ているのだろうゼオンの表情がバラカを認識した途端に嬉しそうな笑顔を浮かべるのを見て、思わず零れそうな涙を吸うようにリップ音をたてながら瞼や額に唇を落とした。
自分の中に沸き起こる庇護欲とは別に理性がこの行動の根源がゼオンの発するフェロモンのせいだと理解して、厄介なバース性による本能の支配に苦笑を浮かべかけた。
「……バ、ラカ……?」
「なんだ、ゼオン」
出来得る限りの優しさを言葉に込めて名前を呼び返せば意識がはっきりするにつれて、ゼオンの顔がみるみる赤くなっていく。可愛いなと呟きながら頬に手を寄せれば驚きながらもゼオンは逃げるかのようにバラカとは逆の方向に転がっていってしまう。
「つれないな、昨日はあんなに甘えてくれたのに」
勢いよく転がったわりに昨夜の性交により負担が痛みとしてできた腰に手をやり、痛みに悶絶して動きが止まるゼオンを容易く両腕の中に捉えた。
「き、昨日は……その……うぐっ……」
話すほど喉も痛いのか掠れた声で反論しようと振り返るが、すぐ近くに迫るバラカの顔が直視できずすぐに口を噤んでしまう。
「あれだけ乱れて理性を溶かしてやったのに重要なことは何も話さないお前の胆力には脱帽したが……」
仕方のないことだと笑うバラカに対して何を言われているのか理解が追いつかないゼオンは、ひたすらに昨夜の出来事を思い出そうと視線を泳がせていた。
失敗したならばすぐに逃げればよかったのに、と思いながらもゼオンは背中からバラカに抱きしめられている事に気付いて自分の顔が更に熱くなるのを感じる。相手の息は首筋にかかり嫌でも意識するように仕向けられているのを感じながらも、自分の意志が無ければチョーカーに掛けられた魔法は解けることがない。そもそも何のためにバラカに自分が項を噛まれる心配をしなければならないのか、そこから考えてしまってゼオンは単純に混乱のるつぼに一人はまり込んでしまっていた。
「……ゼオン、何を緊張している? それとも、俺が正気に戻ったから自分の身の安全を不安に思っているのか?」
昨夜の熱に浮かされたような声音が嘘のように今のバラカは目的を明瞭に推し量り、ゼオンから情報を引き出そうとしているのが感じられる。それでも髪の毛をかきあげ首筋の生え際に唇を押し当てられてゼオンの心臓は爆発しそうなほど高鳴ってしまう。
「安心しろ、お前が大切にしている者たちに危害が及ぶような事にはならない……だからすべて話して俺と契約しろ、ゼオン」
耳の裏から耳たぶと辿るように押し付けられる唇の熱が少しずつ広がり、甘い毒のようにゼオンの体中へと染み渡っていく。
「なん……で……おまえっに……なんの、得があるって……っぁ……」
肩から二の腕へと移動するバラカの唇が肘から指先に行くのを阻止するかのように体を動かし、熱を帯び始めた視線と穏やかなエメラルドグリーンが絡み合う。
「……そうだな、お前と言う運命を手に入れたい、俺以外の誰にも触れさせたくない」
昨夜の劣情で暗く輝く双眸とは打って変わって優しさをたたえた深い湖面の様な瞳に、ゼオンは思わず息を飲んでその美しさに魅入る。
「運命……? なんだ、それ……」
「分からなくていい。知らなくていい……ただ、お前自身の意志で選んでほしい」
強い意志が込められた瞳と信じたいと思わせる本能の疼きがゼオンを突き動かす、こういう場合に彼は経験則や理屈よりも自分の直感を信じる男だった。
「お前と契約するメリットを教えてくれ」
その言葉にバラカは口元を笑みの形に変えて報酬と孤児たちの家、更には教育もしっかり施すと言うまだ誰にも伝えてはいない自身の考えを語る。どこの誰かもわからないだ子供に対して何故そこまで出来るのかと問われれば、国が瓦解してしまった土地も多く治安も悪化する世界で子供の保護こそまだ国として残っているウエストレッド王家の使命と話した。
「ノブレス・オブリージュ……こんな世界でもお前は貫くつもりなのか?」
「あぁ、この国が宗教を主体とする限り。神と民を繋ぎ、代行として救済を請け負うのが我が王家の義務だからな」
「……こんな、壊れた世界でお前の言う義務がどれだけの価値があるって言うんだ。そんなものはあいつらの飢えも寒さも充たしてやれない」
大破壊前から義務を放棄し私欲に走る貴族が多く平民の生活は安定していたとは言い難い、臣民を蔑ろにするルノーブ王家を筆頭に燻るように内乱の種はそこかしこで芽吹いていたのだと想像に易い。ゼオンもまたそうした私腹を肥やす貴族によって何らかの被害を受けていた平民の一人なのだろうと感じ取ったバラカは、彼に一つ約束しようと切り出した。
「突然信じろと言って理解を得られるとは思ってない。ただ、少し時間が欲しい」
「時間? 何の……」
「俺の言葉に嘘がないと理解してもらうための時間だ。そうだな、お前の発情期が終わる頃には準備できるはずだ」
「は? 発情期って……んうっ……あむ……ちゅ……やっ……やめっ……は……っ」
「ここまで我慢したんだ……少しぐらい褒美をもらってもいいと思わないか?」
優しげな微笑みとは裏腹にバラカの両目には欲情が浮かび上がり、それと呼応してゼオンの鼻腔をフェロモンが薫る。まだ聞きたいことがあると頭の中では非難を浴びせながらもゼオンは繰り返されるバラカとの口づけの心地よさに酔い痴れ、貪るように求めあった昨夜とは違い穏やかで少し物足りない快楽の波に飲まれていく。
何度かうわ言のように繰り返される謝罪の言葉とまるで愛しいものを見つめるかのような視線に、激しく奪うだけの行為であれば恨むこともできたのにとゼオンは息苦しくなる。命を脅かしに来たというのにバラカの腕は優しく甘く、胸の奥にある脆い部分を撫でながら入り込んでくるようだった。
バラカから一方的な取引を持ちかけられてから更に三日が経過する中で、ゼオンは自分の頭がすっきりと晴れてきたような感覚になる。今までは何かと言えば部屋やシーツに残ったバラカの残り香を求めて、その香りに包まれる安心感を得たくて独り寝の時間は落ち着かなかった。
まるで故郷を失ったあの日の感覚が戻ってきたかのような焦燥と寂しさで、感情のコントロールが利かずにいたのが嘘のように今は思考と理性が同じ方向を向いている。
寝起きのぼんやりした頭を掻きながら全身に僅かに残る倦怠感と、後始末を何もせずに眠ってしまったがゆえの不快感にシャワーを浴びたいと立ち上がろうとして失敗してしまう。
「……クソ……腰、いてぇ……」
喉も微かに嗄れていて声を出すのが痛いと感じて思わず手で触れる、そうして触れると自分の手であるのにゼオンは噛まない触れるだけだと許しを請うバラカの余裕のない声を思い出す。バラカ暗殺を依頼してきた男に触れられた時は嫌悪感で吐き気すら覚えたというのに、今思い出すバラカの声や指の感触にはそこはかとない期待があった。
「何だって言うんだ……相手は王族だぞ」
王族貴族なんてろくな人間は居ない、そう断じて生きてきたこれまでを覆すような感覚。本当に彼ならば孤児たちを助けて自分をあの泥沼のような場所から掬い上げてくれるのではないか、そう信じてしまいそうになる安心感が胸の奥に芽生え始めていた。
それでもすぐには首を縦に振れないのはこれまでゼオンが辿ってきた人生と、黒く染まり鋭利な爪を持つようになった自身の両腕が信頼という言葉を否定させるからだ。
「……ゼオン、起きたのか。体の調子はどうだ」
不意に扉の開く音がして振り向くと食事をワゴンに乗せてバラカが入ってくる。王子だというのに自らこうして運んでくるのは、バラカ曰くゼオンが発情期で自分以外には触れさせたくないからと言うことだった。
発情期を体験したことのなかったゼオンはずっとこの男が自分の体に何かをしたに違いないと疑っていたのだが、思考がクリアになるに連れて四日間の自分の頭の中が生殖にのみ傾いていた事を思い出して赤くなる。
「そろそろ終わりのようだな、扉からフェロモンが漏れている様子もない」
改めて体の調子はと聞きながらゼオンの側に腰を下ろしたバラカの気遣わしげな指が、顔にかかる長い髪を払い除けて頬に触れる。
「っ! ……なんで、そんな優しくしてるんだ。俺はお前を殺そうとしてたんだぞ」
バラカの手を払い除けて顔を背けるもずっと肌を重ねていたせいなのか強くは拒絶できず、ゼオン自身が一番戸惑っているのだと言う様子が見て取れた。
「優しくする理由……理由か……」
わざとらしく悩むふりをして視線を外せばどこかホッとしたように表情を緩めるゼオンの、わかり易さに親しみを感じながらバラカはまともな教育を受けていないであろうゼオンにも解るように現状のお互いのバース性について語り始めた。
オメガは発情期を周期的に迎える為に無防備になりやすい、そのため自覚の有無には関係なく何らかの脅威を感じると自らを護るために保護を促すフェロモンが放出される。アルファであるバラカは特にその影響を受けやすく、今回の発情期もそれに類するものだろうと結論付けて伝えた。
バラカはゼオンが自身のバース性についての知識を中途半端にしか持っていないと半ば確信しながら嘘を吐く、口走ってしまった運命という言葉の意味を追求される前に別の情報を与えて蓋をしたのだ。
「脅威……?」
「ああ、俺の暗殺に失敗するかもしれないと言う事より強く感じていたのではないか?」
「何を根拠に」
「根拠? 俺を脅威と思うのであれば離れないで、なんて縋るはずがないと思わないか?」
最初の夜以降何度もゼオンが口にした言葉を反復してバラカは嬉しそうに語る。言葉とともにリフレインするのはそれを口にしたシチュエーションで、縋ってないと反論しようにも説得力を生み出すことすら適わないと自覚してしまうのだった。
ころころと表情を変えて感情のままに己を表現するゼオンと言う存在に、バラカは口角が上がったままいつもの無表情を取り繕えないでいる。王族としては失態とも言える状態なのだが、長らくスラム育ちのキライナやリヒテンシュタインを側近として置いてきた彼には肩の力を抜いて相対できた。
「……くそ……」
「心配するな、別にそれがお前の本心ではない事ぐらい理解している」
ふっとからかうような笑みを浮かべればゼオンの顔はますます赤くなって、恥ずかしさが合わさった憤慨でシーツを頭から被ってバラカの話を聞かない態勢になる。まるで小さな子供のような仕草に隠しきれなくなった笑い声を漏らしながら肩を揺らし、口元を覆って俯くバラカをチラリとシーツの隙間から盗み見た。
「……笑ってんじゃねぇよ」
「くくっ……いや、すまん……今日はお前を移送する予定を伝えに来たんだ」
「移送……発情期とやらが終わったから地下牢にでも入れられるのか?」
冗談を挟めば今すぐにでもこのベッドから居なくなりそうなほどジッと見つめてくるゼオンに、ぱちくりとまばたきを数回繰り返した後にバラカは予定のすべてを一つずつ順序よく話して聞かせる。最初にバラカはゼオンを裁判にかけるつもりも牢に繋ぐ気もない事、次に移送するのはバラカの拠点として使っている首都から少し離れたオアシスに建てられた離宮である事。そして、その離宮にはクンタラで保護した孤児たちが既に暮らしていることを柔らかい声と聞き心地のいい速度で話した。
どのリズムでトーンで話せば人が安心感を得るのかを熟知しているバラカだからこそ、ゼオンは知らずしらずシーツから体を出してバラカの説明を真剣に聞いている。最初こそ嘘がないか探るつもりだったのだろうと予測するバラカは、下手に情報を絞って疑われるより全て話してしまったほうが協力を得やすいと判断した。
「……と、言うことだ。何か質問はあるか?」
「大体解った。ただ……その、俺の服はどうするんだ」
言いながらゼオンの視線が自分の体に落ちるのにつられてバラカもシーツの下は一糸まとわぬ姿である事を確認する。
「あ……あぁ……そうだな、作り直させよう。それまではこちらで適当な服を用意する。あとは……移送の準備にはまだ時間がかかる。風呂でも入るか?」
床に投げ捨てられて無惨な姿を晒すゼオンの服を指さしながら困ったように眉尻を下げるバラカに、肩の力が抜けたのかゼオンはプッと吹き出して笑う。少年のような無邪気な笑顔にバラカはわけもなく自分の心臓がどくりと脈打つのを感じた。
「自分を殺しに来た奴に優しい上に、服を破り捨てたことを気にする王子様とか初めて見たぜ」
面白いやつと言われて心外だと返すも、バラカは意図的にゼオンから少し離れてシャワールームの扉だけ開けた。
「風呂は一人で入れそうか?」
その一言にゼオンは子供扱いするなと立ち上がるが、数日まともに立ち上がっていなかったせいなのかふらりとよろけてしまう。ベッドからシャワールームまではそこそこ距離があるのだが、バラカはすかさずゼオンの体を抱き締めるように支えて転ばぬよう引き上げた。
「……ここ数日無理をさせ続けたからからな。手伝うか?」
「ッ! ち、ちが! 移動があるから手加減してくれてたの解ってるし……物足りないぐらい……って違う! 一人で入る!」
言いながらゼオンはまるで自分がバラカを誘っているようだと気付いて耳まで赤くしながら彼の体を突き飛ばしてシャワールームへと足早に向かう。軽くバランスを崩してゼオンを手放してしまったバラカは、シャワールームに消えていく後ろ姿を見ながらかなり薄くなったとはいえ運命だからこそ感じるフェロモンの残り香に甘い疼きを覚えてしまうのだった。
「駄目だ、我慢しろ……本能にそんなに簡単に負けるなんて情けない……」
ここ数日の交わりでゼオンの中に残っていた誰かの痕跡は消えたが、今度は自分の匂いを付けて無防備な姿を晒す彼に欲情してしまう。理性で本能を押さえつける様な煮え湯を飲む行為を自身に強いてでもバラカは次なる一手を打ちたいと考えていた。
エグゾス大陸に現存していた七つの国は権威を失墜し或いは狂竜ビートルに因って跡形もなく粉砕されたが、そんな世の中でもお前の命を脅かせると示す相手の予測など簡単に立てられるが、乏しい物証で相対できる相手ではない事も彼はよく心得ていた。
ゼオンから間接的な接点が聞き出すことができれば反撃の糸口になるだろうと考えてはいたのだが、大破壊よりも前に終わったと想っていた問題を蒸し返される遣る瀬無さに歯噛みしてしまう。
大破壊前は厳格に第一王子が王位を継ぐと決められた国を崩すために武芸指南が異邦人だと言う部分に付け込んで、改革派と保守派を分断するための方便を吹聴して回る間諜が暗躍していた。バラカはそれを知りながら裏で糸を引くのは誰かと尻尾を掴むために泳がせていたが、政治に対して意気込みが空回りする若年層が改革派に取り込まれ幼い弟は旗印に担ぎ上げられてしまった。
それを後押ししていたのが二人の母親である王妃なのだが、悪い噂ばかりを信じバラカ本人の言葉が通じないほど固執している。分断を謀った人間の裏で糸を引いていた国は既に瓦解も等しく、王位継承権を持つ王子も行方不明とバラカは聞いていた。
「喪ったことを実感できないまま己の任務を全うするなんて、崇拝と変わらないな」
だからこそ説得力が生まれるのだろうかと考えながらベッドに寝転がると、シャワーを終えたゼオンがちょうど出てきたところだった。
「……何してるんだ?」
その表情は呆れているというよりも僅かに何かを期待しているような、恥ずかしがっているとも採れるのを眺めながら自分の欲求ほど単純な世界なら良かったのにと嘲笑った。
「考え事が多くて少し休んでいただけだ……期待したのか?」
「そんな訳無いだろ! からかうのもいい加減にしろよ?」
ムスッと不機嫌を表すように唇を尖らせながら頭を拭いてどっかりとベッドの橋に腰を下ろす。わざわざバラカの足の近くに座ったことに意味はないのかも知れなかったが、無防備な項が視界に入り無性に噛みつきたくなってしまう。
「ゼオン、チョーカーを……俺の前で外すなんて、噛まれたいと言っているようなものだ。その気がないなら早くチョーカーを付けてくるんだ」
僅かに苛立ちを声に乗せて言い放つバラカの態度にゼオンはやや驚いたように肩を揺らし、意外とでも言うかのように目を丸くしてバラカを振り返った。
視界に入るのも困るというように自分の腕で両目を覆う姿に、ゼオンの中で固定概念として存在していた貴族という者に対する見方が変わりそうだと考える。運命の番という概念を知らないゼオンにとってこの数日の間に自身の心情変化には未だ戸惑いがあり、説明されてもバラカの優しさの裏には何かしらの要求があると疑っていた。
「……噛んだほうがお前には好都合じゃないのか?」
番には逆らえないと言う部分のみを抜き出して言えばゼオンがそう切り出すのは道理だろうと解っていながら、バラカは跳ねるように身体を起こしてゼオンの肩を掴んでエメラルドグリーンの瞳を揺らした。
「俺を有象無象のゲス共と同じだと言いたいのか?」
言葉の強さとは逆にバラカは悔しそうに顔を歪めて苦悶しているようで、ゼオンは自分の言葉がバラカを傷つける力を持つ物だと始めて感じる。オメガというだけで見下され脅されて生きてきたゼオンにとって自身の口から出た言葉に悪意も何もない、眼前のバラカが感じているであろうプライドを傷付けられるような苦しみの一部すら分かっていなかったのだろう。
「別に俺はそんなつもりじゃ……」
どう取り繕えばいいのか分からず俯くゼオンの肩から手を離したバラカは無言のまま部屋を出ていく、その扉が閉じる寸前までかける言葉を見つけられずに伸ばされただけのゼオンの手が虚しく空を握った。
一人きりで残されたゼオンには波のように押し寄せる後悔にも似たような自分の感情の意味が分からず、代わりの服を持ってきたと差し出してきた男がバラカでは無かった事に落胆するのも不思議でたまらなかった。
仕事で何度かアルファを名乗る男や女には接してきたが、抑制剤が問題なく効いていたおかげで今回のように不覚を取る事も無く性的魅力すら感じることはなく終わっている。それがバラカだけは視線があった瞬間から自分の正気は消し飛び、何もかも奪ってほしいと感じたのは思い出せた。
支配されたいと言う感情が体を突き動かし口付けを受け入れれば形容し難い幸福が頭上で咲き乱れるようだった。
「……わけ分かんねぇ……」
ゼオンが生きてきたこれまでの経験にそんな感覚は一度もない、幼い頃喪った家族との思い出にも大破壊を迎える前の仲間との時間にも。しかし、何かにつけ迷う心に浮かぶのはかつての仲間たちとの日々だ。
『そんなこともわからないのですか』
と呆れる声が聞こえたような気がする。
『なんだ、青春か? 良いことじゃないか』
『手間のかかる人ですね、本当に』
『リッピーより子どもでちゅ!』
振り返り二度と聞くことができない会話と幻が見える空間を見つめて、ゼオンは未だに喪ってしまった全てを受け入れることも飲み込むこともできない自身に項垂れた。
「……みんなに……会いたいな……」
頑張って
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