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rinsagiri1/2 14:50今年こそちゃんとアロケルくんの転生日を祝いたいので、去年から延長戦してるんだけど、新年からこんな薄暗い話を…でもこれ夢オチだから許してほしいの気持ちと戦っているところ街外れに向かう旅人は、終始無言だった。猫背気味に落とした肩、俯き加減に踏み出す足取りは引きずるように重たい。雨でぬかるんだ道に、泥を踏み締めくっきりとした模様を描く足跡。冷たい風が吹き抜け、深く被っていた黒いフードが肩に落ちた。まるで月明かりがこぼれるように、ぱさりと覗いた銀の髪が広がり落ちて強風に揺れる。こだわりなど特にないままいつの間にか伸びた髪は、束ねることが出来るほどになってしまった。皺を深めて笑う老人に「これでも使え」と半ば無理矢理に手渡され、彼の妻二人に散々遊ばれながら髪を飾られる羽目になった、やたらと上等そうな緑色のリボン。顰めっ面で渋々と受け取りながらも、それは今も律儀に彼の髪を飾っている。お節介で洒落者の老人がかつてそうしていたように。「お揃いだなァ」と子供のように屈託無く笑い、孫を可愛がるように頭を撫でる手を、うるさそうに払ったことを、昨日のことのように覚えていた。
 ぱたぱたと全身を叩く雨は冷たく、頬を伝い、流れていく。億劫そうに溜息をひとつ吐いて、彼はまたフードを被り直した。緩んだ瞼の奥、暗闇の中でうっすらと光る鮮やかな紅水晶の原石のような瞳が、真っ直ぐに道の先を見据えていた。ぬかるむ道を長い足が踏み締めて、ゆっくりと丘への道を登っていく。雨で煙る視界の先にぽつりと佇むのは真新しい石碑だ。
「まったく……よりにもよってこんなところに作らなくてもいいのに」
 溜息を吐き出しながら、墓石の前で足を止めた青年がぼやく。
 死後に墓を作るというのは、ヴァイガルドではまだ珍しい風習だった。死した魂は大地に還り、巡っていく。それを見送るのが普通だ。けれど、惜しむように、悼むように、まるで生きた証を残そうとするようにこうして立派な墓が作られたのは、ひとえに生前の彼ーーパパ・オブラという名のヴィータがそれだけ街の人間に愛されたからに他ならない。何もこんな辺鄙な場所に作らなくても、と墓参りをする側として率直な感想を抱いたものの、こうして足を運んで納得した。ルーメの街を一望出来る小高い丘の上は、ルーメの街とそこに住むヴィータたちを愛した彼が眠るには、この上なく相応しい場所だ。
「雨さえ降ってなければ、きっといい景色なんだろうなあ」
 ーー生憎と今は土砂降りなので、街の姿形も見えやしないけれど。降り止まない激しい雨は、まるでみんなが流す涙みたいだ。
 そんな風に思いながら、青年ーーアロケルは小さくかぶりを振りながら息を吐く。そうして、マントの内側に入れて大事に持ち運んでいた荷物を取り出し、墓石に向かって呼びかける。緩んだ笑顔を浮かべる整った顔、その眉間の皺を深くして。手袋をした指が掴んでいるのは、一本の酒瓶だ。それは、墓の下で眠る人物が生前好んだ酒だと聞いた。
「まったく、自分から言い出しておいて約束を破るなんて、あんまりじゃないですか。面倒くさがりのボクが、わざわざ足を運んだのに。成人したら一緒にお酒を飲もうって言ったのはそっちなのに、ホント勝手だなあ」
 恨み言のような内容とは裏腹に、声の響きは呆れを含みながらやけに明るく、けれど何処か震えるように掠れている。
「エレナさんとリータさん、泣いてたじゃないですか。街の人たちもすっかり沈んじゃって……大変だったんですからね。ボク、他人を慰めるとかガラじゃないのに、二人を励ましたり、あなたの後釜を狙う連中を撃退したりとか、後始末でずっとあちこち走り回って……はあ、ホント疲れちゃいましたよ。おかげでここに来るのも遅くなっちゃって……なので、遅かったなとか文句言わないでくださいよ?」
 街の人間は口を揃えて「早くパパの墓参りに行ってくれ」と彼に促す。生前好んだ酒の銘柄、お酒のつまみ、彼が生まれて育った情景が目に見えるような、たくさんの思い出話を添えながら。浴びるように酒を飲み、盃を交わし合いながら、話に花を咲かせ、偉大なギャングの死を惜しむように。溢れんばかりの想いをアロケルに押し付けて。
 ーーそう、行ってくれと街のヴィータたちに頼まれたから。生前の彼と、成人して初めての酒を一緒に飲もうと約束していたから。だから、来たのだ。そうでなければ、こんな居心地の悪い場所、きっと逃げるように立ち去っていた。
「勝手なものを押し付けて、また今度もボクを置いて行っちゃうなんて……ずるいですよ」
 大雨の中佇んだまま、やけに弱々しい声が響いた。雨音に掻き消されそうな小さな声だった。手袋に包まれた拳を強く握り、手にした酒瓶の蓋を乱暴に開けて、墓石に注ぐ。そうして、自分の口元に瓶を当て、行儀悪くそのまま口をつける。
「……苦い」
 初めて飲んだ酒の味は、やけに苦かった。胸を灼くように熱い液体が、喉の奥へと滑り落ちていく。飲み込んだ
 とめどなく溢れてくるこれは、何だろう。頬を伝い、流れ落ちていく熱い雫。胸の奥を刺すようにちくちくと痛んで、燃えるように熱い、この感情は? 頬を叩きつけるこの大雨に似ていて、吹き荒れる嵐のように激しく揺れる。穏やかに凪いだボクの心を乱す、これは。身勝手な元上司への怒りだろうか。それとも、何も出来なかった不甲斐ない自分への憤り? ーーよく、分からないけれど。勝手な約束を押し付けて、勝手にいなくなってしまったこの人に言いたいことは決まっている。
「それじゃあ、また来年。一緒に付き合ってくださいよ」
 残った酒を豪快に振り撒いて、空になった瓶を墓石の前に置く。闇色のマントを翻し、振り返らずに背を向けて。そうしてアロケルは軽やかな足取りで歩き出す。いつの間にか止んだ雨、夜の空に浮かぶ黒い雲の隙間から、銀色の輝きが覗いている。月明かりの下、煌めく濡れそぼった銀の髪。ひらりと揺れる緑色のリボンを隠すようにフードを深く被り直し、緩んだ口元が浮かぶ月のように綺麗な弧を描く。細めた瞼の隙間から覗く紅水晶の原石が、在りし日の思い出を懐かしむように緩み、滲んで、闇の中で煌めいた。
 
 
「……っていう、夢を見たんですよ〜」
 ふわふわと間伸びした呑気な声が落ち着いた店内に響き渡る。テーブルの上に行儀悪く突っ伏していた顔がゆるりと持ち上がり、頭のてっぺんで触覚みたいに立った銀の髪がひょこりと揺れた。肩ほどまでしかなかった髪は、今はかなり伸びて、緑色のリボンで結ばれている。常ならば、身体の線を覆い隠す、騎士のような服を好んで着ているアロケルだが、今日は違う。黒と緑を基調とした服は、何処かで見覚えのあるような形。チェルノボグが好んで着ていた服に似ていた。すらりと細い長身と、甘さを含んだ容姿によく似合う。まるで貴族の青年のような上品な装いだが、身なりに頓着しないアロケルがそんな洒落っ気を出すはずがない。大方、エレナかリータの悪戯だろう。そんなことを思いながら、チェルノボグは目の前の青年を呆れたように見下ろし、じろりと睨んだ。
「勝手に人を殺してんじゃねェよ」
「夢の中のことなんですから、仕方ないじゃないですか。ボクに文句言われても困りますよ。ボクだって、気持ち良く寝てるところに勝手に出張して来て、死なれるの困るんですけど」
 ふわあと眠そうな欠伸をしながら、テーブルの上に顔をくっつける緩んだ顔。眉間に皺を寄せたチェルノボグがペしりと手のひらで頭を叩くと、「痛っ!?」と抗議の声が返ってくる。成人したはずなのに、その声は以前とさほど変わらず少年のように高い。
「ひどいなあ、もう」
 頭を手のひらでさすりながら、アロケルは溜息をこぼした。
「お前みてェな問題児を野放しにして、俺が先にくたばるわけがねェだろう。ほらもっと飲め。俺は約束をきちんと守っただろう? もうちょい付き合え、アロケル」
「ええ……ホント勝手だなあ! そんな口約束、律儀に守らなくてもいいのに。わっ、そんなに飲めませんよ!?」
「成人する年の転生日に律儀に顔を出したんだ、ちょっとは気にしてたんだろうが、お前も」
 指摘すれば、アロケルは子供みたいに唇を尖らせ、黙り込む。ほんのりと頬が赤いのは、酒が回っているからだろう。注がれた酒をじっと見つめ、ちびりとグラスに口をつける。顔を顰めて俯く様子を見るに、あまり口に合わなかったか。周りが酒豪ばかりだったからか、飲みに付き合わせる相手がアルマロスだったせいか、すっかり失念していた。度数の強い酒だ、初心者にはちょっとキツかったかもしれねェな。そんな風に思いながら、店の給仕に向けて手を上げた瞬間。
「おや、チェルノボグ。その酒は坊やにゃ少し早かったんじゃないかねえ。アタシが貰うよ」
 カラカラと笑う、艶やかな色を含んだ嗄れた声。もったいないが口癖で、フォトンの節約のためにわざわざ老人の姿を保つ変わり者の純正メギド。チェルノボグにとっては古い馴染みだ。戦争を共にした追放前も、チェルノボグがメギドラルから追放されてヴィータとして転生した今も、腐れ縁は変わらず続いている。もっとも、再会したのは数年前、その再会の顛末に、ここにいるアロケルも関わっていた。
 アルマロスはまだ中身がたっぷりと入った酒瓶を持ち上げ、何処から用意したのか自分のグラスに無遠慮に注ぐ。
「おい、人の酒を勝手に……」
「いいじゃないか、ケチくさいねえ。大体、肝心の坊やはもうおねむじゃないか。代わりに付き合ってやろうって言うんだ、酒の一本や二本奢ってくれたってバチは当たらないと思わないかい?」
 アイシャドウの乗った目元が、アロケルを示すようについと滑る。確かに、締まりのない緩んだ顔の青年は、糸のような目をぴったりと閉じてテーブルに突っ伏したまますやすやと寝息を立てている。
「潰れちまったか、しょうがねえな」
「いきなりこんな強いのを飲ませたら当たり前じゃないか。気の利かない男だねえ、初心者のお子様に飲ませるんならこのくらいにしときなよ」
 度数の弱く口当たりの良い、甘い果実酒のボトルをテーブルの上に置いて、アルマロスが笑った。
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