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どう考えても当初の本が間に合わないため、せめて何か違う短編で本を…と思って、以前妄想してた間口が死ぬほど狭そうなふわふわ長毛種猫のアロケルくんと飼い主?ロノウェさんの話をですね…死刑宣告を待つような気持ちで、目の前で診察台に力なく横たわる猫を見つめたまま、ロノウェは膝の上で拳を強く握り締めた。ふわふわとした銀色の毛並みの猫に触れ、真剣に診察を続けるアンドラスという名の若い医師は、時折頷いたり、首を傾げたりしながら「やっぱりこれは……」と呟いている。しばらくして、彼は聴診器を外した後、ロノウェに向けて朗らかに笑い、こう言った。
「うん、ただ寝てるだけだね!」
「……は?」
 満面の笑顔を浮かべる医師の瞳は、黄金郷の輝石みたいに明るく楽しげに輝いている。けれど、ロノウェの頭は告げられた内容を理解出来ずに、あまりの衝撃で固まってしまった。
「え……? 寝てるだけ……? いや、あの、コイツ、倒れたままぴくりとも動かなくて……? それが、寝てるだけ……?」
「ちょっと一回深呼吸でもして落ち着こうか、それとも注射でも打つ?」
「いえ結構です!」
 心配と共に挟み込まれる物騒な申し出を丁重にお断りをしつつ、ロノウェは溜息を吐いて診察台の上で大の字になって転がる猫を眺めた。すよすよという寝息と共に上下する毛玉は薄汚れているものの、そっと撫でてみれば規則正しく呼吸をしている。目に見える外傷は全くなかったのだから、体に異常がないならそれに越したことはない。罪もない生き物の命を奪うことにならなくて、本当に良かった。安堵と共に翠水晶の瞳がやさしく細められ、不器用な手つきで猫を撫でる。ほんの少し開いてこちらをうっすら見上げている猫の目は、桃色を帯びた鮮やかな赤だった。ふかふかの毛に包まれた前足が、じゃれつくようにちょいちょいとロノウェの手をつつく。まるでお礼を言っているようにも見えて、ほんの少し心が和んだ。
かわいい
今年こそちゃんとアロケルくんの転生日を祝いたいので、去年から延長戦してるんだけど、新年からこんな薄暗い話を…でもこれ夢オチだから許してほしいの気持ちと戦っているところ街外れに向かう旅人は、終始無言だった。猫背気味に落とした肩、俯き加減に踏み出す足取りは引きずるように重たい。雨でぬかるんだ道に、泥を踏み締めくっきりとした模様を描く足跡。冷たい風が吹き抜け、深く被っていた黒いフードが肩に落ちた。まるで月明かりがこぼれるように、ぱさりと覗いた銀の髪が広がり落ちて強風に揺れる。こだわりなど特にないままいつの間にか伸びた髪は、束ねることが出来るほどになってしまった。皺を深めて笑う老人に「これでも使え」と半ば無理矢理に手渡され、彼の妻二人に散々遊ばれながら髪を飾られる羽目になった、やたらと上等そうな緑色のリボン。顰めっ面で渋々と受け取りながらも、それは今も律儀に彼の髪を飾っている。お節介で洒落者の老人がかつてそうしていたように。「お揃いだなァ」と子供のように屈託無く笑い、孫を可愛がるように頭を撫でる手を、うるさそうに払ったことを、昨日のことのように覚えていた。
 ぱたぱたと全身を叩く雨は冷たく、頬を伝い、流れていく。億劫そうに溜息をひとつ吐いて、彼はまたフードを被り直した。緩んだ瞼の奥、暗闇の中でうっすらと光る鮮やかな紅水晶の原石のような瞳が、真っ直ぐに道の先を見据えていた。ぬかるむ道を長い足が踏み締めて、ゆっくりと丘への道を登っていく。雨で煙る視界の先にぽつりと佇むのは真新しい石碑だ。
「まったく……よりにもよってこんなところに作らなくてもいいのに」
 溜息を吐き出しながら、墓石の前で足を止めた青年がぼやく。
 死後に墓を作るというのは、ヴァイガルドではまだ珍しい風習だった。死した魂は大地に還り、巡っていく。それを見送るのが普通だ。けれど、惜しむように、悼むように、まるで生きた証を残そうとするようにこうして立派な墓が作られたのは、ひとえに生前の彼ーーパパ・オブラという名のヴィータがそれだけ街の人間に愛されたからに他ならない。何もこんな辺鄙な場所に作らなくても、と墓参りをする側として率直な感想を抱いたものの、こうして足を運んで納得した。ルーメの街を一望出来る小高い丘の上は、ルーメの街とそこに住むヴィータたちを愛した彼が眠るには、この上なく相応しい場所だ。
「雨さえ降ってなければ、きっといい景色なんだろうなあ」
 ーー生憎と今は土砂降りなので、街の姿形も見えやしないけれど。降り止まない激しい雨は、まるでみんなが流す涙みたいだ。
 そんな風に思いながら、青年ーーアロケルは小さくかぶりを振りながら息を吐く。そうして、マントの内側に入れて大事に持ち運んでいた荷物を取り出し、墓石に向かって呼びかける。緩んだ笑顔を浮かべる整った顔、その眉間の皺を深くして。手袋をした指が掴んでいるのは、一本の酒瓶だ。それは、墓の下で眠る人物が生前好んだ酒だと聞いた。
「まったく、自分から言い出しておいて約束を破るなんて、あんまりじゃないですか。面倒くさがりのボクが、わざわざ足を運んだのに。成人したら一緒にお酒を飲もうって言ったのはそっちなのに、ホント勝手だなあ」
 恨み言のような内容とは裏腹に、声の響きは呆れを含みながらやけに明るく、けれど何処か震えるように掠れている。
「エレナさんとリータさん、泣いてたじゃないですか。街の人たちもすっかり沈んじゃって……大変だったんですからね。ボク、他人を慰めるとかガラじゃないのに、二人を励ましたり、あなたの後釜を狙う連中を撃退したりとか、後始末でずっとあちこち走り回って……はあ、ホント疲れちゃいましたよ。おかげでここに来るのも遅くなっちゃって……なので、遅かったなとか文句言わないでくださいよ?」
 街の人間は口を揃えて「早くパパの墓参りに行ってくれ」と彼に促す。生前好んだ酒の銘柄、お酒のつまみ、彼が生まれて育った情景が目に見えるような、たくさんの思い出話を添えながら。浴びるように酒を飲み、盃を交わし合いながら、話に花を咲かせ、偉大なギャングの死を惜しむように。溢れんばかりの想いをアロケルに押し付けて。
 ーーそう、行ってくれと街のヴィータたちに頼まれたから。生前の彼と、成人して初めての酒を一緒に飲もうと約束していたから。だから、来たのだ。そうでなければ、こんな居心地の悪い場所、きっと逃げるように立ち去っていた。
「勝手なものを押し付けて、また今度もボクを置いて行っちゃうなんて……ずるいですよ」
 大雨の中佇んだまま、やけに弱々しい声が響いた。雨音に掻き消されそうな小さな声だった。手袋に包まれた拳を強く握り、手にした酒瓶の蓋を乱暴に開けて、墓石に注ぐ。そうして、自分の口元に瓶を当て、行儀悪くそのまま口をつける。
「……苦い」
 初めて飲んだ酒の味は、やけに苦かった。胸を灼くように熱い液体が、喉の奥へと滑り落ちていく。飲み込んだ
 とめどなく溢れてくるこれは、何だろう。頬を伝い、流れ落ちていく熱い雫。胸の奥を刺すようにちくちくと痛んで、燃えるように熱い、この感情は? 頬を叩きつけるこの大雨に似ていて、吹き荒れる嵐のように激しく揺れる。穏やかに凪いだボクの心を乱す、これは。身勝手な元上司への怒りだろうか。それとも、何も出来なかった不甲斐ない自分への憤り? ーーよく、分からないけれど。勝手な約束を押し付けて、勝手にいなくなってしまったこの人に言いたいことは決まっている。
「それじゃあ、また来年。一緒に付き合ってくださいよ」
 残った酒を豪快に振り撒いて、空になった瓶を墓石の前に置く。闇色のマントを翻し、振り返らずに背を向けて。そうしてアロケルは軽やかな足取りで歩き出す。いつの間にか止んだ雨、夜の空に浮かぶ黒い雲の隙間から、銀色の輝きが覗いている。月明かりの下、煌めく濡れそぼった銀の髪。ひらりと揺れる緑色のリボンを隠すようにフードを深く被り直し、緩んだ口元が浮かぶ月のように綺麗な弧を描く。細めた瞼の隙間から覗く紅水晶の原石が、在りし日の思い出を懐かしむように緩み、滲んで、闇の中で煌めいた。
 
 
「……っていう、夢を見たんですよ〜」
 ふわふわと間伸びした呑気な声が落ち着いた店内に響き渡る。テーブルの上に行儀悪く突っ伏していた顔がゆるりと持ち上がり、頭のてっぺんで触覚みたいに立った銀の髪がひょこりと揺れた。肩ほどまでしかなかった髪は、今はかなり伸びて、緑色のリボンで結ばれている。常ならば、身体の線を覆い隠す、騎士のような服を好んで着ているアロケルだが、今日は違う。黒と緑を基調とした服は、何処かで見覚えのあるような形。チェルノボグが好んで着ていた服に似ていた。すらりと細い長身と、甘さを含んだ容姿によく似合う。まるで貴族の青年のような上品な装いだが、身なりに頓着しないアロケルがそんな洒落っ気を出すはずがない。大方、エレナかリータの悪戯だろう。そんなことを思いながら、チェルノボグは目の前の青年を呆れたように見下ろし、じろりと睨んだ。
「勝手に人を殺してんじゃねェよ」
「夢の中のことなんですから、仕方ないじゃないですか。ボクに文句言われても困りますよ。ボクだって、気持ち良く寝てるところに勝手に出張して来て、死なれるの困るんですけど」
 ふわあと眠そうな欠伸をしながら、テーブルの上に顔をくっつける緩んだ顔。眉間に皺を寄せたチェルノボグがペしりと手のひらで頭を叩くと、「痛っ!?」と抗議の声が返ってくる。成人したはずなのに、その声は以前とさほど変わらず少年のように高い。
「ひどいなあ、もう」
 頭を手のひらでさすりながら、アロケルは溜息をこぼした。
「お前みてェな問題児を野放しにして、俺が先にくたばるわけがねェだろう。ほらもっと飲め。俺は約束をきちんと守っただろう? もうちょい付き合え、アロケル」
「ええ……ホント勝手だなあ! そんな口約束、律儀に守らなくてもいいのに。わっ、そんなに飲めませんよ!?」
「成人する年の転生日に律儀に顔を出したんだ、ちょっとは気にしてたんだろうが、お前も」
 指摘すれば、アロケルは子供みたいに唇を尖らせ、黙り込む。ほんのりと頬が赤いのは、酒が回っているからだろう。注がれた酒をじっと見つめ、ちびりとグラスに口をつける。顔を顰めて俯く様子を見るに、あまり口に合わなかったか。周りが酒豪ばかりだったからか、飲みに付き合わせる相手がアルマロスだったせいか、すっかり失念していた。度数の強い酒だ、初心者にはちょっとキツかったかもしれねェな。そんな風に思いながら、店の給仕に向けて手を上げた瞬間。
「おや、チェルノボグ。その酒は坊やにゃ少し早かったんじゃないかねえ。アタシが貰うよ」
 カラカラと笑う、艶やかな色を含んだ嗄れた声。もったいないが口癖で、フォトンの節約のためにわざわざ老人の姿を保つ変わり者の純正メギド。チェルノボグにとっては古い馴染みだ。戦争を共にした追放前も、チェルノボグがメギドラルから追放されてヴィータとして転生した今も、腐れ縁は変わらず続いている。もっとも、再会したのは数年前、その再会の顛末に、ここにいるアロケルも関わっていた。
 アルマロスはまだ中身がたっぷりと入った酒瓶を持ち上げ、何処から用意したのか自分のグラスに無遠慮に注ぐ。
「おい、人の酒を勝手に……」
「いいじゃないか、ケチくさいねえ。大体、肝心の坊やはもうおねむじゃないか。代わりに付き合ってやろうって言うんだ、酒の一本や二本奢ってくれたってバチは当たらないと思わないかい?」
 アイシャドウの乗った目元が、アロケルを示すようについと滑る。確かに、締まりのない緩んだ顔の青年は、糸のような目をぴったりと閉じてテーブルに突っ伏したまますやすやと寝息を立てている。
「潰れちまったか、しょうがねえな」
「いきなりこんな強いのを飲ませたら当たり前じゃないか。気の利かない男だねえ、初心者のお子様に飲ませるんならこのくらいにしときなよ」
 度数の弱く口当たりの良い、甘い果実酒のボトルをテーブルの上に置いて、アルマロスが笑った。
待っている!いつまでも!
ロノアロ進捗、今日は全然だめだけど数行は進んだので戒めに置いておきます自室の鍵を開け、音を立てないように慎重にそっとドアを開く。どうして自分の部屋に入るのに、こんなに警戒をしているのか。額に手を当て、まるで頭痛を堪えるようにして、ロノウェは大きな溜息を吐いた。生真面目な苦労人といった印象を与える整った顔には、近頃は眉間に皺の寄った難しい表情が貼り付いているのが常となってしまった。
「今日は、いない……な」
 キョロキョロと部屋の中を見渡しながら、ロノウェは安堵の息を吐いた。遠征から帰って来たばかりで疲労は溜まっている。まだ夕方だが、もう寝てしまおうか。それか、夕食までの間だけでも仮眠を取ろう。そんな風に考えて、身につけていた鎧を外す。そうして、ベッドの側に足を進めたその時だ。
「うわっ!?」
 視界に入った「それ」に、思わず大声を上げ、ロノウェはベッドから距離を取った。ベッドの下から、まるで死体のようにだらりと脱力した手首がはみ出しているのが見えたからだ。動揺で未だ速いままの鼓動を宥めるように、胸に手を当て息を吐く。ベッドの隙間から覗く手は、ぴんと伸び、拳を握り締めるように力が込められたかと思えば、逃げるようにさっとベッドの中に引っ込む。そうしてその後、やけに能天気な欠伸がそこから聞こえて来た。
「ふわあ……よく寝たなあ」
 不可抗力ながら最近聞く機会の増えてしまった、少し高めの少年の声。屈み込んでベッドの隙間を覗いてみれば案の定、暗がりの中でうっすらと紅水晶の宝石が輝いている。
 今日はここだったか……と溜息を吐きながら、不法侵入者に向けてロノウェは呆れ声で呼びかけた。
「……アロケル、キミはどうしてまたそんなところで寝てるんだ」
「うわ!? やだなあ、急に声をかけないでくださいよ。びっくりするじゃないですか」
「それは俺の台詞なんだが……いや、今大事なのはそれじゃない。何でそんな変なところに入り込んでるんだ! まさか俺の寝込みを狙って……? 休戦中じゃなかったのか?」
 声を荒げると、「大きな声出さないでくださいよ〜」と、うるさそうに眉間に皺を寄せ、両耳に手を当てながら、猫を思わせる仕草でベッド下から少年がのそりと這い出して来た。狭い隙間に挟まっていたせいか、銀色の髪は寝癖でくしゃくしゃで、あちこちにほこりを纏っている。羽織っている白いマントも汚れてしまっていた。けれど、彼はそれを気に留める様子もなく、大きく口を開いて欠伸をしながら、呑気に口元に手を当てている。
「そんな面倒臭いことするわけないじゃないですか。ただ単に、眠かったので場所を借りただけですよ」
 先程の問いへの答えのつもりなのだろう、目を擦りながら胡座をかくようにぺたりと床に座り込み、アロケルは両手を広げ、肩を竦めてみせた。
「いや、そうだろうなとは思ったが、どうしてベッドの下なんかで……?」
「さすがに連日ベッドの上を占領したら、そろそろロノウェさんも怒るかなーって思ったので」
「気の遣いどころが間違っているからな!? ベッドの下に潜まれてる方が怖いだろ! それならまだベッドの上で寝ていてくれた方がマシだ!」
「え? 寝ていいんですか? やったー、それじゃお言葉に甘えて」
「待ってくれ、その汚れた格好のままは困る!」
「我儘だなあ」
「それは俺の台詞なんだが!?」
 汚れた格好でベッドに上がろうとするアロケルの肩を掴んで押し留め、ロノウェが叫ぶ。そうすると、アロケルは面倒だなあと間伸びした声を上げて欠伸をしたかと思えば、億劫そうな緩慢な動きでそのまま床に寝転んでしまった。
「寝るな!」
 身体を引っ張って起こそうとすると、アロケルは不服そうに顔を顰める。これはもう、着替えるのも面倒臭いなと考えて、床ならいいだろうとそのまま寝ようとしているやつだ。
「えー……寝てもいいって言ったじゃないですか、嘘つきだなあ」
「いや、嘘はついていないし……床に直で寝るなよ、汚れるだろ」
「今更だと思いますし、ちょっとくらい汚れてたって気にしませんよ」
「俺が気にするんだ……」
 疲れ切った溜息を吐きながら、ロノウェはアロケルの腕を引っ張り身体を起こす。そうして、彼の腕をしっかりと掴んだまま歩き出す。
「あれ? 何処に行くんですか?」
「風呂だよ、汚れを洗い流した方がいいだろ。俺もちょうどさっき遠征から戻って来たばかりだし、このまま一緒に行こう」
「別にボクはこのままでいいんだけどなあ……」
 不平不満をこぼしつつも、抵抗するのも億劫と言わんばかりの態度で、腕を引っ張れられたままのアロケルは、ロノウェに付いて歩き出す。
応援してる!
今日のロノアロ進捗(えぐい眠気と戦いながら頑張っているわたし、えらい、めっちゃえらい)個室を持っているメギドの多くが風呂に入ろうとする時、沸かしたお湯を自室のバスタブに運び入れて、冷めない内に入るのがほとんどだ。共同浴場の方へと足を運んだのは、部屋のバスタブに二人で一緒に入るほどの広さがないということもあるが、順に入ろうとすればお湯が冷めてしまうだろうし、何よりもお湯を運び入れている間にアロケルが完全に寝に入る方が早いと判断したからだった。共同浴場であれば二人一度に入れば済む。懸念はアロケルが風呂に入ることを渋るのではないかということだったが、思ったよりは素直に後をついてきた。今も、アロケルはロノウェの隣で、いっそ潔いほどに素早く服を脱ぎ捨てていく。面倒事はさっさと済ませてしまいたいという気持ちが透けて見えるような早業だ。
 ーーそれにしても。思わずその様子を見守ってしまったが、ロノウェの様に鎧こそ着込んでいないものの、そこそこの厚着だ。何枚着込んでいるんだろう。そもそも極度の面倒臭がりの癖に、こんなに着脱がややこしそうな服で困ったりはしないんだろうか?
「ロノウェさん? ぼーっとしちゃってどうしたんですか?」
「ああ、いや、何でもない」
 人の着替えをじろじろと眺めるのもよろしくない。怪訝そうに瞬く視線から慌てて目を逸らし、服を脱ぐ。キョトンとした顔のアロケルは不思議そうに小首を傾げていたが、すぐに興味を失ったのか、黒いインナーを脱ぎ捨てた。自分よりも幾分か色素の薄い肌を視界の端に留めつつ、何故だろう。ロノウェは所在なさげに視線を彷徨わせた。そんなこちらの理由の分からない戸惑いなど一切考慮せず、銀色の綿毛のような髪の毛がふわふわと揺れてすぐ横を通り過ぎ、ぺたぺたと軽快な足音を響かせながら、裸足で奥へと歩いて行く。後に続こうとしたものの、雑に脱ぎ捨てられたアロケルの服が籠の中から落ちそうになっているのを見てしまい、放って置けずにロノウェはそれをきちんと畳んで籠の中に戻す。
「何をやってるんだ、俺は……」
 頭痛を堪えるような顔で額に手を当て、ロノウェはまたひとつ溜息を吐いた。
いいね
今日のロノアロ原稿進捗(亀の歩み)自室の鍵を開け、音を立てないように慎重にそっとドアを開く。どうして自分の部屋に入るのに、こんなに警戒をしているのか。額に手を当て、まるで頭痛を堪えるようにして、ロノウェは大きな溜息を吐いた。生真面目な苦労人といった印象を与える整った顔には、近頃は眉間に皺の寄った難しい表情が貼り付いているのが常となってしまった。
「今日は、いない……な」
 キョロキョロと部屋の中を見渡しながら、ロノウェは安堵の息を吐いた。遠征から帰って来たばかりで疲労は溜まっている。まだ夕方だが、もう寝てしまおうか。それか、夕食までの間だけでも仮眠を取ろう。そんな風に考えて、身につけていた鎧を外す。そうして、ベッドの側に足を進めたその時だ。
「うわっ!?」
 視界に入った「それ」に、思わず大声を上げ、ロノウェはベッドから距離を取った。ベッドの下から、まるで死体のようにだらりと脱力した手首がはみ出しているのが見えたからだ。動揺で未だ速いままの鼓動を宥めるように、胸に手を当て息を吐く。ベッドの隙間から覗く手は、ぴんと伸び、拳を握り締めるように力が込められたかと思えば、逃げるようにさっとベッドの中に引っ込む。そうしてその後、やけに能天気な欠伸がそこから聞こえて来た。
「ふわあ……よく寝たなあ」
 不可抗力ながら最近聞く機会の増えてしまった、少し高めの少年の声。屈み込んでベッドの隙間を覗いてみれば案の定、暗がりの中でうっすらと紅水晶の宝石が輝いている。
 今日はここだったか……と溜息を吐きながら、不法侵入者に向けてロノウェは呆れ声で呼びかけた。
「……アロケル、キミはどうしてまたそんなところで寝てるんだ」
「うわ!? やだなあ、急に声をかけないでくださいよ。びっくりするじゃないですか」
「それは俺の台詞なんだが……いや、今大事なのはそれじゃない。何でそんな変なところに入り込んでるんだ! まさか俺の寝込みを狙って……? 休戦中じゃなかったのか?」
 声を荒げると、「大きな声出さないでくださいよ〜」と、うるさそうに眉間に皺を寄せ、両耳に手を当てながら、猫を思わせる仕草でベッド下から少年がのそりと這い出して来た。狭い隙間に挟まっていたせいか、銀色の髪は寝癖でくしゃくしゃで、あちこちにほこりを纏っている。羽織っている白いマントも汚れてしまっていた。けれど、彼はそれを気に留める様子もなく、大きく口を開いて欠伸をしながら、呑気に口元に手を当てている。
「そんな面倒臭いことするわけないじゃないですか。ただ単に、眠かったので場所を借りただけですよ」
 先程の問いへの答えのつもりなのだろう、目を擦りながら胡座をかくようにぺたりと床に座り込み、アロケルは両手を広げ、肩を竦めてみせた。
「いや、そうだろうなとは思ったが、どうしてベッドの下なんかで……?」
「さすがに連日ベッドの上を占領したら、そろそろロノウェさんも怒るかなーって思ったので」
「気の遣いどころが間違っているからな!? ベッドの下に潜まれてる方が怖いだろ! それならまだベッドの上で寝ていてくれた方がマシだ!」
「え? 寝ていいんですか? やったー、それじゃお言葉に甘えて」
「待ってくれ、その汚れた格好のままは困る!」
「我儘だなあ」
「それは俺の台詞なんだが!?」
 汚れた格好でベッドに上がろうとするアロケルの肩を掴んで押し留め、ロノウェが叫ぶ。そうすると、アロケルは面倒だなあと間伸びした声を上げて欠伸をしたかと思えば、億劫そうな緩慢な動きでそのまま床に寝転んでしまった。
「寝るな!」
 身体を引っ張って起こそうとすると、アロケルは不服そうに顔を顰める。これはもう、着替えるのも面倒臭いなと考えて、床ならいいだろうとそのまま寝ようとしているやつだ。
「えー……寝てもいいって言ったじゃないですか、嘘つきだなあ」
「いや、嘘はついていないし……床に直で寝るなよ、汚れるだろ」
「今更だと思いますし、ちょっとくらい汚れてたって気にしませんよ」
「俺が気にするんだ……」
 疲れ切った溜息を吐きながら、ロノウェはアロケルの腕を引っ張り身体を起こす。そうして、彼の腕をしっかりと掴んだまま歩き出す。ーー反対側の手で扉を開けて、部屋の外へと。
「あれ? 何処に行くんですか?」
「風呂だよ、汚れを洗い流した方がいいだろ。俺もちょうどさっき遠征から戻って来たばかりだし、このまま一緒に行こう」
「別にボクはこのままでいいんだけどなあ……」
 不平不満をこぼしつつも、抵抗するのも億劫と言わんばかりの態度で、腕を引っ張れられたままのアロケルは、ロノウェについて歩き出した。
「はあ、面倒だなあ」
 不平不満をこぼすように、ぴょこりと飛び跳ねた銀の髪の束が、ペしゃんと元気なく萎れる。緩んだ笑みを浮かべる顔はそのままだが、眉間にやや皺が寄っていて、不服そうに見えた。掴んでいた腕を外したら逃げるかと思ったが、アロケルは若干の抵抗を見せつつも大人しく従い、のろのろと足を前に進めている。
「そこまで嫌がることでもないだろうに……」
 呆れながらロノウェがこぼした言葉に、アロケルは小さく溜息を吐きつつ答える。
「嫌なわけじゃないですけど、単純に面倒ですね。気持ちよくうとうとしてて、二度寝しようとしたところを叩き起こされてお風呂に入れって言われたら、嫌だなあって思いません?」
「まあ、確かにそれはそう思うかもしれないが」
「そうでしょ? それじゃそういうことで」
「待て」
 踵を返すアロケルの首根っこを掴み、ロノウェが慌てて引き止める。
「アハハ! 冗談ですよ。ここまで来て戻る方が面倒臭いですもんね」
 くるりと振り返り、アロケルは眠そうな目と頬を緩めてカラカラと笑った。奔放な態度に振り回されてばかりだ。ロノウェは頭を抱えつつ、眉間に皺を寄せる。
「あれ、もしかして怒りました?」
「別に、怒ってはないよ。疲れただけだ」
「また何か難しいことでも考えてたんでしょ? もっと気楽に生きましょうよ」
 得意げな顔で人差し指をぴっと立て、くるくると動かしながら、他人事のように能天気な声をかけるアロケルに「お前のことだよ!」と叫び出しそうになる自分を理性で押し留め、ロノウェは苦笑いを浮かべた。そろそろ疲労も限界で、余計なことを考える余地がなかった。
「ふわあ、眠いや。さっさとお風呂に入って寝たいなあ」
 ーー全くの同感だった。眠そうに欠伸をしながら目を擦るアロケルの横で、深々と頷きつつ、ロノウェは大浴場の扉を開けた。
応援してる!
ロキくんがあまりにも鈍感すぎてさすがにイースさんがかわいそうになってきた(大阪行きの電車の中で書いてた一次創作のやつ途中までちょっと書き足した)フリーヴェルの花。それはセルシアでは珍しくもないありふれた花だ。細長い茎に、咲かせるのはひとつの花だけ。花は手のひらを広げたくらいの大きさで、開ききる前は釣り鐘のような形で下を向いていて、開いた花は星に似た姿をしている。色は赤や黄色、オレンジ、紫と幅広いけれど白色の需要が一番高い。誰もが知っているありふれたこの花は、けれどセルシアの民にとっては「特別」な花だ。その理由はーー

「え、星花祭、ですか?」
 騎士団寮の廊下を歩いているところを呼び止められて、ボクは緩んだ糸目をぱちぱちと瞬かせて聞き返した。
「ああ。一緒に行ってくれないか」
 問いかけるその整った顔は、眉間に皺の寄ったいつもの仏頂面だ。どう見ても楽しいお誘い、という顔ではない。
「えっと、ボクと、ですか?」
 誘う相手を間違えているんじゃないのかな?
 まず思ったのはそれだった。再度目を瞬かせて、ボクは首を傾げつつ、慎重に問いかけた。ああ、そっか。もしかしたら、ボクに話しかけているんじゃないのかも。そう思って周囲を見渡す。けれど、周囲にはボクたち以外は誰もいなかった。あれ?
 白い壁と、木の床を眺めやりながら、おかしいなあってボクは口元に手を当てて考え込む。すると、目の前のイースさんが、理解出来ないものを見るような、残念なものを見るような、呆れを含んだ目をボクに向けた。
「他に誰がいるんだ。お前しかいないだろう」
 苛立ったように強めの口調でそう言って、イースさんがボクに詰め寄った。思わずボクは後ろに足を引き、引き攣った口元を隠すように手を当てたまま、再度周囲を見渡して頷く。
 ……うん、やっぱり誰もいない。だからって、今ひとつ理解が及ばないんだけど。
「そうみたいですね?」って返したボク、ひょっとしたら今すごく間抜けな顔をしているかも。
「どうして疑問形なんだ」
 不機嫌そうにイースさんの眉間に深い皺が刻まれて、鋭い群青の目で不服そうにじろりと睨まれる。う、うわあ。まるで射殺すような目だ。どうしてこんなに不機嫌なんだろ? 困惑しながらボクは必死に動きの鈍い頭を回転させる。
「ええっと、誘われてる理由が分からないっていうか……。あっ! 警備の手が足りないってことですか? いいですよ、手伝います!」
「違う、そうじゃない。どうしてそうなる!」
 張り切って右手を上げ宣言すると、イースさんが声を荒げた。
「あれ? 違うんですか? うーん……?」
 星花祭はとても大きなお祭りだ。ボクは行ったことないから詳細はよく分からないけれど、きっとたくさんの人たちが街に集い、活気に溢れる一日になるんだろう。お祭りに乗じて騒動を起こす迷惑な酔っ払いとか、スリとかも出そうだし、城下町の警備の手が足りなくなるってこともあるのかも。だからてっきり、手の空いてそうなボクに声を掛けたんだと思ったんだけど……?
 考え込んでいると、呆れと苛立ちを必死に抑えつけているような表情で群青色の短髪をぐしゃぐしゃと掻き回し、イースさんが疲れたような溜息を吐いた。
「星花祭だぞ? お前を誘う理由などひとつしかないだろう」
「そう言われても、それ以外に浮かばないっていうか。他に何か理由ってあります?」
 困りきって問い返すと、イースさんが眉をぴくりと吊り上げる。額に手を当て、舌打ちをした後、思い切りボクを睨んだ。
「……ローキッド」
「はい?」
「俺とお前の関係はなんだ?」
「えっ……と? 聖騎士団の同僚?」
「違う」
「ええっと? あれ? あっ! 部隊長と平団員ですか!?」
「そうじゃない!」
今日の番キタ(+ぺごくん)話の進捗カランと涼やかなベルの音が鳴り、顔を上げてドアの方へと視線を向ける。「こんにちは」と控えめな声と共に店内に入って来た人物を目にして、暁は思わず口元を引き攣らせた。それでも、「いらっしゃいませ」と呼びかけた笑顔はいつものまま……だったと信じたい。眼鏡の奥の目を細め、とびきりの営業スマイルを向けたものの、厄介な常連客は隠そうとした動揺もしっかりとお見通しだ。揶揄を含む笑みを口元に浮かべ、涼しげな美貌を暁に向ける。
「ねえ、何その顔。大事な常連への態度としてよくないんじゃない?」
「何のことだか分かりませんねえ。俺はいつも湊さんを大歓迎してるじゃないですか。いらっしゃいませ」
 案内よりも先に迷いなく店内に足を進め、常連客ーー有里湊はカウンター席に腰掛ける。肩を竦め、暁は彼の目の前に氷水の入ったコップを置いた。椅子に腰を下ろした湊は、メニューに視線を落として頬杖をついた。顔の右半分を隠す長い前髪、その隙間から覗く青灰の瞳は好奇心にキラキラと輝いている。
「悠さんもどうぞ」
 相方の遠慮のなさに苦笑を浮かべながら、申し訳なさそうに隣の椅子に腰を下ろし、悠は暁に向けて頭を小さく下げた。
「忙しい時間帯にすまない。どうしてもここのカレーが食べたくなってしまったんだ。今、注文しても大丈夫かな?」
「すごく嬉しいお言葉をありがとうございます。いつでも大歓迎ですんで、気にせずご来店ください」
「ねえちょっと、態度に差がありすぎない?」
行ける気がする!
ロノアロ進捗全然なんですけど、一応数行は書いたよっていう主張をさせて欲しくって…自室の鍵を開け、音を立てないように慎重にそっとドアを開く。どうして自分の部屋に入るのに、こんなに警戒をしているのか。額に手を当て、まるで頭痛を堪えるようにして、ロノウェは大きな溜息を吐いた。生真面目な苦労人といった印象を与える整った顔には、近頃は眉間に皺の寄った難しい表情が貼り付いているのが常となってしまった。
「今日は、いない……な」
 キョロキョロと部屋の中を見渡しながら、ロノウェは安堵の息を吐いた。遠征から帰って来たばかりで疲労は溜まっている。まだ夕方だが、もう寝てしまおうか。それか、夕食までの間だけでも仮眠を取ろう。そんな風に考えて、身につけていた鎧を外す。そうして、ベッドの側に足を進めたその時だ。
「うわっ!?」
 視界に入った「それ」に、思わず大声を上げ、ロノウェはベッドから距離を取った。ベッドの下から、まるで死体のようにだらりと脱力した手首がはみ出しているのが見えたからだ。動揺で未だ速いままの鼓動を宥めるように、胸に手を当て息を吐く。ベッドの隙間から覗く手は、ぴんと伸び、拳を握り締めるように力が込められたかと思えば、逃げるようにさっとベッドの中に引っ込む。そうしてその後、やけに能天気な欠伸がそこから聞こえて来た。
「ふわあ……よく寝たなあ」
 不可抗力ながら最近聞く機会の増えてしまった、少し高めの少年の声。屈み込んでベッドの隙間を覗いてみれば案の定、暗がりの中でうっすらと紅水晶の宝石が輝いている。
 今日はここだったか……と溜息を吐きながら、不法侵入者に向けてロノウェは呆れ声で呼びかけた。
「……アロケル、キミはどうしてそんなところで寝てるんだ」
「うわ!? やだなあ、急に声をかけないでくださいよ。びっくりするじゃないですか」
「それは俺の台詞なんだが……いや、今大事なのはそれじゃない。何でそんな変なところに入り込んでるんだ! まさか俺の寝込みを狙って……? 休戦中じゃなかったのか?」
やっちゃいましょう!
進捗だめです(体の痛みと戦って勝てなかったのでロノとアロ今日はここまで)自室の鍵を開け、音を立てないように慎重にそっとドアを開く。どうして自分の部屋に入るのに、こんなに警戒をしているのか。額に手を当て、まるで頭痛を堪えるようにして、ロノウェは大きな溜息を吐いた。生真面目な苦労人といった印象を与える整った顔には、近頃は眉間に皺の寄った難しい表情が貼り付いているのが常となってしまった。
「今日は、いない……な」
 キョロキョロと部屋の中を見渡しながら、ロノウェは安堵の息を吐いた。遠征から帰って来たばかりで疲労は溜まっている。まだ夕方だが、もう寝てしまおうか。それか、夕食までの間だけでも仮眠を取ろう。そんな風に考えて、身につけていた鎧を外す。そうして、ベッドの側に足を進めたその時だ。
「うわっ!?」
 視界に入った「それ」に、思わず大声を上げ、ロノウェはベッドから距離を取った。ベッドの下から、まるで死体のようにだらりと脱力した手首がはみ出しているのが見えたからだ。動揺で未だ速いままの鼓動を宥めるように、胸に手を当て息を吐く。ベッドの隙間から覗く手は、ぴんと伸びて拳を握り締めるように力が込められたかと思えば、逃げるようにさっとベッドの中に引っ込む。そうしてその後、やけに能天気な欠伸がそこから聞こえて来た。
「ふわあ……よく寝たなあ」
かわいい
書きかけのまま一向に終わらないアロケルくんの転生日の話withチェル爺の話、途中までだけど置いておく…筆が全然進まねえので背中引っ叩いて欲しいよルーメの街を歩いていると、やたらとあちこちで声を掛けられ呼び止められる。それもこれも、隣を歩くチェルノボグのせいだ。アロケルは鬱陶しいと思う気持ちを隠しもせず、チェルノボグの顔を見上げてこれ見よがしに溜息を吐いた。
「……何だアロケル、その顔は」
 皺だらけの顔が怪訝そうに顰められ、アロケルに視線を注ぐ。
「別に、何でもありませんけど?」
 アロケルはつんと澄ました顔でそっぽを向いた。何でもないという顔ではない。笑ってはいるけれど、煙たがっているのは明白だ。チェルノボグの眼光鋭い氷の瞳がじろりとアロケルを眺めやる。沈黙を貫いてみるものの、視線は外れない。しつこさに辟易して、この際だからはっきりと言ってやろうとアロケルは決意する。
「あのですねえ、さっきの人で何人目だと思います? ボク、街の人たちにあなたの隠し子だと思われてるんですけどどうなってるんですか?」
「追放メギドだ何だってのは、普通のヴィータにゃ理解できねェ話だろうが。新しい俺の子供だって説明したつもりだったが、どうやら勝手な憶測で噂に尾ひれや胸びれがつきまくってるらしいな」
「否定すればいいじゃないですか。あなたの『子供』なんて、この街にはたくさんいるんですから。ボクだってその他大勢のヴィータの子供たちと同じでしょうに」
 この街で彼の「子供」と言えば、ルーメの街を牛耳るギャングの元締め、パパ・オブラを慕う配下たちのことを指す。護衛として雇われた当初は、アロケルもそういう扱いで街の人間たちに認識されていたはずだった。ところが、今はどうだろう。街を歩けばやたらと微笑ましいものを見るような、興味深げな視線に追いかけられ、親しげに声を掛けられる。突然話しかけられたと思ったら、「あんた、ちゃんとパパを大事にしてやんなよ!」とか、「あんまり居眠りばかりしてパパを困らせるんじゃないぞ!」とかいうよくわからないお節介な激励の言葉を頂いて、背中を叩かれることもしばしばだ。所詮、根も葉もない噂だからその内に沈静化すると思っていたのに、一向に下火にならない。それどころか、本人に向かって直接堂々と訪ねてくる連中もいるくらいだ。
「あなたが一言、実子じゃないって言えば済む話じゃないですか、そんなの」
「今更否定したところで誰の耳にも入らねェだろうな。ヴィータってのは思い込みが激しいし、無責任な噂話が好きなもんだ。説明がいらねェから楽でいいだろ。諦めろ、アロケル」
「勝手に人を巻き込んでおいて……そういうとこ、ホントどうかと思いますよ」
 しれっとした顔で答えるチェルノボグに、アロケルは憤慨して抗議の声を上げる。不機嫌そうに顔を歪めるアロケルに対し、チェルノボグは子供をあやすみたいに髪をくしゃくしゃと撫でて、悪戯好きの子供のように屈託のない笑顔を向けた。
 恐らくこういったやり取りが良くないのだろう。何の接点もなく雇われた新しい護衛と言い張るには、距離感が近すぎる。お互いのことをある程度理解しているのを感じさせる軽口の応酬、親密な空気を伴うやり取り。更には、祖父と孫と思われても仕方のないヴィータ体の年齢差がそれを助長している。チェルノボグの方が先に追放されているのだから、当たり前のことだ。けれど、アロケルのチェルノボグに対する態度は副官であった時代と何も変わっていない。逆もまた然り。これが彼と同じ年齢であったのならばおかしな邪推もされなかっただろう。
「迷惑なんですよねえ。街に寄った時に差し入れとかでいいものを貰えるのはちょっと嬉しいですけど、ボクの行動があなたの評判に関わると思うと、下手なこと出来ないじゃないですか。ボクっていちいちそういうの気にするタイプじゃないのに面倒臭くって……」
 重たい溜息と共に吐き出された言葉に、チェルノボグがくつくつと笑う。
「少しは気にしろ。俺のおかげで怠惰な生き方も改まるってもんじゃねェか」
「そういうの、いらないんですって。ボクは努力せず楽に生活したいんですから!」
 ぐっと拳を握って力強く宣言すると、チェルノボグは呆れ切った顔に手を当て、溜息を吐いた。
「そういうどうしようもねェところも変わっちゃいねェな」
 それは、遠い昔を懐かしむようなやさしい目だ。それから逃げるように顔を背けて、両手を持ち上げ大きく伸びをする。眠そうに緩んだ目が細まり、大きな欠伸が口から漏れた。
待っている!いつまでも!
コロナ禍でイベントに参加出来ない間、本をつくるのをサボっていたので諸々の感覚が鈍りまくって…Wordと仲良くなれない応援してる!90ページを超える感じのこのロノアロ本、どう考えても間に合わないから、エアブー当日は通販予約受付…みたいな感じになりそうで、すごいこう…不甲斐なさで死にそうな気持ちで…あと、ほんとに欲しい人いる大丈夫…??みたいな気持ちになってて(これは改稿前のロノウェさんの視点だけのやつ)https://privatter.net/p/8426242待っている!いつまでも!あともうちょっとで終わる、をもう十回くらい言ってる気がするけど…あと一場面書いたら終わりなんだよ…嘘じゃないんだよ…文章が長くなって終わらないだけで……♥をくれた人、べったーの仕様分からんけど、ひとりで何内も押せるなら、本当はひとりだけとかかもしれない…でも、少なくともひとりはいるのだ…いいねと思ってくれた人が…みたい気持ちを支えにわたしは…頑張るね…応援してる!ロノアロ進捗、たくさん♥もらっておいてなんなんだけど、本当に…これは大丈夫なのか……萌えるやつなのか…って常に疑心暗鬼なので、大丈夫ですか!?これは!??って読んだ人の肩を掴んで聞きたくなってしまう待っている!いつまでも!ロノウェさんの視点がやっと終わった…。後で直したり削ったり足したりするかもしれないけど、終わった…めちゃくちゃ頑張った…。需要と部数が分からないけど、とりあえず、本は出せそうな気配がする…https://privatter.net/p/8426242応援してる!とりあえず終わりにたどり着くことだけを目指したから、誤字脱字も表現も確認せずそのまま進捗としてあげたけど、読み返したらウワッ…だめだこれ…ってとこいっぱいあるだろうな…と思うけどもとりあえず今日はもう寝ようぜ!!そういうときもある!やる気が完全に死滅していて、気力が湧かなくてだるい…のだが、今日終わらせてしまいたい…でも全然集中力出来なくてしんどい何だこれ…全部気圧のせいにしたい頼む、続きが読みたい!本日の進捗(色気もムードも皆無の同衾をしたロノとアロが朝を迎えるとこまで)頑張ったつもりなのに2000字しか進んでいなかった時の絶望感たるや…https://privatter.net/p/8426242いつもありがとう!今日の進捗:ロノウェさんとアロケルくんが一緒のベッドで寝るところまで。2時間で1800字書いたのでそこそこ頑張ったと思いたいhttps://privatter.net/p/8426242応援してる!