こそフォロ タイムライン フォローリスト ジャンル すべて 男性向け 女性向け その他一般
フォローする sinzaka しんざかです
シャニマスとTRPGが大好きです

ピクシブ アイドルマスターシャイニーカラーズの二次創作を置いています あと昔書いたかんこれと東方
https://www.pixiv.net/users/368472
R18 シャニマスのP結(途中まで書いた導入だけ)ワンクッション頑張って!オリジナルファンタジーバトル小説 大地の女神の恵み巡り 「大食戦記 狩人のルフィルは今日もお腹をすかせている」 その2一行目の行頭に空白を入れられない問題

 雪山を走る。
 傾斜角度はおよそ30度ほどの急斜面。それが土や岩でデコボコになり、更に白い雪が厚く降り積もって隠されている。常人ならば歩いて登るだけでケガをする環境だ。
 が、そんな山をルフィルは走ることができる。次に踏み出す地面の状態くらいはおおむね感じ取れるし、仮に予想外の何があったとしても、その強靭な足腰とバランス感覚で修正して次の一歩を踏み出せる。
 走り出してすぐ気づいたが、後ろに吊っている雪獅子が邪魔だ。もったいないので捨てるわけにもいかないので、紐を引いて引き寄せ、その身体を右手で脇に抱える。巨大な魔獣を引きずっても抱えても、ルフィルの足は鈍ることはない。
 加速しながら斜めに下りながら走り、耳を澄ます。先程の声はおそらく年下の女の子のものだった。しかし、一度だけ聞こえた後は途切れている。
 心音と呼吸音の判別に気を配るが、強く吹く風と雪の中ではなかなかうまくいかない。
 ルフィルは耳よりも、目に頼ることにする。
 目をこらしてだいたいの辺りをつけて、ルフィルは大きく地面を蹴った。
 山を下りながら、跳躍する。
 魔獣を抱えた女性のシルエットが吹雪の空を舞う。全身を吹雪混じりの風圧がなぜて冷やすが、彼女は顔色一つ変えずに目をこらした。
 山の中に見えた出っ張り、恐らくは雪に隠された岩が高速で近づいてくる。いや、自分が近づいている。ルフィルは真っ白な風景にも距離感を見失わず、着地のタイミングを測った。
 ルフィルのブーツの足先が岩に触れる。
 岩は揺るぎもせず、巨大な獣を持つルフィルを受け止めた。
 これならいけそうだ。
 勢いのままに、ルフィルは硬い岩を蹴って、さらに高く跳んだ。
 跳躍した岩から十メートルの高さまで上がり、周囲を見回す。強化した視覚が山の中の違和感を探した。先程は声を上げていた。だから、声の主はまだ雪に埋まりきってはいないはず。
 その予想は正しかった。
 落下するルフィルは、右方に雪に白く染められつつある黒い服と、橙の肌を見た。跳躍したルフィルの視界の中、それは通り過ぎていく。
 十秒以上の滞空の後、ルフィルは着地する。今度は足を霊気で覆い、ふわりと着地した。雪煙ひとつ上がらない静かな着地。
 すばやく踵を返し、先程見た人の姿へと走る。
 いた。
 ルフィルは走りよって抱えた雪獅子を落とし、すぐに屈んで雪を払い、その状態を見極める。
 やはり少女だった。見た目としては十代後半だろう。うつぶせになって目を閉じている。黒い髪で、身長は150センチほど。なかなかかわいい。妹にしたい。
 五体満足で出血はなし。疲労と寒さで倒れているらしかった。

「……?」

 寒さで倒れている。
 それも当然だ。彼女の服は布地が驚くほどに少ない。肩が出たインナーにマント、短めのスカート。まるで南国のような姿だった。
 まあルフィルも長袖でロングスカートとはいえ、この雪山では彼女と大差ない姿ではあるのだけど、彼女は特段に頑丈なので大丈夫なのだった。
 そして頭には頭頂がとんがった形の幅広帽子。この服装は魔術師の特徴……おそらくは戦闘系の術師だと予想できた。少ない布地でも魔力でガードができる服だ。ただ、それも攻撃された時に使うものであって、恒常的に続く寒さは防げないだろう。
 自分のように身体を霊気でガードできる闘士でもないのに、水の大陸が生える大地の果て、そしてその前にそびえる最後の山からほど近い山の中で……この姿で?
 なんとも不可思議な遭難者だった。
 とはいえそんな疑問も一瞬、やることは変わらない。すぐにルフィルは処置に入る。
 身体を仰向けにして、持ち上げる。

「起きて」
「…………」

 声をかけながら顔をかるく叩く。
 閉じた眉が動くが、開く気配はない。
 とりあえず身体を温めて意識を戻す必要がある、とルフィルは考えた。
 少女の身体を支えながら背負い袋を片手で下ろし、中に手をつっこむ。そして陶でできた灰色の小ビンを取り出す。赤い蓋をされていた。
 ビンの首を掴んだまま指で蓋をはじきとばして開ける。
 口元に近づけて飲ませようとして、ふと思い直す。
 これは自分用の気付け酒だ。何も考えずに熱辛子と爆炎酒と各種の強力な薬草を配合してある。そのまま飲ませるのは薬効が強すぎるかもしれない。

「んっ」

 迷わず自分で口をつける。半分ほど一息で飲むと、喉が強く焼けて数秒で身体が熱くなってきた。暑いから服を脱ぎたくなるほどだ。効果を確かめることもしていなかったけれど、飲ませなくてよかった。ショックで気絶してしまったかもしれない。
 少女の身体を持ち上げ、雪の上に放り捨てた雪獅子の上に横たえる。まだ仕留めたばかりなので、雪の上よりは体温が奪われないはず。
 そして、ルフィルは自由になった腕で、雪獅子の胸に空いた穴に手をつっこむ。
 中に触れる柔らかい感触。これだ。解術を発動し、血管と筋肉を切り離す。
 つっこんだ手を穴から戻し、ひきずりだしたのは……中心に大穴を開けた赤い臓器。雪獅子の心臓だ。
 魔獣の心臓は栄養と霊気に満ちた食材なのだ。
 とはいえ念のために……ルフィルは自分で軽くかぶりついてみる。口の周りを血で汚しながらもぐもぐと咀嚼。

「うん、おいしい」

 毒もない。
 そのまま心臓を気付け酒の小ビンの上に掲げ……強く握る。
 同時に解術を発動。握りしめた心臓が分解されつつ絞られ、肉と血が混合された液体となってビンに注がれる。
 半分に減っていた気付け酒が、赤くそまりながら元の量に。
 衰弱した人間にはとりあえず良い肉を食べさせる。狩人の応急処置の基本のひとつだ。
 残った心臓をもうひとかじりしてから雪獅子の中に戻し、解術で再び血を洗い落としたあと、少女の上体を支え起こして口元にビンを近づける。

「さあ、飲んで」
「…………」

 反応がない。
 仕方ないので、ビンを持ったまま指を少女の口につっこみ、顎を開けさせる。そして小瓶の口を。

「えいっ」
「…………!」

 胃の奥まで酒を注ぎ込まれた少女の反応は劇的だった。
 半分どころか一割ほど飲んだだけで目を大きく見開き、盛大にむせる。

「ごほっ、ごぼ、ごはげほっ!!」

 真っ赤な液体を撒き散らしながら咳をする姿は、まるで末期の死病に侵された姿にすら見えたが、実際はその逆、注ぎ込まれた酒と肉の薬効が少女の身体を賦活していた。
 しばらく咳をさせるままにしておいて、ルフィルは様子を見る。
 やがて少女は白黒させていた目を、ルフィルの側に向けた。震えながら口を開いた。

「あ、の……いま、毒を飲ませた……?」
「これは薬だから大丈夫。もっと飲んで」

 口に小ビンの口を近づける。少女はいやそうな顔をしたが、諦めたように口を開ける。ゆっくりと気付け酒と心臓のカクテルを、嚥下していく。
 さらに二割ほど飲むと、効果はすぐに出たようだった。少女の顔が生気を取り戻して、身体をみじろぎさせる。
 そこで少女が苦しそうな顔をしたので、ふたたび小瓶を口から離す。少女はかすれた声で感想を述べる。

「辛くて苦いだけだと思ってたんですけど生臭さもあるし、でもその中にうまみ? が……」
「いいお肉を使ってるからね」

 ルフィルがにっこりと笑う。透明で純真な笑顔。少女もつられたように、少しひきつった笑顔を浮かべる。
 彼女の身体は少しだけ回復した。とはいえこの効果は一時的なもの。気付け酒の薬効、そして雪獅子の心臓の霊気と栄養が、死にかけた彼女を永らえさせているにすぎない。暖かい場所に運んで、できればしっかりとプロに治療してもらう必要がある。ルフィルにできるのは応急処置だけだ。ビバークやキャンプを行って治療することもできなくはないが、それよりは山を走って降り医者の元に飛び込んだほうが早い。
 ルフィルは小ビンを雪の上に置く。本当は全部飲んでほしかったが、それは難しそうだった。彼女の弱った身体は、十分な霊気食を行える状態ではないようだから。

「いま、ふもとまで運んであげるから」

 ルフィルは少女の身体を持ち上げようとして……気づいた。
 襲撃の気配。

       つづく
pixivのシャニマス二次創作のシリーズで、クリスマス三連投稿というのをやりました。
つかれた……でもやりきった……。
https://www.pixiv.net/novel/series/9837909いや、十分すごいよ!
オリジナルファンタジーバトル小説 大地の女神の恵み巡り 「大食戦記 狩人のルフィルは今日もお腹をすかせている」ルフィルというのはアイコンのキャラです(お金を払って描いてもらったもの)

 長身の女性が、雪山の中を歩いていた。
 ごうごうと白い雪と風が吹き付けるが、その歩みはごく自然で足を取られる様子もない。その背中には武具と背負い袋を備えているにも関わらず……きつい斜面の山道を平地のように進んでいく。
 水色の長い髪が激しくなびくが、気にした様子もない。透き通るような肌、左が赤、右が黄の瞳。そして冷たい美貌。
 身につけているのは長袖の白い服に、鮮やかに赤いロングスカート。高級な品ではあるが都会の人間が着る普段着だ。最も深き山から200km程度しか離れていない雪牙山を登るにはあまりにも不似合いだった。しかし、彼女がそれを身に着けている限りにおいては、そうではない。
 まるで、その装いも含めて一種の生物であるかのように彼女は存在していた。
 その足が止まった。
 彼女が視線を上げる。
 数十mほど離れた場所に一匹の獣がいた。
 白い毛皮の、四足の肉食獣。どこか猫を思わせる頭の形。この山に住む、雪獅子だった。

「見つけた」

 長身の女……ルフィル・スーゼインはつぶやいて、背負っていた武器に手を伸ばす。
 その瞬間、雪獅子がルフィルに向かって襲いかかる。三歩の助走の後に跳躍。ルフィルの上から大きな口からのぞく鋭すぎる牙が降り来った。

「よ」

 全く動じることなく、背中に回していた両腕のうち、左腕を雪獅子に向けて上から振り抜く。
 凄まじい打撃音と硬いものが砕ける音。大きな雪獅子の頭がブン殴られて雪の中に埋まり、その奥にある地面に叩きつけられた。
 ルフィルが手にしていたのは、小さな盾だ。直径は50cmほどか。木の板を土を焼いて作る陶で補強した、陶盾だ。
 400kgはある雪獅子の突進を盾で殴り潰す。途方も無いほどの力だった。
 ルフィルは身体を起こす。陶盾が雪獅子の頭から離れた。
 その時だった。
 全身のバネを使って雪獅子が跳ね起きる。この山で生き延びる肉食獣は、ただ一度殴られただけで死ぬほどに脆くはないのだ。
 もちろんルフィルはそれを知っていた。
 左手の盾を横にして、雪獅子の噛みつきを受け止めた。がり、と深く牙を突き立てようとして雪獅子はそれが肉でも骨でもないことに気づいた。しかし遅い。
 ルフィルはそのまま、軽く左手を上に持ち上げる。盾に噛み付いたまま雪獅子の上体が起こる。その身体が彼女の目の前に晒された。
 素早く右手を突き出す。……そこに握られていた武器が雪獅子の胸に突き立ち、貫き、背中から抜けた。
 雪獅子の赤い血を撒き散らしながら顕れたそれは、金属で作られたメイスだった。
 本来は打撃に使うそれを、先端は尖らせているとはいえ獣の胸に突き入れて、その強靭な筋肉と頑丈な骨を撃ち抜いて貫通させたのだ。ただ、筋力だけでそれを成すのがルフィルという女性だった。
 盾に噛み付いていた顎の力が、抜ける。心臓をメイスで貫かれ、雪獅子は絶命していた。

「よし」

 ルフィルは盾を雪の上に落とし、雪獅子の頭を掴んで支える。そしてメイスを引き抜いた。流れ出し、飛び散る血で雪原に染み付く。
 当然、彼女の服も返り血で汚れていた。吹き出した血は彼女の胸にとどまらず、その頬と口元にもかかっている。

「落としておかないとね」

 ルフィルはそうつぶやいて、風雪の中で停まる。
 すぐにその身体から青い気体、あるいは光のようなものがにじみ出て全身を覆う。
 これは、この大地によって生命を支える力、霊気だった。生命そのものと言ってもいいそれを扱う技を、霊術という。
 ルフィルが全身に施したのは狩人ならば誰しもが使える基本の術、解術(かいじゅつ)だった。これは既に死した生物の身体をほぐし、分解する術だ。
 彼女の身体を染めていた血が消えていく。メイスの先に着いていた血もなくなっている。
 この術を使えば巨大な獣もほんのわずかな時間で解体することができる……が、とりあえずそれは後でいい。

「よいしょ」

 雪獅子の首に縄をかけて、ルフィルが背にしていた袋のフックに結んだ。そのままルフィルは歩き出す。縄でつながった雪獅子の身体はずるずると引きずられて運ばれる。
 この程度で雪獅子の毛皮は痛みはしないし、こうしているうちに余計な血も抜ける。ついでに血の匂いに誘われて他の獲物が現れてくれれば万々歳だ。粗雑に見えて合理的な手法だった。少なくとも彼女にとっては。
 雪獅子一匹を仕留めれば一日のノルマとしては十分……とはいえ、まだ時間も早い。もう少し狩っておきたいとルフィルは考え、しばし山をうろついてみることにした。まっすぐに登っていた山を、今度は横に歩き出す。
 五分ほどそうして歩いた時だった。
 ふと、ルフィルは立ち止まる。
 何かが、聞こえた気がした。
 周囲を見回してみる。当然ながら風と雪に視界は閉ざされているので、霊術で視覚を強化する。数メートル先が霞む吹雪の中でおよそ150mの視界が確保された。
 何も見えない。更に聴覚も強化。吹雪の音がどんどん大きくなっていくが……同時に、本来は拾えないはずの音、降り注ぐ雪が地に積もった雪と触れ合う音すら聞こえてくる。
 それでも何も見つからない。二つの感覚を強化したまま、ルフィルは歩き出す。
 さらに一分ほど歩き、ふたたび足を停めた。今度ははっきりと聞こえた。誰かの助けを求める声だった。
 ルフィルは走り出した。       つづく
頼む、続きが読みたい!
テスト投稿

めちゃくちゃえっちなシャニの二次創作をしたいな(たぶんしない)
やっちゃいましょう!